『ポラリス』の町に到着したアタシ達は、早速冒険者ギルドに向かった。
受付嬢さんにワイバーンを討伐したことを伝えると、
「まぁ、あなた方が依頼を受けてくれたの!? ありがとう~! 中々受けてくれる冒険者が居なくて困ってたのよ~! 助かるわ~!」
とっても喜んでくれた。
「お役に立てたようでなによりだ」
「ちょっと待っててくれる? この町の町長が直々に話したいって言ってるの」
「あ、あぁ、構わないが...」
しばらくギルドで待っていると、頭の禿げ上がった温和そうなおじさんが現れた。この人が町長さんらしい。
「お待たせしました。初めまして、私は『ポラリス』の町長を勤めておりますハリスと申します。この度はワイバーンの討伐を引き受けて下さったとのこと、感謝申し上げます。それでこれから山に登るのですか?」
アタシ達は顔を見合わせた。このおじさん何言ってんの!?
「ちょ、ちょっと待ってくれ。山に登るって!? なんだそれ!?」
「えっ!? ワイバーンの討伐にいらしたんですよね!?」
「確かにそうだが、ワイバーンならもう倒したぞ!?」
「へっ!? も、もう『マザー』を倒して頂けたんですか!?」
「はっ!?『マザー』ってなんだそれ!?」
なんだか話が噛み合っていないようだ。そしてなんとなくだが、アタシはその原因が分かった気がする。
「あの...私達は先程ワイバーンの群れを倒したんですが、それとは別に『マザー』と呼ばれる個体が居て、それを倒さないと依頼完了とはならないってことなんでしょうか?」
「そ、そうてす! その通りです! 子供達をいくら倒しても『マザー』を倒さない限り、ワイバーンは何度でも群れを作って襲って来ますから」
「なるほど、そういうことか...分かった、その『マザー』とやらを倒そう」
「あ、ありがとうございます! 今の所、被害に合っているのは放牧している家畜のみですが、その内に人的被害も出るでしょう。早目に倒して頂けますと幸いです」
「分かった。今すぐ山に向かう」
そこでアタシは待ったを掛ける。
「殿下、ちょっと待って下さい。町長さん、この町に耳当てを売っているお店ってありますか?」
超音波攻撃に対する備えはちゃんとしておかないとね。みんなも頷いている。
「耳当てですか? もちろんございます。雪山登山には欠かせない装備ですから。良かったらご案内しましょう」
「ありがとうございます」
◇◇◇
町長さんに連れられて行った先は、所謂スキーSHOPだった。
「ねぇ、これ可愛くない?」
「こっちの方が可愛いですわ」
すっかりお買い物モードのアリシアとシャロン様に殿下が苦言を呈す。
「おい、お前ら。これから討伐しに行くってことを忘れんなよ。可愛さよりも機能性を重視しろ」
「「 は~い 」」
ともあれ装備を万端にして、アタシ達は山に向かった。
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