アリシアとエリオットの初デートの日が近付いて来た。
ここのところアリシアは毎日、心ここにあらずと言った感じだ。初めてのデートに浮かれているのは分かるが、これはイカン! 浮かれ過ぎて何か粗相をしたりなんてことがあったら、記念すべき初デートが台無しになってしまうではないか!
ここは一つ、親友として温かく見守ってあげるべきではなかろうか! という訳で、
「殿下~♪ シャロン様~♪ ミナのお願い聞いて下さい~♪」
「任せとけ! 俺達の仲間の大事な初デートだからな!」
「隣のブースは抑えましたわ! しっかり見守ってあげませんと!」
わ~い♪ やっぱ持つべきは権力者のコネだよね~♪ あのオペラ超人気だから、チケット簡単に取れないはずなのにね~♪
「あ、あの...皆さん、本当にやるんですか? 止めといた方がいいんじゃ...」
「何言ってんのよ、シルベスター! あの二人が心配じゃないっての!」
「いや絶対違うよね...心配なんかしてないよね...楽しんでるだけだよね...」
「そんなことないわよ! そりゃまあ、暗がりで長い時間二人っきりだし、盛り上がっちゃって良いムードになって、チューとかしちゃうかもしれないけど! ぐへへへ♪ 決してそういうのを見たいからなんて下衆な考えじゃないのよ! うぽぽぼ♪ まぁ、結果として見れちゃったらそれはそれで仕方ないけどね! ひゃっほい♪」
「ダメだこりゃ...」
◇◇◇
「ね、ねぇ、これって本当に変じゃない!?」
「変じゃない変じゃない、良く似合ってる。凄く色っぽいよ」
エリオットを悩殺しちゃれ! そしたらチューより先まで行っちゃうかも! ムフフフ♪
「そ、そう? このペンダントとイヤリングはどう? 似合ってる?」
そりゃあ似合ってるに決まってる! エリオットの髪と瞳の色なんだから! キャハハ♪
「似合ってる似合ってる。とっても可愛いよ」
美味しく召し上がれって感じだね♪
「アリシア、お迎えが来たよ」
「アリシア、お待たせ...」
「エリオット...どうかな? 変じゃない?」
「とても良く似合ってるよ...その...凄くキレイだ...」
「あ、ありがとう...」
うわぁお♪ 甘酸っぱいの~♪
「いってらっしゃ~い♪」
よっしゃあ! 出陣じゃあ~!
◇◇◇
そんで今、アタシ達は全員正座してる訳なんだが...アリシアは鬼のような顔して睨み付けて、エリオットはその隣で困ったような顔してるんだが...
全くもう! みんな興奮し過ぎだよ! いや、気持ちはわかるけどさ! アタシもそうだったし! でもアリシア達にバレちゃ意味無いでしょうが!
「それで? 何か言い訳があったら聞こうか?」
「え~と...その...テヘペロ♪」
「テヘペロじゃね~よ!」
この後、一人ずつ殴られた...イテテ...
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