アタシが呆気に取られていると、ライオネル王子は顔を赤く染めながら、
「その...ミナと一緒に居るとな、心の中がなんて言うかこうポカポカとしてだな...番を見付けた時とはまた違った感情が湧いて来て...これはきっと恋だと思うんだ!」
「はいぃ!?」
なに言っちゃってんのこの王子は!?
「ミナ! 俺様と結婚を前提に付き合ってくれ!」
「お断りします」
「ガーーーンッ! そ、即答!?」
即答に決まってるわ!
「アリシアを正妻に、私を妾にでもするおつもりなのでしょうが」
「ち、違う! 妻にしたいのはミナだけだ!」
「ではアリシアは? 番はどうするんです?」
「それはその...俺様の勘違いってことで...」
「はぁっ!?」
アタシは呆れてしまった。
「勘違いであんなに大騒ぎしたと? みんなを振り回したと? アリシアの心を散々掻き乱したと? 舐めてんですか?」
「あぐっ!...そ、それはだな...」
「言い訳は聞きたくありません。アリシアに謝ってボコボコに殴られて下さい。訓練は今日で終わりです。さようなら」
「み、ミナ! ま、待ってくれ!」
待たない! アタシは振り返ることなく、その場を後にした。少しはマシになって来たかと思ってたのに...この俺様王子はやっぱり最低な野郎だったよ...残念だ...
◇◇◇
二週間経った。今日は出来上がったであろう武器を手にすべく、再度ドワーフの村へと向かう。空の旅にもみんな慣れたもんだ。
ちなみに、あれからライオネル王子とは顔を合わせていない。アリシアにも何も言っていない。アタシの口から言うべき事じゃないと思ったからだ。だからちょっとアリシアとは顔を合わせ辛い。
そんなアタシの心境には関係なく、ドワーフの村に到着すると、これまた顔を合わせ辛いシルバ君が出迎えてくれた。うん、今日もまた涙目だね。
「よう来なさった! お主らの武器は出来上がっておる! さあ、手に取って見てくれ!」
族長のガルムさんがアタシ達の新しい武器を持って来てくれた。黒っ! 真っ黒じゃん! なんかカッコ良い!
「おぉっ! 黒い剣か! なんか強そうだな!」
「黒い槍っていうのも中々オツなもんだな...ちょっと禍々しい気もするが...」
「こ、これは殴り甲斐がありそうですわね!」
「黒いメリケンサックってなんか中二病っぽいわね...」
ま、まぁ、みんなそれぞれ概ね好評ってことで...アタシの黒いブーメランはカッコ良い思うけどな。
「みんないいな~...」
シルベスターが一人いじけてるけど、それはしょうがないよね。アタシ達がお礼を言おうと思っていると、
「さあ、では試練を受けて貰おかの!」
ガルム族長がそんなことを言って来た。
試練って!? 何の事だ!?
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