メルがナギに近付いて「クルルッ!」と鳴いた瞬間、
「キュイキュイ!?」
ナギの体が小さくなり、いつもの猫サイズに戻ってしまった。
「えっ!? ウソ!? 何が起こったの!?」
とアリシア。
「ナギの力を無効化した!?」
とエリオット。
「そんなこと可能なの!?」
とシルベスター。
「な、ナギ大丈夫!? なんともない!?」
ミナは慌ててナギに近付き抱き上げる。ナギはキョトンとしてるだけで、特に怪我とかはしてないようだ。
「なるほど...要するに魔力を無効化するってことなのかな?」
シルベスターが予想する。
「試してみようか? ゴーレム!」
ミナがゴーレムを作り出す。
「メル、これ消せる?」
「クルルッ!」
メルが一声鳴くとゴーレムが跡形もなく消えた。
「やっぱりそうなんだね...」
ミナがしみじみと呟く。
「これは凄い能力だな...」
エリオットが感心したように呟く。
「攻撃魔法を無効化されたら...ボクらにとっては天敵だね...味方で良かった...」
シルベスターが呆れたように呟く。
「メル! 凄いや!」
アリシアが興奮してメルに飛び付いた。
◇◇◇
その後もメルの能力の検証は続いた。
「じゃあメル、行くよ? 準備はいい?」
「クルルッ!」
アリシアを除いた三人がメルを囲う。そしてそれぞれが初級魔法を放った。
『ウォーター』
『ファイアー』
『ツリー』
メルは攻撃が届く前に一声鳴いた。
「クルルッ!」
すると全ての攻撃魔法が無効化された。
「凄いな...」「もうちょっと魔法のレベルを上げてみようか?」「だ、大丈夫かな!?」
結局その後、中級、上級と魔法のレベルを上げて行ったが、全てメルの前に無効化されてしまった。
「ねぇアリシア、今って身体強化掛けてる?」
ふと気になったミナが尋ねる。
「ううん、掛けてない」
「掛けてメルに近付いてみて?」
「分かった」
アリシアはゆっくりとメルに近付いた。すると、
「あれ!? 消えてないよ!?」
アリシアがビックリしながら自分の体を眺める。
「どういうことだ!?」
エリオットが訝しむ。
「もしかしたら...属性によるのかも」
シルベスターが予想する。
「属性...アリシアが聖属性だってことが関係してるのかな?」
ミナが尋ねる。
「多分ね。なんて言ってもメルは神獣だから」
「あぁ、なるほど。聖なる力には影響しないってことね」
「そうだと思う。だとすれば、ますます使い勝手の良い能力だってことだね」
「うん、確かにね」
気付くと全員がメルを尊敬の眼差しで見詰めていた。
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