「あ、あの! 顔を上げて下さい!」
アタシは居たたまれなくなって思わず叫んでいた。
「あぁっ! 巫女様! なんとも麗しいお姿で!」
お婆ちゃんエルフはまだ畏まったままだ。
「私はその巫女? とかじゃありません! 単なる旅行者です!」
アタシはもう一度叫ぶ。なんだか良く分かんないけど、誤解されたままじゃ堪んない。
「いいえ! あなた様は巫女様に相違ありません! 水竜をお側に侍らせておられるのが何よりの証拠!」
そう言ってお婆ちゃんエルフは、アタシが抱いてるナギを指差す。
「キュイ?」
ナギも首を傾げる。
「長老! この不審者が巫女様ですって!? 俺には到底信じられません!」
アタシをここまで連れて来たリーダーらしき人が叫ぶ。うん、アタシもそう思うよ。
「黙れ! ルーク! 巫女様を不審者呼ばわりなどこの罰当たりが!」
「し、しかしっ!」
この人ルークって言うのか。なんかカッコ良いな! スカイでウォーカー的な? ライトなセーバーは持ってないけど。最初に会った時はアタシより歳上かな? って思ったけど、こうやって叱られてムクれているところを見ると、案外アタシと同い年くらいなのかも知れない。
もっとも、良く言われるようにエルフが長命種なら、見た目はあまり関係無いのかも知れないけど。
「巫女様、このバカが大変失礼致しました。どうかお許し下さい」
「いえ、ですから...」
「長老! これはなんの騒ぎですか!?」
アタシが抗議しようとしたら、また誰か現れた。今度は壮年の男性だ。
「おぉっ! 族長! 喜べ! 巫女様がおいで下さったぞ!」
「なんと!? それは本当ですか!?」
「あぁっ! 間違いない!」
いやいやちょっと待ってよ! 盛り上がってるところ悪いんだけどさ! アタシは巫女様なんかじゃないんだってば!
「では早速儀式の準備を!」
「あぁっ! 頼む! ささっ! 巫女様! どうぞこちらに!」
は、話を聞いて~!
◇◇◇
そんで今アタシは巫女服に着替えさせられてる訳なんだが...白衣に緋袴って...まんま前世の巫女さんやん...なんでエルフの里にこんなもんがあるんだよ...違和感が半端ねぇ...
しかも良くアタシのサイズがあったな!? なんだって!? 子供用!? うるさいわっ! そんなこと分かってるちゅ~ねん! (;´Д`)ハァハァ
ちなみについでというか、マリーまで着替えさせられていた。クソッ! めっちゃ似合ってるやん! スタイルが良い人は何着ても似合うよなぁ。か、悲しくなんか...あるんだからね!
アホなこと考えてる間に、アタシは儀式とやらを行う場所まで連れて来られた。なんか火の見櫓みたいな所に昇るらしい。
アタシはナギを抱っこしながら向かった。
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