やがて起き上がったアタシ達は、勝利を確信してハイタッチを交わした。
「「「「「「 イェーイッ! 」」」」」」
いやぁ、今回も苦戦した~! レッドドラゴンを倒した時も思ったけど、やっぱりドラゴンを倒すってのは並大抵じゃ出来ないことだよね~ そんな感慨に浸っているとアリシアが、
「ねぇ、またデッカい魔石が出て来たよ?」
そう言って指差す先には、これまたレッドドラゴンの時と同じくらいデッカい魔石がそこにあった。ただし色違いだ。今度のは茶色だ。ドラゴンによって色が違うのかな?
「アリシア、持てる?」
するとアリシアはヒョイっと持ち上げて、
「うん、余裕」
さすがは馬鹿力。言うと怒るから言わないけど。
「じゃあ帰るか。王都の連中を早く安心させたいからな」
「そうですね。アリシア、魔石をナギに載っけてくれる?」
「オッケー!」
こうして土竜討伐の証を手に、アタシ達は王都への帰路に就いた。その道すがら、殿下が不穏なことを言い出す。
「しかしアレだな。火、水、土ときたら、最後は風か」
「止めて下さいよ。縁起でもない。風竜と戦うなんてイヤですよ。間違いなく空中戦になるじゃないですか」
「空中戦だと私の出番無いよね...」
「それで思い出した! アリシア! あんたは無茶ばっかりして! 全くもう! ナギから飛び降りるなんて信じられないよ!」
「うぅ.. ごめんなさい...イケるかなと思ったんだよ...」
「ま、まぁ、その...無事だったんだし...その辺でいいじゃないか...」
「エリオット! あんたは彼女だからって甘やかし過ぎ!」
「バッ!? なっ!? か、彼女って!?」
「きゅう~...」
あらら、二人とも茹で蛸のようになっちゃったよ。
「あらあら、初々しいですわね♪」
「いいなぁ...ボクもいつかは...」
シャロン様が揶揄ってシルベスターが何やらブツブツ言ってる間に、王都が見えて来た。
◇◇◇
冒険者ギルドの前は黒山の人集りだった。みんなが口々に歓声を上げている。笑顔が弾けている。王都崩壊の危機だったもんね。無理もないか。
そんな中、ナギと共に降り立ったアタシ達を出迎えたのは、ゴツいガタイに傷だらけの厳つい顔をした壮年の男性だった。誰だろう? と思っていると、
「久し振りだな、ギルマス。今戻った」
「殿下、王都をお救い頂き感謝の念に堪えません。全ての王都民を代表して厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました」
この人がギルマスかぁ。きっと冒険者上がりなんだろうね。
「俺は先に王宮へ行って陛下に報告してくる。詳しいことはコイツらに聞いてくれ。それとシャロンは一緒に来てくれ」
「分かりましたわ」
ここで殿下達とは別行動になった。
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