冒険者ギルドの前にナギが降り立つと大騒ぎになった。
ナギの存在を知ってはいても、実物を目の当たりにするのは初めての人がほとんどだろうから、あっという間に黒山の人集りになってしまった。
アタシは集まっている人の中の1人に頼んで、ヒルダさんを呼びに行って貰った。飛んで来たヒルダさんが目を丸くする。
「み、ミナちゃん、これは一体どういうこと!?」
「実は...」
アタシは事の経緯を掻い摘んで説明した。
「なるほど...そういうことだったのね...分かったわ。取り敢えずそれはギルドの裏にある解体場に運んで貰えるかしら」
「分かりました」
ギルドの裏には、冒険者が獲って来た魔獣を解体する場所がある。大きい魔獣を扱うこともあるせいか、結構広い場所を取っている。そこにナギを誘導する。ヒルダさんがやって来た。
「ここでいいわ。下ろして貰える?」
「分かりました。少し離れて下さい。ナギ、そっと横に倒れながら下ろしてくれる?」
「キュイ!」
ナギの体が横に倒れる。魔石擬きがそれに従って地面に落ちる。地響きを立てながら地面にめり込んで止まった。
「ナギ、ご苦労様。もう小さくなっていいよ?」
「キュイ!」
小さくなったナギにおやつのジャーキーを与えていると、魔石擬きを観察していたヒルダさんが側に来た。
「え~と...まず何から言うべきかしらね...取り敢えずは依頼を達成してくれてありがとう」
「どういたしまして」
「それで持ち帰ってくれたアレなんだけど...」
「魔石じゃないんですか?」
「研究チームが言うには魔石じゃないみたいよ?」
「じゃあなんなんですか?」
「まだ分からないわ。調べるのにもうちょっと時間を頂戴?」
「分かりました。殿下達が戻って来るまでまだ時間も掛かるし、その間ギルドで待ってますね」
「えぇ、そうして頂戴」
ギルドのバーカウンターでナギと遊びながら待つことにした。
◇◇◇
「ミナ、今戻ったぞ!」
みんなが戻って来たようだ。
「お疲れ様です。早かったですね?」
「あぁ、馬達には気の毒だったが、ほとんど休憩を取らずに走って来たからな。それでどうだった?」
「まだ鑑定中ですが、どうも魔石ではないようです」
「そうか。一体なんなんだろうな?」
そこへちょうどヒルダさんがやって来た。
「お待たせ! 鑑定結果が出たわ! 驚かないでよ!」
そこでいったんタメを作ったヒルダさん。
「なんと! アダマンタインだったわ!」
アタシ達もいったんタメを作って、
「「「「「「 それなに? 」」」」」」
だって知らないもん。
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