「えっ!? 何これ? ブルーバード!? 幸せを呼ぶ青い鳥!?」
アリシアが混乱しているが、アタシ達も同じように混乱している。てっきりワイバーンの卵だと思ったのに、中身は鳥だった? もう訳が分からん!
「もしかしたら...」
「ん? なに? シルベスター、なんか分かった?」
「いや、ボクも自信無いけど...ひょっとしたら托卵じゃないかと思って」
「托卵? カッコウみたいに?」
「そう、本来は鳥同士でやるもんだけど、なぜかワイバーンの巣に産んじゃったとか」
「...それかなり無理っぽくない?」
いくらなんでも種族は間違わないんじゃ...
「だから自信無いって言ったじゃん...」
アタシとシルベスターの会話を引き取る形で殿下が続けた。
「...まぁ、ここで議論したって仕方ない。取り敢えずギルドに持ってって鑑定して貰おう。アリシア、その鳥? 任せても平気か?」
「あ、はい、大丈夫だと思います。この子、大人しいし」
改めて青い鳥を観察してみる。アリシアが親だとインプリンティングされたのか、胸に抱かれて大人しくしている。今は眠ってるようだ。
卵がデカかったから雛とはいえ、体長は既に大型の猛禽類並みの大きさだ。翼を広げたら2mはあるんじゃなかろうか。ただ、顔付きは猛禽類のそれではなく、穏やかな感じでインコとかオウムを思わせる。体は真っ青な羽毛に覆われていて、嘴だけが白い。
ただ、雛の内からこんなにデカいと、大人になったらどこまで大きくなるのか想像も付かない。ナギほど大きくなるとは思えないけど、飼うとなったら大変だろう。
その前に、学生寮はペット禁止なんだけどアリシアはどうするんだろう? そんなことを考えてる間に王都が見えて来た。
◇◇◇
「えっ!? 何これ? ブルーバード!? 幸せを呼ぶ青い鳥!?」
アリシアと全く同じセリフがヒルダさんの口から出た。ワイバーンの討伐完了の報告をしにギルドへ来たので、ついでに聞いてみたんだが...
「それを聞きたかったんだが、見覚えは無いみたいだな?」
「えぇ、ワイバーンの巣に鳥の卵があったなんて話聞いたこと無いわ。見た目は魔物じゃないみたいだけど何とも言えないわね。鑑定してみる?」
「頼む。アリシア、鳥を渡せ」
「それが...私から離れようとしないんです...」
青い鳥は怖いのか、アリシアにしがみ付いて震えている。
「じゃあ、アリシアさんも一緒に来てくれる?」
「分かりました」
アタシ達は青い鳥の鑑定が終わるまで待つことにした。
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