試験が終わってホッとするのも束の間、すぐ次のイベントが控えていた。
魔法競技大会である。読んで字の如く魔法力を競い合う大会である。対戦形式のトーナメント戦で学年に関係なく戦い、学園No.1の座を賭けて争うものらしい。
「良っしゃあ! 学力が無いなら私でもイケる!」
おバカな子、アリシアが気合いを入れてる。まぁ確かに魔力なら学年1位だったもんね。無理もないか。
「あ、あのさ、アリシア...」
「なに? シルベスター?」
「非常に言い辛いんだけど...エントリー出来るのは、火、水、風、土の4属性のみなんだよね...」
「ガーンッ!」
あらら、聖属性のアリシアが崩れ落ちちゃったよ。可哀想に。希少な属性持ちだから仕方ないね。相手居ないんだもん。応援ヨロシク。
「シルベスターはどれにエントリーするの?」
シルベスターは4属性持ちだからね~ どれにもエントリー出来るから悩み所だね~
「まだ迷ってる。土か火か」
あぁそういや、精霊の加護は土のノームだけど、得意なのは火魔法だって言ってたっけ。
「土にしなよ。ボコボコにしてやるから!」
アタシじゃなくてゴーレムがね!
「怖いよ~...」
「だったら火で俺と対戦するか?」
殿下、余計なことすんな!
「殿下とですか? う~ん...そうしようかなぁ...」
「土にしときなよ!」
可愛がってあげるからさぁ!
「ミナさん、強制はいけませんわ。シルベスター、風もありますわよ?」
「そうだぞミナ、決めるのはシルベスターだ。ところで水もあるぞ?」
シャロン様とエリオットまで加わったよ! シルベスター大人気だね! でも土にしとけ!
「あははは、良く考えて決めます...」
シルベスターの笑顔が引き攣ってる。
「いいな...私も出たい...」
「アリシアは応援団長ね。みんなの応援頼むよ? チアやってチア!」
「ヤダよ、恥ずかしい! それに団長なら学ランじゃん!」
いやこの世界に学ラン無いだろ。まぁそれ言ったらチアの衣装も無いか。テヘペロ♪
◇◇◇
そんなこんなで大会の日を迎えた。結局、シルベスターは土で出るみたいだ。当たったらボコボコにしてやんよ! トーナメント表を見ると、アタシとシルベスターは決勝まで勝ち進まないと当たらない。
「シルベスター、決勝で会おう!」
「うん! 頑張ろう!」
アタシの1回戦の相手は3年生の女子だ。いきなり先輩が相手だけど、負ける気は全くしない。気合いを入れる。
良~し! やったるぞ!
こうして魔法競技大会の幕が上がった。
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