「「 ゴーレム! 」」
ミナとシルベスターの声が重なり、ゴーレムが二人の周りを囲う。そこに、
『ファイアークラッシュ!』
『アイスインパクト!』
『トルネードスパイラル!』
アルベルト達がそれぞれ火、氷、風の属性攻撃を仕掛ける。しばらくはそのまま膠着していたが、次第にミナ達が押され始めた。
「キュイ!」
そこにナギが加わわった。水をミスト状にしてミナ達を包むように展開すると、今度は逆にアルベルト達の攻撃を押し始めた。
「うぉっ!? ナギにこんな能力が!?」
攻防一体のナギの新技にアルベルト達が慌てる。
「この間の一件で、ナギが成長したみたいなんです」
ミナがサラッと答える。
「聞いてねぇぞ! そういうことは早く言え!」
「テヘペロ♪」
結局そのままナギの能力で押し切った守備側が勝利した。
◇◇◇
その日の帰り、ミナとシルベスター、アリシアとエリオットは王都で一番人気のスイーツ店を訪れていた。訓練での疲れを癒すために、甘い物が食べたくなったからだ。
ちなみにアルベルトとシャロンは所用のため同行できなかった。
「ここは以前、ウチのクラスメイト達と一緒に食べに来た店なんだ~♪ すんごく美味しいんだよ~♪」
行列に並びながらミナが嬉しそうに言う。
「そうなんだ~♪ 楽しみだね~♪」
アリシアが目を輝かせる。やはり乙女心を擽るのだろう。順番が来て店に入る前、店員の女の子にナギとメルのことを説明しようとしたら、なんと以前にミナ達を応対してくれた女の子だと分かった。
彼女もその時のことを覚えており、メルも神獣だと説明したらビックリしていた。その後は「可愛い!」を連発して上機嫌でミナ達を席に案内してくれた。
注文したスイーツはどれも絶品だった。さすがに一番人気だけのことはある。ナギとメルも全員から「あ~ん♪」攻撃を受けてご機嫌だ。そんな中、騒ぎが起こった。
店の前で騒いでる男がいる。やたら布の少ないドレスを着た、娼婦みたいな女を侍らせている。
「いつまで待たせるんだ! この俺様を誰だと思ってる!」
どうやら貴族らしい。この店は貴族街に近い所にあるから、貴族が来店しても不思議ではないだろう。だが少し待たされたくらいで騒ぐなんて大人気ない。
いくら貴族でもこういう態度は戴けない。詰め寄られたのは、さっきミナ達を案内してくれた女の子だ。可哀想に涙目になってしまった。
「あ、あれ!? なんだかとってもデジャヴ感があるんだけど...」
ミナが首を捻った。以前にも同じようなことがあったような...
読み終わったら、ポイントを付けましょう!