「め、メル!?」
いつの間にかメルが、女の子を庇うように男との間に割って入っていた。しかも人間サイズの大きさになって...
「クルル~!」
いつもより低い声で騒ぐ男を威嚇すると、
「あぁっ! 俺はなんて罪深いことを! 恥ずかしくて表を歩けない!」
男はそう叫んで走り去ってしまった。
「ちょ、ちょっと! 置いてかないでよ~!」
その後を女が慌てて追い掛けて行った。
「メル...あなたもしかして自由に体のサイズを変えられるの?」
店員の女の子が涙を流してお礼を言ったり、周りが「あの鳥、凄い~!」「体がフリーサイズ!」と称賛してたりしているが、そんなことよりもアリシアは、メルのある特徴に心を奪われていた。
「クルル~♪」
メルが得意気に鳴く。なんだか誇らしそうだ。確かにナギと同じように凄い能力だと思う。だがアリシアが一番気になったのは...
「それとメル、あなたひょっとして人の邪気っていうか悪意まで浄化できるの?」
「クルル?」」
さっき逃げて行った男は、メルを怖がって逃げたというより、己の行動を恥じて居た堪れなくなって逃げて行ったように見えた。
「そうなの?」
ミナが首を捻る。
「私にはそう見えた。あなた達は?」
「スマン、気が付かなかった。メルのことばっかり見てた。」
とエリオット。
「ゴメン、ボクも。メルの大きさが変わったからビックリしちゃって...」
とシルベスター。
「ナギみたいだよね? どこまで大きくなるのかな?」
とミナ。
「大きさもそうだけど、メルがどんな能力を持っているのか、ちゃんと確認しておかないとね。ミナ、明日も訓練する予定?」
「ん~...明日は殿下とシャロン様が居ないからお休みしようと思ってた」
「じゃあ私は自主練するよ」
「私も付き合うよ」「僕も」」「ボクも」
「みんな、ありがとう」
◇◇◇
翌日、四人はいつもの訓練場に集まっていた。アリシアがメルに告げる。
「じゃあ早速メル、まずは出来るだけ大きくなってみて?」
「クウッ!」
ちなみに比較対象のため、ナギは既に巨大化している。メルはぐんぐん大きくなって、いつもアリシアを背中に乗せている大きさになって...そこで止まった。
「大きさは元々これが限界だったんだね」
ナギと比べると三分の一程度の大きさだろうか。
「次にメル、攻撃っていうかどんな能力があるのか教えて?」
「クルルっ!」
するとメルは一声鳴いた後、大空に舞い上がった。やがて旋回してターゲットをナギに決めたようで、ゆっくりと降下して来た。
ナギが身構える。
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