門扉の所まで辿り着くと、殿下とエリオットが誰かと話している。
身長はアタシよりちょっと高いくらい。ガッシリした体つきに顔中を埋め尽くすような髭モジャ姿。絵に描いたようなイメージのドワーフがそこに居た。
アタシ達に気付いたドワーフがやって来る。アリシアが抱えているアダマンタイトを見て、
「おぉっ! これは素晴らしい! これ程の大きさのアダマンタイトの結晶など儂も初めて見るわい! お主らの言ってた通りじゃった!」
そう感想を述べた後、殿下達の方を振り返る。
「だからそう言ったろ? これで信じたか?」
「スマンスマン! この通りじゃ! 許してくれ!」
どうやら殿下達の言うことを信じられなかったらしい。
「あ、あの~...どうでもいいんだけど、私そろそろ限界なんで下ろしたいんだけど...」
アリシアがヤバそうだ。
「おぉっ! スマンかった! おいっ! 急いで台車を持って来いっ!」
髭モジャがそう言うと、門扉が開いて髭モジャと同じような姿のドワーフ達が大きな台車を押して現れた。
「この台車に下ろしてくれ!」
「了解! どっこいしょ~!」
だからアリシア、お前ホントに女子高生か!?
「ウギギッ! こ、これは凄い重さじゃ!」
台車の車輪が地面にめり込んでるけど大丈夫!?
◇◇◇
その後、アリシアも手伝って、なんとか台車を押して村の中に入った。初めて見るドワーフの村は、まさに職人の村といった雰囲気だった。
至る所からカンカンと鉄を叩くような音が響いて来る。あちこちの民家から煙が上がっている。こちらも絵に描いたようなイメージのドワーフの村といった感じだ。
「改めて、遥々こんな遠い所までよう来なさった。儂がここの族長、ガルムじゃ」
さっき出迎えてくれた髭モジャさん、族長だったのね。アタシ達もそれぞれ自己紹介する。
「早速だが、俺達の武器を作って貰いたいんだ。そのためにアダマンタイトをわざわざ持って来たんだからな」
「もちろんじゃ。こんな良い素材を前にして腕が鳴るわい。最高の武器を作ると約束しよう」
「良かった。よろしく頼む。ところで代金は幾らぐらい掛かりそうなんだ?」
「代金は要らん。その代わり、お主らの武器を作って余ったアダマンタイトを譲ってくれんか?」
殿下がアタシ達を見回す。全員が頷く。ドワーフにしか扱えないんじゃ持ってたってしょうがないもんね。
「それでいい。よろしく頼む」
「了解じゃ!」
その後、シルベスターを除く全員の壊れた武器を渡し、これと同じような武器を作って欲しいと依頼した。
この日はガルム族長が家に泊めてくれるとのことなので、有り難く好意に甘えることにした。族長の家に着くと、
「あれ? 父さん。お客さんなの? 珍しいね」
中からアタシと同じくらいの身長の男の子? (疑問形なのは髭モジャだからだ) が出て来た。
「あぁ、今夜は泊まって貰うからそのつもりでな。息子のシルバじゃ。歳はお主らと同じくらいじゃから仲良くしてやってくれ」
「初めまして、シルバと言います」
やっぱりまだ子供だったんだね。アタシ達と同じくらいの歳なのに、もう髭モジャなんだね。アタシ達も順番に自己紹介して行ったんだけど、アタシの時になんだかシルバ君の顔が赤くなったような!?
気のせいかな!?
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