やっとエリオットが目を覚ました。
「ここは...僕は一体...アリシア!?」
「エリオット、無事で良かった...何があったか覚えてる?」
「あぁ、え~と確か...魔法競技大会の1回戦、試合開始と同時に僕は意識を失ったんだ。そこから先は良く覚えてない。まるで夢を見ていたかのようで...そうだ、対戦相手は? 試合はどうなったんだ?」
「対戦相手は無事だよ。まだ意識が戻らないけど。エリオットが目を覚ましたから、きっと向こうも目を覚ますと思う。試合の方は...」
ここで私は言い淀んでしまった。アシュラに何かされてたとはいえ、エリオットが試合に負けたって事実は変わらない。だからここは言い方を変えることにした。
「安心して。大会そのものが中止になったから」
ウソではない。学園の敷地内で生徒の1人が行方不明、1人が意識不明、それも大会期間中に起こったんだ。大会どころの騒ぎじゃなくなったのは当然と言えよう。
「えぇっ!? 一体何があったんだ!?」
そこで私は事の顛末を余すところなくエリオットに伝えた。
「僕が意識を失ってる間にそんなことになってたなんて...アリシアは凄いな...四天王を1人で倒すなんて...」
「1人じゃないよ。ウンディーネが手伝ってくれた」
「それでも凄いよ...」
そこで私は気になっていたことをエリオットに聞いてみた。
「ねぇ、エリオット。その四天王の1人、アシュラが戦ってる最中に言ってたんだけど、エリオットが抵抗したからお仕置きをしたって。何か覚えてる?」
「あぁ、そう言えば...夢の中で言われた気がする...精霊王を誘き出すためのエサとなれって...僕はふざけるなって言って断固拒否したんだ」
「やっぱりそうだったんだね。私にも同じこと言ってたから」
「ということは...真の狙いはミナと精霊王様だったってことか...危ないところだったんだな...それにしても、ヤツの狙いを食い止めたアリシアはやっぱり凄いよ...」
「私はただエリオットを助けたい一心で...」
「あぁうん、もちろんそれも。時間制限があった中で相当無理してくれたみたいで、本当にありがとう。アリシアは命の恩人だよ。心から感謝してる」
「エリオット...」
ヤバいヤバいヤバいヤバい~! 胸がドキドキして来た! なに私達見詰め合っちゃってんの!? こ、これはもしかしたら、このままチューとかしちゃうパターンなんじゃないの!? あ、ヤバい、なんか鼻血出そう...
「アリシア~!」
へっ!? この声はシルベスター!? あぁ、私達を探しに来てくれたんだ。良い所を邪魔しやがって! あぁいやいや、今の無し! そ、そんなことしてる場合じゃないもんね! 残念だけど...
「シルベスター! こっちよ!」
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