その後、族長さんの家で夕食をご馳走になった訳だが...
うん、もうね...これもドワーフのイメージ通りって言っていいのか分かんないんだけど...とにかく肉、肉、肉、そいでもってまた肉な訳よ...あとお酒ね。ドワーフの皆さんは水を飲むようにガバガバ飲んでる。ドワーフはお酒に強いってイメージあったけど、まさにその通りって感じだね。
アタシ達は全員未成年ってことにして、ジュースを出して貰った。飲んでもいいんだけど、さすがにあのペースには付いて行けないって思ったからだ。シルバ君はアタシ達と同い年くらいって言ってたけど、大人と同じペースでガバガバ飲んでる。さすがはドワーフ。
宴もたけなわに差し掛かった頃だった。
「あ、あの! ミナさん!」
シルバ君が私の側にやって来た。
「はい?」
「あの、その、えっと...」
なんだろう? 髭モジャで顔赤らめてモジモジされると若干キモいんだが...
「ぼ、僕と、けけけ結婚してくれませんか!」
「はいぃ!?」
ちょっと待って欲しい。初対面でいきなり結婚とか有り得ないでしょ!? そう言おうと思ったら、
「シルバとか言ったな? ミナは俺達の大事なむす...仲間だ。結婚なんてまだ早い...ってか会ったばかりだろうが。絶対に許さん。分かったな?」
だから殿下! また娘って言おうとしたろ!? ってかいつの間に現れたのさ!? さっきまで側に居なかったよね!?
「殿下が先に言っちゃいましたけど、いきなり会った初日にそんなこと言われても...なんで私なんです?」
「その...運命を感じたんです!」
「はぁ...」
「ドワーフの血を引いていて、こんなに美しい人を僕は初めて見ました!」
「はいぃ!?」
いや、ちょっと待って欲しい。誰がドワーフの血を引いてるって!?
「プハッ!」
おい殿下! 他人事だと思って笑ってんじゃねぇ!
「ち、違います! 私、ドワーフの血は引いていません! 両親とも人間です!」
「えぇ~! そんなに小さいのに!? ウソだぁ~!」
あんたに言われたくないわ!
「プハッハッハッハッ! く、苦しい...ヒャハハハ!」
殿下うっさい! 笑い過ぎ! ほら、何事かと思ってみんな集まって来ちゃった!
もうそこからはカオスだったよ...
シルベスターが「ミナは絶対渡さない! 決闘で勝負だ! 表出ろ!」とか言い出すし、エリオットは「ミナが欲しいなら僕を倒して奪ってみろ!」とか言い出すし、シャロン様は「私の娘に手を出そうなんて百年早いのよ!」とか言い出すし、アリシアは「キャハハ! こりゃ良い酒の肴だ! もっと酒持ってこ~い!」とか言い出すし。
まぁ要するに、みんな酒が入っていたと。
この酔っ払いどもがぁ! 人を酒の肴にしてんじゃねぇ!
こうなりゃアタシも飲んでやるぅ!
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