しばらくして泣き止んだアリシアから事の次第を聞いたミナ達は絶句した。
「まさか邪竜が風竜の番だったなんて...」
「アリシア、じゃあ風竜様はもう...」
「うん...もう思い残すことは無いって...」
そこまで言ってアリシアはまた涙を流した。そんなアリシアをミナとシャロンが優しく抱き締める。
「そうか...風竜が...これも定め...運命だったのかも知れんの...」
精霊王はしみじみと呟いた後、急に口調を変えた。
「ところで良い話になってるところ申し訳ないんじゃが...レムよ! 貴様! また寝とるな! さっさと起きんか!」
『ふわぁいっ!? あっ! せ、精霊王様...』
「儂は言うたよな! もう貴様は眠るのを禁じると! それなのになんじゃあこの体たらくは!」
『も、申し訳ございません...』
レムが精霊王に怒られてる側でミナとアリシアは、
「レム...また寝てたんだ...懲りないヤツ...」
「道理で試練の最中静かだと思った...」
「アリシア、精霊変えた方が良いんじゃない?」
「変えられるもんなら変えたいけど、簡単に変えられるもんなの?」
「さぁ...分かんないけど、どっちみち今のままじゃ不味いんじゃない?」
「う~ん...確かにそうだね...」
「変えられないならせめて、レムが寝てても何とかなる体制にしておかないとね」
などと囁き合っていた。その間も精霊王の説教は続いていた。
「...全くもう...アリシア、済まんが頼みがある」
「へっ!? 私ですか!?」
「うむ、これから一日一度でいい。このボンクラに呼び掛けてくれんか? また寝てたら儂が叩き起こすよって」
「精霊王様、その前に連絡網を見直す件はどうなったんです?」
そこでミナが口を挟んだ。
「...申し訳ない...今後は各方面とも協議し見直す方向で善処することもやぶさかではないと思ってたり思ってなかったり」
「だから国会答弁か!」
そんな不毛な対話を続けている時だった。
「クルル!」
急にメルが羽ばたいた。更に前方の草むらがガサガサ音を立てる。全員が一斉に警戒の目を向けた。やがて...
「あぁ、ここだったな。済まん。我もこの姿になるのは何千年振りでな。すっかり感覚が狂ってしまった。待たせたな」
そう言って現れたのは、エメラルドグリーンの長い髪を翻した、この世の者とは思えない程の美貌を携えた美女だった。なぜか全裸で。ボンキュッボンのナイスバディを惜しげもなく晒して。
「「「 ブッホォォォッ! 」」」
野郎どもが鼻血を高々と吹き上げたのは言うまでもない。
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