【完結】慰霊の旅路~対峙編~

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浦添城跡/浦添大公園(沖縄・浦添市)

公開日時: 2022年1月15日(土) 22:13
文字数:8,753

旧海軍司令部壕を後にした侑斗達は次の目的地である浦添城跡へと向けて車を走らせていた。


後部座席に座る侑斗が助手席に座る白鳥に「そういえば旧海軍司令部壕の中で熱心に写真撮影をされていましたけど何か収穫でもあったんですか?」と訊ねると、白鳥は「ああ。俺達で管理しているWEBの心霊体験談サイトの九州お遍路の旅で寄せられていた不可解な写真とは全く違ったが、あの俺達が見た壕内で見た眼鏡の男はばっちりと撮影することが出来た。しかし俺もこんなに生々しいものを見たのは久しぶりだなあ。」と語る一方で「侑斗君、仕事で沖縄に来たという割には随分と心霊観光を満喫しているじゃないか。そのうえひめゆり学徒隊の女の子たちに侑斗君があまりにもイケメン過ぎて憑いてこられてしまう事態になったと聞いた。すぐ佐賀に帰るべきだったのにどうして帰らなかった?支倉と遊びたかったのか?」と訊ねられると、侑斗は「もともと喜屋武岬の心霊観光地としての視察が終われば、土曜日までに心霊観光地としての視察を終えなさいという内容だったんで、もともと市長には土曜日に沖縄に行くことは伝えていたし、すぐ佐賀に戻ってくるか否かとなると土曜日の市役所は基本当直の市役所職員しかいない状態なわけだし、すぐに戻ってくるか沖縄で遊んでから帰ってくるかはそれはお任せするよって言われていたんだ。だからたまたま支倉さんが忙しいのに時間を取ってくれたというのもあって、お言葉に甘えて同行することにしたんだ。」と答えると、白鳥は「そうか。次の検証地である浦添城跡で支倉は16時には戻らないと与那国空港行きの飛行機が16時15分に出るのが最終なんだ。なのでゆっくりできたとしても15時までには退散しないといけない。今が11時40分を過ぎたころだから、浦添大公園に到着するのが高地の上を歩くとしたら12時を過ぎてしまうことになる。ガレージから徒歩で2~3分歩いたところで辿り着くからあっという間に到着するよ。」と説明すると、侑斗は「大丈夫です。僕も19時15分発の福岡空港へ向かう飛行機に乗りたいので、3時間もゆっくりできる時間があれば、納得のいくところまで心霊検証を行うことが出来ます。」と話すと、それを聞いた支倉が笑いながら「本当に熱心だな。俺はもう浦添城跡を後にしたらすぐにでも那覇基地内に戻って予め用意をしておいた旅行鞄を持った状態で与那国へ出発するしかないからね。俺がいなくなって侑斗君が白鳥とどう過ごすかはあとは二人に任せるよ。」と切り出すと、侑斗と白鳥が思わずお互いの表情を見始める。


侑斗は「せっかくの日曜日ですから彼女さんとデートをしたらどうですか?」と聞くと、白鳥は「果歩ちゃんね。でも俺と果歩ちゃんは遠距離恋愛なんだ。果歩ちゃんと俺はマッチングアプリで知り合って、果歩ちゃんは今船橋にいるんだよ。」と答えると、侑斗は「沖縄に居たら、船橋市なんて遠いですね。お互い会いたくても会えないイライラばかりが募るんじゃないんですか?」と聞き始めると、白鳥は「それがお互いの距離が離れていればいるほど、良い距離感を保つことが出来る。干渉し過ぎず、束縛し合ったりしない。遠距離だからこそ、お互い良い関係を築いている。勿論会いたい気持ちもあるけどね。でも俺の中ではある程度お金を貯めてから果歩ちゃんのことを幸せにしたいと考えているんだ。いずれ結婚したい。」と話すと、侑斗は「いいですね。お互いのことを理解し合いながら良好な関係を築けるって、遠距離になればなかなか出来ないことだから素晴らしいと思いますよ。」と話すと、白鳥は照れ臭そうに「そんなことでもないよ。」と語ったのだった。


そして三人の乗る車が”ハクソー・リッジ メインエントランス&パーキング”とグーグルの地図上で案内される場所へと車を駐車させてから、徒歩で浦添城跡を目指して歩くことにした。


侑斗が支倉に「やっぱり調べてみると、浦添大公園が心霊スポットとする記事もあれば浦添城跡を心霊スポットとする記事もあり果たして真実ってどうなんですかね。」と聞き出すと、支倉は「浦添城跡が広大な敷地を誇る浦添大公園の一部にしか過ぎないんだよ。なので侑斗君が見たという映画のハクソー・リッジのロケ地もそうだし、主人公の名前にちなんだデズモンド・ドス・ポイントとされる場所も浦添大公園の敷地内にある観光スポットなんだよ。ただ強いて浦添城跡のほうが実際の激戦地でもあったから、こちらのほうが御霊の目撃証言が後を絶たないんだよ。」と話すと、侑斗は「それってやっぱり軍人の霊を見たとかそういうものですかね?」と訊ねると、支倉は答え始めた。


「太平洋戦争で多くの方々が亡くなった激戦地でもあるからね。歩く兵隊の霊の目撃例のほかは、子連れの女性の霊、半透明の羽衣のようなものを身に纏った幽霊の目撃談があるそうだ。浦添城跡だけで調べると、日本兵の霊が出ると言われ防空壕へと引っ張られそうになる、強烈な死臭が鼻を突くことがある、足のない兵隊の霊が匍匐前進をしながら近づいてくる、下から赤い顔の兵隊が睨み付け乍ら呻き声をあげてくるなどの噂があるが、全てにおいて共通しているのはやはり日本兵の霊が出てくるという事だろう。ただ、全ての霊が出てくる理由については解明されていない。一つ言えることがあるとしたらここは激戦地で多くの方が命を落としている。ここは御霊が集まりやすい条件が全て揃っている霊場とも言うべき場所なのかもしれない。実際に浦添大公園で見たという方の体験談を読んでみた。内容としては投稿をしてくれた方が高校生の時に友人と夜の8時頃に浦添大公園で喋っていたところ、明日は学校もあるからそろそろ帰ろうかと話をして家路に着こうとしていた時、長い下り階段を歩いているときにたまたま後ろにいた友人を振り返ったときに、友人が目を大きく見開けて左にある森林を眺めていたという。体験談のエピソードの投稿をして頂いた方もその方向が気になり見てみると、2m近くの全身が真っ白の男が宙に浮いた状態で、投稿をしてくれた方と友人のほうを見て右方向に移動して消えてしまったというものがある。そのほかにも、沖縄自動車道から西原インターチェンジに入る際に聞いていたラジオから付近の伊祖トンネルで事故が発生しているとの情報が入り、渋滞に捕まりたくない一心から330号線に入るとすぐ左側の上り坂に入り右折をしたという。時間帯が夜であったため浦添大公園を避けて通ることにしたそうだが、この道を通るのは初めてだったそうで58号線に向かうつもりだったが行き止まりによく当たってしまい完全にどこを走っているのかすら分からなくなった状態で気が付けば森の中を走行していたという、そのときに車が浦添大公園の中を走っていることに気が付き、仕方なく浦添市役所の方向へと目指した。そして、伊祖トンネル付近の真上にある陸橋を通ったときに前を走る車との間に黒い火の玉を2体目撃したという。二人の方がお亡くなりになったのかは定かではないが、消えた瞬間に左側前方に電話ボックスが見えてきて、その瞬間に”電話を取って欲しい”という意思表示にも感じ取ることが出来て恐怖のあまりにその場を後にしたという。翌日に職場の上司が伊祖トンネルの事故現場を見たそうだが、車の窓ガラスにヒビが入っており黄色い自転車があったという。状況から察するとトンネル内で事故を起こしたのだろうという事だが、通りかかった際に目撃をした黒い火の玉のことが頭をよぎったので、ゾッとさせられたという話がある。今のところ寄せられている心霊の噂や体験談はそれぐらいだなあ。」


支倉が話す内容に、侑斗が「黒い火の玉を目撃したとされるのは、それは間違いなくトンネル内で事故に遇って恐らくですがお亡くなりになられているのだと思います。事故が遭ったと知ったのは事故が遭った直前ではないですよね。ラジオの交通ニュースなどを拝聴して知ったのであれば、事故に遇われた方が自らの死を理解できずに通りかかった車に対してSOSを発信した可能性は有り得ますね。電話ボックスに電話して救急車を呼んでほしいとかそういったものでしょう。しかしもう一つの謎が全身が真っ白の2m近くの男が立っていたということだ。浦添大公園は激戦地ではあったがただそれだけがどうして現れたのかがしっくりと来ない。」と話すと二人のやり取りを聞いていた白鳥が「他の心霊スポットの検索サイトを見てみたんだけど、浦添大公園は沖縄の数多くある激戦地の一つである。それは説明しなくともわかると思うが、殺戮があった場所では成仏することが出来ない御霊が多く存在しており、死を引き寄せるのではないかという話があった。浦添展望台ではホームレスの遺体、浦添運動公園では首吊り遺体が発見されているという。霊が見える人にとって浦添公園に足を運ぶとあちこちに霊が見えて、とりわけ兵隊の格好をした霊の目撃例が多いらしい。又頭から足の先まで真っ白の男が空中に浮いていたという目撃情報もある。恐らく支倉が話していた内容と重複する点だと思うが、真っ白な男、何だろう。」と語った後にうーんと言いながら悩み始めると、侑斗がある可能性を示唆した。


「白いということは未成仏です。それに真っ白な姿で現れるとしたら、兵隊の格好をした霊の目撃例があることを考えると、兵隊ではないという事だと思います。展望台で亡くなられたホームレスの方の御霊かもしれませんしね。運動公園で首吊り自殺を図った方が次の自殺者を誘発するために現れたとしてもそれは自らの命を絶った運動公園で現れる可能性があるはずでしょうし、浦添大公園のどこなのかがそもそもが広大過ぎるがゆえに特定のしようがありませんね。展望台で調べたとしても、どこの展望台なのかが一つ一つを調べていたら支倉さんの出発時間に間に合わなくなりますからね。情報が乏しすぎますよ。僕だって過去の透視が出来るとはいえ、場所が広大過ぎてどこで何が起きたのかがはっきりしていないと、ピンポイントで”ここで何かありましたよね?”なんてことは申し上げにくいことですからね。」


侑斗が話すと、白鳥は「そりゃそうだよ。遺体が発見された展望台や運動公園は何所ですか?ってなると、浦添大公園に限れば複数あるからね。どこで発見されたのかが分かっていないと時間の無駄だろう。それにいつ発見されたのかも、こういうことがありましたぐらいでは、恐らくだけど夜に訪れた際にあまりにも陰鬱な印象から出てきそうだと思ったことが一つの可能性として”あり得るのでは”という話がいつの間にか噂話の一つにしか過ぎなかったことが”あったかのように”情報として世の中に拡散されてしまった可能性も捨てきれない。浦添大公園だけで事件があったか調べては見たけども、心霊スポット検索サイトで投稿されているような情報はなかった。」と答えると、それを聞いた支倉は「まあ兵隊の霊が現れるのは間違いないだろう。これから先に俺達が歩く進行方向の左手の方向に見えてくる浦添城跡、戦時中は日本兵が防空壕として利用をしていただろうディーグガマ、前田高地、デズモンド・ドス・ポイントの一つ一つを見て心霊検証を行うしかないだろう。ある程度霊視で検証し終えた後に、場所は離れてしまうが、前田高地平和之碑があるから帰る際はしっかりと挨拶を済ませてからこの場を後にしよう。」と案を切り出すと、白鳥は「結局何処でというのが特定しきれない以上は、激しい戦いをしていただろう浦添城跡から前田高地の付近を注意深く調べていくしかないだろう。そしてこの撮影された心霊写真も恐らくは戦死された方だろうという事を察すると、やはり浦添城跡の付近が極めて高いと思う。」と話すと、侑斗は「そうですね。やはり残留思念が残っているとしたらそこしか考えられませんからね。」と深く頷いた後に、三人は浦添城跡のところまでやってくるとそこで霊視を行うことにした。


3分程霊視を行い、侑斗が支倉と白鳥に「浦添城跡がかつてあったこの場所よりもその先のほうが強く気配を感じますね。Googleマップで見るディーグガマ周辺が特に重苦しく感じますね。」と切り出すと、支倉が「ディーグガマは何年か前に落盤したのでガマの中に入ることはできないが近くまでなら行くことが出来るみたいだね。試しに霊視でもしようか。」といって提案すると、白鳥が「この先に進むのってあんまりいい気がしないんだけどな。それにさっきから後ろから声がしてくるんだよね。悲鳴とかじゃないんだけど、こう声にならぬような感じの声がするんだよ。戦死された方が助けを求めるために必死になって声を上げている。そんな気がするな。」と話すと、侑斗は「確かにそうですね。仰っていることはよくわかりますけど、でも原因が分からないと心霊調査をお願いされた理由が分からないですからね。先へ進んでいくしかないでしょう。」と話し、三人はディーグマガマへと移動することになった。


そして”ディーグガマ”と書かれた石碑に辿り着くと、侑斗は「この階段を下りた先がガマだった場所なんですよね?」と支倉に聞くと、支倉は「そうだね。検証のためにも階段を下りてガマの近くまで行って見ようか。」と話し始めると、支倉が先に階段を下り始めると、続けて侑斗が階段を下りていくが、白鳥だけは降りることに躊躇うのだった。そんな姿を見た支倉が白鳥に「どうした?心霊突撃しないのか?」と訊ねると、白鳥は苦笑いをしながら「何を言っているんだよ!突撃せよ!なんていつの時代だよ!今は令和だよ!」と突っ込みながら話すと「階段から先のほうに嫌な感じがするんだよ。それに俺の後ろ側から誰かが俺達の行動を見て見張られているような気がしてならない。」と理由を説明すると、支倉は「それは俺も侑斗君だって気付いている。でも正体が分からないと”気味の悪い場所ですね”といって白鳥の霊能者としての視察は終わりなのか?それじゃ何の解決策にもならないだろ。俺達と行動を共にしているのならば、最後まで同行しないといけないはずだ。」といって説得すると、白鳥は「気は乗らないけどしょうがない。行く。」と言って話すと、渋々とした表情で階段を下りてガマ近くにまでやってくると、金網の先に見えるお墓のようなものを改めて見たときに、支倉が「ここは戦死された方々を供養するためのお墓がある。ということは遺骨も眠っているのだろうか。」と気になったことを話し始めると、侑斗は持っていたタブレットを片手に「遺骨はここにはないようですよ。平和記念公園がある摩文仁の丘に移動されたとありますので、お墓はかつての名残かもしれませんね。僕が透視を行う限りではここから多くの日本兵がアメリカ兵が攻め込んできたときにこのガマから出撃しているのが見て取れました。間違いなく戦時中に使われていたんですね。だから今でも御参りに来られた方が金網に折った千羽鶴を飾って御帰りになられるということだと思います。ここには日本兵も含めこのガマに避難をしていた住民の方々がアメリカ軍の攻撃を受けお亡くなりになられたのでしょう。今も無念が残っていてもおかしくないでしょう。」と話すと、白鳥は「侑斗君の透視した結果が真実ならば、俺達が今まさに聞いたあの声にもならぬあの声は、戦死された方だということか。」と話すと、侑斗は「間違いなくそうでしょう。そうこうしているうちに僕達の周りをまた囲んで注意深く見られているような気がしてなりませんね。気持ち悪いという感覚には襲われませんが、あんまり長居して良い場所ではないと思います。ある程度の検証はし終えたのでさっと前田高地とデズモンド・ドス・ポイントを検証し終えてから、前田高地平和之碑へ御参りして帰りましょう。」と語り、支倉も同じことを考えたのか「そうだね。自殺の名所ではないので生者に禍を齎す危険性こそはないが、浮遊霊である以上に何処でも憑いてくる危険性が極めて高いからね。写真を撮った人に霊障のようなものが現れていないかが心配だ。」と話すと、白鳥は「一応メッセージを寄せてくれた人によると、不審な写真が撮れたほかは特に気味の悪い事は起きていないらしい。ただ、あんな写真が撮れてしまったので、夜寝ようとした時に誰かがいるんじゃないかと思うと怖くなって寝れなくなってしまっているとか、それぐらいしか報告は聞いて居ない。」と話すと、支倉は「まあそれぐらいならよくある話だろうしね。それに浮遊霊が家に憑いてきたとしても悪さをしてくる可能性は無いから気付いていないだけかもしれない。いるかもしれない。」と答えてから、三人はディーグガマを後にして前田高地、そしてデズモンド・ドス・ポイントへと足を運び念のためにゆっくりと歩きながら霊視検証を行うことにした。


侑斗が気になったのか展望台のところまで駆け寄ると何かを発見したのか白鳥と支倉に対して「デズモンド・ドス・ポイントとされる場所の近くにある展望台のところにまで足を運ぶと、ここだけが一変して空気が違う。ここが噂にもあった”首吊り自殺の現場”だったのか。ここを改めて確認しなければいけないような気がする。過去を透視してみる。」と話すと、白鳥と支倉が侑斗の発言の真偽を確かめるために侑斗の近くにまで駆けつけると、改めて展望台が極めて外の体感気温と比較しても明らかにひんやりしすぎていると言うべきなのだろうか、空気が明らかに違っていた。


支倉が侑斗に対して「先程のディーグガマと同じような、嫌な雰囲気がある。同時にここにきて崖の近くから青白い顔をした男がこちらを覗き込んでいるようにも見受けられる。それが恐らくだが、展望台付近で目撃されることが多いから”自殺した”と思われるのかもしれないが、いやこれは違うはずだ、上半身だけで都市伝説のテケテケみたいだな。厳木ダムのトンネルでテケテケが出てくるという噂は知っていたけど、沖縄にもテケテケがいるとは予想外だった。違いをあげるとしたら少女じゃなくて男だけどな。爆死したのか大腸らしき内臓が見えているのはおかしい。これまでの損傷具合だと即死しているはずだが。」と話すと、白鳥が支倉に「言い方が悪いかもしれないが活造りのようなものだよな。一瞬で攻撃を受けたために、一瞬のうちには死にきれなかったのかもしれない。もがき苦しんだ末にお亡くなりになられたのかもしれない。今も通りかかった人を見るたびにSOSのサインを出しているのならば死んだことすら一瞬のために理解を示していないのかもしれない。」と話すと、二人の話を聞いた侑斗は「事実が分かった以上はここで手を合わせ、前田高地平和之碑へと向かいましょう。」と打診したところで、三人は前田高地を後にして前田高地平和之碑のある場所へと徒歩で移動し始めた。


歩きながら侑斗は「案内板が設置されていて非常にわかりやすくなっているんですけどでもあの岩と岩の金網のところに”ハブ注意!”って書かれてあるじゃないですか。もしハブが出てきたら誰が対処できるんですかね?」と白鳥と支倉の課を置見ながら話すと、支倉は「何俺達の顔を見ている?俺達はハブの駆除専門隊じゃない!遭遇したらしょうがない!それだけだ!」と強い口調で言い返すと、岩と岩の間にある階段を下りて、前田高地平和之碑へとやってくると、慰霊碑を前にして三人は深々と頭を下げて両手を合わせ拝むことにした。


一通りの心霊検証を終え、侑斗が支倉に「もう15時が迫ってきていますけどもうそろそろ帰らないと、飛行機が間に合わないんじゃないんですか?」と話すと、支倉が「そうだね。帰らないと、そもそも俺達昼御飯すら食べていない。せっかく浦添まで来たからここでしか味わえないも、検証に時間がかかってしまって何だか侑斗君に申し訳ないね。でも投稿をして下さった方に改めてこの地に訪れたことで心霊検証を行った結果を伝えることが出来るからね。侑斗君が過去の透視をしてくれたのも非常に助かった。俺達には透視は出来ないことだからとても有難かった。有難う。」と改めてお礼を言うと、侑斗は「いえいえ。とんでもないです。」と謙遜しながら返事をすると三人は元来た道へと再び戻り、駐車場まで戻ってくるとその場で自身の御祓いを済ませて、支倉の事務所マンションへと戻ることにした。


ハンドルを握りながら支倉が侑斗に「俺は事務所に戻ればすぐ基地に戻って空港に行かなければいけないけど、侑斗君4時間以上も時間があるけどこの後どうする?」と訊ねると、侑斗は「まずコンビニで食べるものを買いたいですね。」と話すと、支倉が「あと1か所慰霊の旅路をしてきたらどうだ?因みに侑斗君に最初に伝えていたアブチラガマも実は観光に訪れた人からの情報で霊障によるものなのか心霊検証してほしいというのがあってね、さっと食事を済ませたらゆっくりと検証することも出来るだろうから、白鳥と二人で行ってきたらどうだ?」と切り出されたとき、助手席に座る侑斗が後部座席に座る白鳥の顔をお互い見ながら、侑斗は「お泊りまでさせて頂いていますからお手伝いできることはしましょう。」と依頼を引き受けることを表明すると白鳥が「支倉のその話し方から察すると依頼を引き受けたってことだな。」と苦笑いしながら話すと、支倉は「ごめん。どうしてもと言われ引き受けたから二人で対応してほしい。交通費って要らないのにお金まで貰ってしまったから引き受けるしかない。」と答えるとそれをきいた侑斗と白鳥は車の中で失笑するしかなかった。

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