さて、どうしたものか...まずは理詰めで説得してみるかな。無理っぽいけど...
「あの...ライオネル王子、まず前提が間違ってると思います」
「どこがだ?」
「アリシアは自分より強いか弱いかで相手を選ぶような娘じゃありません」
「そうなのか?」
「はい、それとアリシアに勝てるような人はこの学園にもこの国にも居ません」
「どういう意味だ?」
「そのまんまの意味です。アリシアは世界最強の女ですから」
「...マジで?」
「マジです」
「ガーーーンッ!」
はい、二回目のガーンっを頂きました!
「だからアリシア云々はおいといて、まずは自分を高めるってことから始めればいいと思います」
「...そうなのか?」
「はい、具体的なことはまた放課後に訓練場で。そろそろ午後の授業が始まるんで失礼しますね」
「あ、あぁ、分かった...」
さてと、忙しくなりそうだ。
私は授業と授業の合間の休み時間にエリオットの席に行き、
「ねぇん♪ エリオット~♪」
「み、ミナ!? ど、どうしたんだ!?」
「お願いがあるのぉ~♪」
「お、お願いって!?」
「ミナのお願い聞いてくれるかなぁ~♪」
「な、なんか怖いんだが!? 悪いもんでも食ったか!?」
失礼な! こちとら無理して恥ずかしい真似してるってのに!
◇◇◇
そして放課後。今日は『精霊の愛し子隊』としての訓練の予定は無い。殿下とシャロン様は公務だし、シルベスターは魔道騎士団に用があるって言ってた。
残るのはアリシアとエリオットだけど、さっきエリオットにはお願い攻撃でアリシアをデートに連れ出して貰った。今頃はイチャラブしてる頃だろう。
今日はライオネル王子とマンツーマンで訓練したいから、あの二人には来て欲しくなかった。鉢合わせして三角関係で揉め事になったりしたらイヤだったから。
「では、ライオネル王子。まずは基礎訓練からです」
「基礎!? 俺様が基礎からだと!?」
「止めますか? 別に構いませんよ?」
「い、いや、その...よろしく頼む...」
「よろしい。ではまず、私が作る土の壁を攻撃して下さい」
「分かった。おりゃあ!」
私はまず、一番弱い強度の土壁を構築した。この間、ライオネル王子はいきなり上級者向けの訓練に参加したから、あんなことになったんだと思ったからだ。
案の定、簡単に突破した。
「次! 強度を上げていきます」
「おう! とりゃあ!」
「次!」
「うりゃあ!」
「次!」
「ほりゃあ!」
「次!」
「......」
と、こんな感じで徐々に強度を上げて行ったんだけど、ライオネル王子は結構付いて来たと思う。
「ライオネル王子、如何でしたか?」
「ハァハァ ! なるほどな...基礎は大事だって良く分かった。ありがとうな」
「いえいえ、この感じで無理せず少しずつ積み上げていけば、自ずと力が付くはずです」
「...やっぱりミナに頼んで正解だった。これからもよろしく頼む」
「分かりました」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!