嫌がる愚弟を接客に出すことにした。
「お帰りなさいませだにゃん♪ ご主人様、お嬢様」
「うぉぉっ!」「可愛い~♪」
なんか大人気なんだが。
「ミナ、あれって君の弟だよな?」
「そう、カイルだよ」
「なんであんな格好して接客してるんだ?」
「まぁ、罰ゲームみたいなもんかな」
本来はこんなもんじゃ済まないんだけどね。なにせ王女様を唆したんだから。軽過ぎるくらいだよ。
「可愛いな...なんか新しい扉が僕の中で開くような感じが...」
「エリオット、その扉は絶好に開いちゃダメだ。しっかり鍵掛けとけ」
「わ、分かった...」
危ない危ない、BL展開なんか冗談じゃない。タグ張ってないんだから。
「カイル様~♪ 素敵ですわ~♪ 可愛いですわ~♪ 飼いたいですわ~♪」
「こ、これは凄い攻撃力だな...さすがはミナの弟。男でも有りだな...」
おい、そこの王族二人、興奮し過ぎだ。飼うとか有りとか不穏な言葉を口にするんじゃねぇ。
「ブッホォォォッ! 」
シルベスター、お前も興奮し過ぎだ。男だって分かってんだろ。鼻血を拭け。
「お兄様、私も着てみたくなりましたわ!」
この王女はまた変なこと言い出したぞ。
「いやそれはさすがに...なぁ?」
アタシに振るなよ。仕方ないなぁ...
「王女殿下、申し訳ありませんが、殿下のサイズに合う衣装がありませんので、ご勘弁下さい」
こう言っときゃ諦めんだろ。
「そうなんですの...」
「ねぇ、ミナちゃんの替えの衣装だったらピッタリなんじゃない?」
をいっ! 衣装係、余計なこと言うんじゃねぇ!
「本当ですの! ミナさんとお揃い、着てみたいですの~♪」
ほら、その気になっちゃったじゃねぇか!
「仕方ないな、ミナ、頼んでいいか?」
「はぁ...しょうがないですね...王女殿下、こちらに」
「はいですの!」
◇◇◇
「猫耳カチューシャを着けて、尻尾を着けてと。良し、完成です」
「わぁ~♪ 可愛いですにゃん♪」
確かに可愛い。元がお人形さんみたいに整ってる顔だから余計にね。
「ミナさんも着て下さいな。二人でお揃いですにゃん♪」
「はぁ...仕方ないですね...」
どうなっても知らない。
「お待たせしました~♪ ほら、ミナさんも早く!」
「はいはい...」
「「 お帰りなさいませだにゃん♪ ご主人様、お嬢様 」」
「ブッホォォォッ! 」
「キャアアアッ!」
あ~あ、喫茶店が野郎どもの鼻血で血の海に...知~らないっと。
この後、今年の学園祭は「血の学園祭」と呼ばれるようになったとかならなかったとか。
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