異世界きんたま転生

~駄女神と共にきんたまを集めて世界を救う宇宙一くだらない物語~
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第2話 駄女神との推し論争

公開日時: 2021年6月10日(木) 23:01
文字数:2,683

 マジであいつなにしてんの!?

 リゼロ全話見るのに2日かかる!?


 ――――――いや、たしかにゆっくりじっくり見たらかかるけど……


「今……人を待たせてるって……あいつ覚えてんのかな?」


 俺はそう呟く。


 どうやらこの虚無空間では飲食、排せつ、睡眠、その他諸々をしなくても普通に生きていける謎空間らしい………が。

 肉体よりも精神的にしんどい。


 2日も何もない空間でボーッとするってかなりの拷問だな。


 ―――――――――――――――。


 ―――――――と、そんな時だった。


 虚無空間の端の方から、とある足音が聞こえてきた。


 俺はその足音の方を振り向くと、そこには。


「おぉ~い! お待た~!」


 2日前に聞いた声……その主がスキップでこちらに向かって来ていた。


「いやぁ~、やっぱリゼロって面白いわね! もうほんと最高だわ!」


 駄女神は満面の笑みでそう言う。


「なぁ…………」


 俺はその駄女神に話しかける。


「ん? どうしたのよ?」


「いや2日間放置して謝ってほしかったりもするけどそれよりもだ。……それよりも……お前、リゼロの推しキャラは誰だ」


「へ? 推し?」


「あぁ。正直に答えろ。それによって許すか許さないか決める」


 ちなみに、俺の推しは断然エミリア。

 もし……こいつもエミリアなら…………100万歩譲って許してやろう。


「う~ん。そうねぇ。私の推しは……」


「――――――――――」


「ま、全員好きっちゃ好きだけど……強いて言うなら……」


「――――――――――」


「エミリア………かしら?」


 ――――――――――――。


 ―――――――――――――。


 ――――――――――――――。


 俺は駄女神の肩をポンと叩き。


「――――おめでとう」


 そう言ってみせた。


「いやなにが!?」


 虚無空間に駄女神の声が響き渡る。






「それじゃ改めて、私の名前は『メイナ』! 女神の『メイナ』よ!」


「おけ。『駄女神の駄メイナ』ね。あと2日くらいは覚えておくわ」


「いや誰が駄メイナよ! てかどんだけ2日を根に持ってんのよ……アンタ。しつこい男はモテないわよ?」


「うっせ! お前にだけは言われたかねぇわ!」


 俺たちはそんな言い争いをし、ついでに自己紹介もしあった。


 ――――――――女神メイナ。

 腰まで伸ばした金髪ロング。アホ毛があって身長は167cmの俺より少し小さいくらい。異世界……というかアニメ特有の黄色い瞳で、胸が………そこそこある。


「――――てか、なにその服装」


 俺はそう思いながら、メイナの服装を指摘する。


「ふぇ? 服装?」


「あぁ。なにその際どい服装。リスタルテといいお前といい……女神ってそんな露出した服を着ないとダメなルールでもあんの? なに? それ着ないと死ぬの?」


「なによ……そんな鼻息荒くしちゃって」


「してねぇよ! たしかに初見だったらしてるかもだけど、もうお前の性格知ってしまった時点で興奮できねぇよ!」


「なによその言い方! ……ま、良いわ。今はそんなことをしてる場合じゃないの」


「? それってどういう……」


 俺が聞いた瞬間。メイナはゴホンと咳払いをして、改めて。


「え~と、アンタにはね。やってほしいことがあるの」


「やって……ほしいこと。……あれか? 魔王を倒せみたいなそういう」


「いえ、今から私たちが行くのはそういう世界じゃないわ。…そうね。言ってしまえば、このすば…よりもリゼロ寄りの世界。って感じね」


「リゼロ寄り。……ダンジョンとかクエストがある世界ではなく、亜人とか魔法要素を抜いたら普通に地球と一緒…みたいな世界か」


「そうね。そんな感じね。……で、銀髪のハーフエルフとかをアンタは楽しみにしてるだろうけど……」


「いやなんでそんな正確な情報で言うんだよ。分からねぇだろ? もしかしたら黒髪の爆裂娘を楽しみにしてるかもだろ?」


「いやだからリゼロ寄りだって言ってるじゃない。……いやそうじゃなくて! アンタは、亜人とか魔法とかを期待してるかもだけど、今から私たちが行く世界はそんなものは無いわ」


「―――――――――ふぇ?」


「亜人も魔法もない世界。いわば、アンタが住んでた地球とほぼ同じような世界ね」


「――――――な、なんだそれ……せっかく異世界を堪能できるかと思ってたのに……」


「いやまぁ異世界っちゃあ異世界で間違いはないんだけどね。――――で、ここからが重要なのよ」


「重要。……俺にやってほしいことか?」


「えぇ。アンタには、第2宇宙の地球にあるメラキアという国に行って、4つの『金珠きんたま』を集めてほしいわ」


「―――。―――――。――――は?」


 一瞬――――この駄女神がなにを言ったのか理解が出来なかった。


「い、いやいやいやちょっと待て! 聞きなれない単語が多い! 1つずつ丁寧に教えてくれ!」


「え? ……はぁ。なによ。理解力が無いわねぇ」


「いやこんなもん初見でパッと理解出来るやつがいてたまるか!」


「ま、良いわ。じゃあ説明するわね。まず、この世には第1宇宙と第2宇宙という、2つの宇宙が存在するの」


「2つの宇宙。……ドラゴンボールみたいだな。―――――それで?」


「アンタが住んでた地球があるのが第1宇宙。そして今から私たちが行く地球があるのは第2宇宙。この2つの宇宙は、国名や文化は多少違えど、ほとんど似たようなものなの」


「ほぇ~。……で、俺たちがそのメラキアって国に行って………なにを探すって?」


「『金珠』よ」


「―――――――――――――」


 その単語を言っても何も動じないメイナ。


「メイナ……も、もう1度…言ってみ…」


「『金珠』よ」


「――――。――――――――――」


 ――――――――ぶっちゃけ分からないことだらけだ。なんだよ『金珠』って。


 ――――――けど、唯一分かったことがある。それは――――――。


「どうしたのよ? 『金珠』よ『金珠』。き~ん~た~ま!」


 ――――――――――――。

 ―――――――――――――。

 ――――こいつヒロイン要素皆無だわ。


「―――――……で?」


「で、メラキアに『金珠』が4つ存在するから、それを全て集めてほしいの。……あ、ちなみに。3年以内に全て集めないと第1宇宙と第2宇宙両方の地球が滅んじゃうからそれも覚えておいて」


「いやそんないっぱい言われてもバカな俺には理解出き……ね……………………―――――――――――――え?」


「え?」


「いや……今地球が滅ぶって……」


「? そうよ?」


「………え?」


「?」


「―――――――――――――」










 ――――――――――。

 ―――――。――――――。―――。





 ――――――――――。







 ―――――――――?



 ―――!



 ………………。………―――――。





 ――――――――?











「はぁぁぁぁァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!?!!」


【つづく】

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