精霊達のアピール合戦が終了した後、殿下から別の提案があった。
「俺とエリオットはスライムに溶かされた武器を新調する必要があるから、このあと武器屋に寄る予定なんだが、どうだろう? この際、全員の武器を新調するってのは? 資金的に余裕があるから、今ならかなり良い武器を選べるぞ?」
確かに。レッドドラゴンの魔石を売ったお金もあるし、資金は豊富だね。そう言われたら厭わない。全員で武器屋に向かうことにした。
「やっぱりミスリルだよな! 握っただけで手にしっくり馴染むようだ!」
「うわっ! 軽いんですね! 今までの槍と段違いだ!」
殿下とエリオットは早速決めたようだ。ミスリルソードにミスリルランス。やっぱりミスリルはファンタジーに欠かせないんだね。この世界にもちゃんとあるんだ。ドワーフの鍛冶屋でしか加工出来ないなんて設定も良くあるけど、この世界ではどうなんだろね?
「あぁ、確かにドワーフの作った武器は一流だが、なにせ欲しがるヤツらが多くてなぁ。しかもドワーフの鍛冶職人は頑固なヤツが多くて、気に入った相手じゃないと、いくら金を積まれたって武器を作らねぇんだと。だから中々市場にゃ出回らねぇんだよ。そこにあるのはこの街の鍛冶屋が作った武器だ」
武器屋のおじさんが教えてくれた。説明ありがとう。
「ボクはこれにしようかな」
「変わった形の弓だね。しかも長い」
シルベスターが選んだのは、自分の背丈よりも長い弓だった。前世の弓道で使う弓に似てる。
「これは魔弓といってね。自分の魔力を矢の代わりにして撃てるんだよ」
「へぇ~! それ凄いね!」
4属性持ちのシルベスターが持ったら最強なんじゃなかろうか!
「うん、もちろん通常の矢も撃てるよ。ただ、その為には筋力をつけないとだけど...」
「そこは頑張って」
筋トレしろ。
「私はこれにしようかしら」
「シャロン様、それってメイスですか?」
「えぇ、しかもミスリル製なんですって」
長くて細い棒の先端に、出縁やスパイクが施されている。明らかにムチじゃない。打撃用の武器だ。撲殺だ。天使だ。ドクロだ。ピピルピルピル...
「ムチだと殺傷力が低いでしょう? これから敵が強くなったらムチじゃ戦えないかも知れないから」
「ソウデスネ」
なんとかに金棒...
「アリシア、何やってんの?」
「ん? 試し打ち」
サンドバッグみたいなのを殴ってる。お前はボクサーか?
「そのメリケンサックってもしかして?」
「うん、ミスリル製。しかもドワーフが作ったんだって」
スゲエなドワーフ! こんなもんまで作るのか!
「なんかずっと売れ残ってて、扱いに困ってたって武器屋のおじさん言ってた」
そりゃドワーフ製で無駄に高い上に、そこまでして使いたい人が今まで居なかったんだろ。
「マリー、ついでだからあなたも新調しなさい」
「よろしいのでしょうか...」
「いいのいいの、いつもコキ使ってるのはこっちの方なんだから。遠慮なんかしないで」
「ありがとうございます」
「このミスリルレイピアなんか良いんじゃない?」
「身に余る光栄です」
大袈裟だなぁ。もっと図々しくなってもいいのに。ちなみに今回もマリーはお留守番だ。これにはさすがのマリーもすぐ納得した。そりゃあれだけ精霊のアピール合戦を目にしたらね。
これで全員、武器のリニューアルは終わったね。あ、自分を忘れてた。てへ。
「う~ん、どれにしようかな~」
ミスリルロッドでもいいんだけどね。打撃系でシャロン様とかぶるから、別なのがいいかなぁ。
「ん? これは?」
ブーメランだ。しかもデッカイ。背中に背負うタイプのヤツだ。なんか懐かしいなぁ。昔見たドラマで、主人公がブーメランを使って悪人を薙ぎ倒すってのがあったよなぁ。
良し、これにしよう。投げるのはもちろんのこと、こんだけデカイと近接でも打撃武器として使えそうだしね。まぁ、使い熟すのは大変かも知れないけど、そこは練習あるのみだよね。
うん? これもミスリル製? しかもドワーフが作った?
スゲエなドワーフ! (2回目)
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