ナギに乗って飛び立つ前、ふと思い立って町長さんに聞いてみた。
「そう言えば町長さん『マザー』ってどんな魔物なんですか?『マザー』って言うくらいだから、普通のワイバーンとは違うんでしょうけど、具体的には?」
すると町長さんは「私もお伝えするのを失念しておりましたね」と前置きしながら、
「まず大きさが違います。普通のワイバーンと比べ、約5倍くらいの大きさがあります。大きくなった分、当然ながら攻撃力も段違いに上がっています。ブレスによる攻撃の他に、鋭い牙による噛み付きや、かぎ爪による攻撃にも注意が必要です。それと巨大な翼で羽ばたくことによる風圧も要注意です。吹き飛ばされないよう注意して下さい」
それを聞いたアタシ達は顔を見合わせた。
「あ、あのさ、私ちょっと矢を補充しておいてもいいかな? 実はさっきの戦いで、結構消費しちゃったんだよね」
と、アリシアが言えば、
「あ、実はボクも。普通の矢を結構使っちゃってた」
と、シルベスターが続き、
「俺達も投擲武器を何か買っておくか?」
「そうですね。備えあれば憂い無しってことで」
「私も賛成ですわ。魔法が効かない場合もありますしね」
結局みんなして武器屋に寄ってから行くことにした。アタシ? ブーメランがあるから必要無いけど、一応見に行くよ。
◇◇◇
「殿下、これなんてどうです?」
「これは...トマホークか? 確かに投げるにはちょうどいい重さだな」
殿下とエリオットはトマホークに決めたようだ。
「私はこれにしますわ」
「シャロン様、それって投擲用の槍ですか?」
「えぇ、この重さなら私でも投げられそうですわ」
シャロン様は投擲競技用の槍に決めたようだ。
「お待たせ~」「みんなも決まったみたいだね」
アリシアとシルベスターが矢を補充して戻って来た。
「良し。今度こそ準備万端整ったね。町長さんに聞いておいて良かったよ。それじゃあ」
そこでアタシは、武器屋の壁の上の方に飾ってある物に目を惹かれた。すかさず店員さんに聞いてみる。
「すいません、あそこに飾ってあるのは銛ですか?」
「はい、大型の魔物退治用の銛になります」
前世で言う所の捕鯨で使うような大きな銛が飾ってあった。
「ねぇ、アリシア。あの銛扱えそう?」
「やってみる」
アリシアが脚立を使って銛を手に取ってみた。
「うん、問題無さそう」
軽々と持ち上げている。
「さすがは馬...力持ち。それも買って行こうか」
危ない危ない...また馬鹿力って言いそうになったよ...
取り敢えず今度こそ山に向かおうか。
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