翌日、アタシ達は冒険者ギルドを訪れていた。
「ワイバーンかドラゴンフライの討伐依頼!? なんでまた!?」
「あぁ、ちょっと空中戦に慣れておきたくってな」
「ちょっと待ってね~...確かこの辺に...」
ヒルダさんが依頼書の束を捲っていく。
「あぁ、あったあった。これだわ。かなり遠いけどいい?」
「あぁ、ナギが居るから大丈夫だ」
「じゃあこれ」
そう言って一枚の依頼書を差し出す。
「...北方にある大山脈の麓か」
「そう。王都からだと馬車で約10日くらい掛かるかしらね。その麓にある町から、かなり前に依頼が届いてたんだけど、遠いし相手がワイバーンだしで誰も依頼を受けたがらないのよねぇ。あなた達が引き受けてくれると助かるわぁ」
「分かった。引き受けよう」
こうしてワイバーンの討伐が決まった。出発は今週末になる。
「みんな、そろそろ寒くなって来たから、防寒具を着用するの忘れないでね?」
もう11月だもんね。風邪引かないように防寒対策はちゃんとしておかないと。
「確かにそれは大事だな。シャロン、軍隊用の防寒装備って借りられたっけ?」
「借りられるとは思いますが、どうせならみんな纏めて作っちゃいませんこと? あって困るものでもないでしょうし、今後も使うことを考えたら、自分専用のものがあった方がいいと思いますわ」
「それもそうだな。じゃあ久し振りにみんなで冒険者SHOPにでも行くか?」
「「「「 異義な~し! 」」」」
◇◇◇
久し振りに来た冒険者SHOPは、すっかり冬物に装いを変えていた。
「スキーウェアみたいなのあるのかな?」
アリシアがボソッとアタシだけに聞こえるように呟く。
「ってか、そもそもこの世界、スキーを楽しむって概念あんの?」
結論から言うと普通にありました。なんならスキー板やストックまでも。SHOPの店員に聞いたら、魔物討伐やアイテム採取のために雪山へ行くこともあるそうな。言われてみれば当然だと思った。
早速、みんなそれぞれサイズに合ったスキーウェアを購入した。私はまぁ...子供サイズな訳だが...うるさい! 何も言うな! か、悲しくねぇし!
「アリシア!? それって剛弓!?」
ふと見ると、アリシアが何やら身長より長い弓を構えていて、エリオットが側でビックリしている。
「そう、空中戦対策。私だけ空飛ぶ敵に対して攻撃方法がなかったからね」
確かに。アリシア、攻撃魔法使えないもんね。そしてきっとその弓は、アリシアの馬鹿力じゃないと引けないだろうなぁ。
「シルベスターも挑戦してみる?」
「止めておくよ。ボクじゃ絶対無理そうだから」
だよねぇ。やるだけ時間の無駄だよねぇ。
こうしてアタシ達は、冬物装備を万全にしてワイバーン討伐に向かうのだった。
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