「「「「「「 さ、寒い~! 」」」」」」
ナギに乗って山に向かい、高度が上がるにつれ、アタシ達は寒さとも戦っていた。山から吹き下ろす風が半端なく冷たいのよ! さすがは万年雪を頂く山!
「み、みんな! 戦う前に取り敢えず体を良く解そう! 体が凍えて上手く動かないんじゃ話になんない!」
アタシは自分でも手足の柔軟運動を行いながら、みんなにそう促す。
「ワイバーンってトカゲじゃないのか...こんな寒い所に棲息してるだなんて...」
「きっとトカゲよりも鳥に近いんでしょうね...」
「見た目詐欺にも程がありますわね...」
「うぅ...寒くて手が悴んで弓が上手く引けない...」
「殴る蹴るは控えたい...手足がポッキリ逝きそう...」
みんなテンションだだ下がりか...無理もない...早目に仕留めよう...
「キュイ!」
そんな時、ナギが鋭く鳴いた。見ると前方に巨大な黒い影が。
「みんな! 来るよ!」
アタシはみんなに警告する。
「ギイェェェッ!」
『マザー』が咆哮を上げる。デカい! 確かに普通のワイバーンの約5倍はありそうだ。だが様子がおかしい。地面に踞ったまま飛び上がって来ない。もしかして卵を温めてる?
「みんな!『マザー』は卵を温めてるみたいだ! 巣を離れられない今がチャンスだよ! 一気に決めよう!」
「「「「「 応っ! 」」」」」
「まずは買ったばかりの武器で物理攻撃! アリシア! 銛はトドメに取っておいて!」
「オッケー!」
トマホークに投げ槍、弓矢が飛び交う。だが...
「ギイェェェッ!」
その場で羽ばたいた『マザー』の風圧にやられて途中で落とされ『マザー』まで届かない。アタシは舌打ちした。ブーメランは投げなくて良かった...
「みんな! 貫通系魔法に変更!」
『『 ファイアーランス! 』』
『アイスニードル!』
『ウインドスビア!』
『ロックマシンガン!』
シルベスターは殿下と一緒に火魔法で、アタシも土魔法で攻撃する。
「ギイェェェッ!」
なんと『マザー』はそれらの魔法攻撃をブレスで相殺してしまった。しかも『マザー』のブレスの余波で、周りにある岩がボロボロと崩れる。超音波攻撃の力も確かに段違いだ。これは中々手強いな...だが向こうがブレスで来るなら、こっちもブレスで。
「ナギ! ブレス攻撃!」
「キュイ~!」
ナギのブレスが炸裂した。さしもの『マザー』もこれは相殺できなかったようで、大きく体勢を崩した。温めていた卵が割れる。
「ギイェェェッ!」
怒り心頭の『マザー』が飛び立った。
第2ラウンド開始だ。
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