突然光り出したライオネル王子。一体何事!?
眩しくて思わず目を閉じる。やがて光りが収まったそこに居たのは...
顔は完全にライオンの姿で鋭い牙が覗いている。体は筋肉で3倍くらいに膨らみ、服が弾け飛んだ。全身が黄金の毛に覆われている。手足も筋肉が盛り上がり、鋭い爪が長く伸びている。
「ビーストシェイプ...」
殿下が呟いた。
「なんですかそれ?」
「獣人族の持つ能力の一つだ。先祖返りとも呼ばれている。身体能力を爆発的にUPさせると聞く。その分、体に掛かる負担が大きくなるので、後が大変になるって話だったが...」
「だ、大丈夫なんでしょうか...」
「分からん...」
そんなことを話してる間に、変身が完了したのかライオネル王子が雄叫びを上げた。
「ガオォォォッ!」
うわぁ、なんかもう完全にライオンじゃん...理性残ってんの!? あんなの相手すんのイヤだなぁって思ってたら、
「いいよ、ミナ。下がってて。私が相手するから」
アリシアが代わってくれた。
「アリシアっ!」
心配そうにエリオットが叫ぶ。
「大丈夫。心配要らないよ」
そう言ってアリシアはニッコリと微笑んだ。
「ガオォォォッ」
ライオネル王子が突っ込んで来る。それをアリシアが闘牛士よろしく華麗に躱す。だが紙一重だ。見ていてハラハラする。
しばらくは、ライオネル王子の突進をアリシアが躱すだけという攻防が続いていたが、次第に変化が現れて来た。
「あれ? ライオネル王子、いつの間にか怪我してません?」
良く見ると、体のあちこちが腫れていたり、所々出血したりしている。
「気付いてなかったのか? ライオネルの攻撃を躱す度にアリシアがカウンターを当てていたんだぞ? ほれ、また」
気付かなかった...本当に闘牛士みたいだね。牛の攻撃を躱す度に槍を刺す感じ?
「ガオォォォッ...」
ライオネル王子の雄叫びに迫力がなくなって来た。そろそろ限界なのかな?
「ハァッ!」
ここで初めてアリシアが攻勢に転じた。ライオネル王子は防戦一方になる。
「ガオォ...」
ん? 気のせいかな? いや、気のせいなんかじゃない!
「で、殿下! ライオネル王子の体、なんか縮んで来てません!?」
「あぁ、確かにな。そろそろ時間切れなんだろ」
あぁ、そういうことか! 変身ヒーローに有りがちな時間制限ね! カラー○イマーが点滅してる状態ってことね! そんなことを思ってる間に戦いは終わったみたいだ。
「ニャウ...」
最後は猫みたいな鳴き声を上げながら、ライオネル王子は崩れ落ちた。慌てて駆け寄ったアタシ達は、変わり果てた姿のライオネル王子を見て絶句する。
「こ、これは!?」
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