【完結】慰霊の旅路~対峙編~

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打越橋(神奈川・横浜市)

公開日時: 2021年12月26日(日) 16:27
文字数:8,091

打越橋へと向かう道中、2日間、心霊調査の疲労が拭えぬ侑斗と芦原はぐっすりと眠りについていた。その一方でぱうちゅは先程の芦原の言葉にショックを隠せられないまま次の打越橋へと向かおうとしていた。


車内で二人がぐっすりと寝ていることに配慮してぱうちゅは次に向かう打越橋の簡単な打ち合わせを放浪中ちっちと共に小声で行い始めた。


「錦ヶ浦でわたしがカメラで撮影した映像、ちっちさん見てくれたじゃないですか。あのときに何かしらの心霊映像らしきものはあったんですか?もしそれがあったとしたら次の打越橋にも憑いてくる危険性は考えられないんですか?」


ぱうちゅの心配に放浪中ちっちは笑いながら答えた。


「ぱうちゅちゃんが”怖い!怖い!”と怯えている様子は見て取れたし、崖下の映像にも不自然な点は何一つなかった。目に見えぬ恐怖があった。それだけでは心霊映像の撮影に成功したとは言えないからね。出ると思ったけど失敗だったわ。」


放浪中ちっちの言葉を聞いてぱうちゅは一安心したのか、放浪中ちっちに「いえ何事も無かったらそれだけ安心が出来るってことじゃないですか。憑いて来ていないと分かればそれだけで十分だと思いますよ~!」と笑いながら返すと放浪中ちっちは「それじゃあ、オカルト番組としての”怖い”を謳い文句にしたVTRを撮影したかったのにその目標が果たせないようでは視聴者からは”ビビって終わり”と思われてもしょうがない。失敗だわ。視聴率は取れそうにない。」と頭を抱えながら話すと、その様子を見たぱうちゅは「何も禍が起こらなかっただけでもよかったってことですよ。だってあの時何か起これば誰かひとりは死んでいた可能性だってあるんですよ。そう考えたら何事もトラブルが起きることなく収録が終わってよかったと思いますよ。後はしゅわぷるが担当している宇宙人大追跡大作戦が成功すれば、ここで”怖い!”と思えるようなVTRの収録に失敗したとしてもしゅわぷるで名誉挽回が出来るかもしれないじゃないですか。もう少し考え方を前向きに捉えましょう。」と切り出すと、その言葉を聞いた放浪中ちっちが「あの何度やってもやっぱり駄目でしたで終わり、UMAも見つからずで終わり、今やっているのって岐阜のほうで赤いコートを着た口裂け女を追跡するって企画だっと思うけど、それも失敗だわ。」と語ると、ぱうちゅは「まあまあ。今度は人面犬を追跡させましょうよ。埼玉県飯能市の畑トンネルとかで、人面犬いますか!?って叫んで探し続けるのもアリですよ~!」と語ると、それを聞いた放浪中ちっちは失笑しながら「あのね、そういうことはうちの番組じゃなくてもいいでしょ。全然怖い!って路線から逸脱してしまう。」と話すと、二人のやり取りを聞いた芦原が目覚めて「どうかされましたか?」と聞き始めた。


熾してしまって申し訳ないと思ったぱうちゅが「ごめんなさい。起こしてしまいました。」と謝ると、芦原は「大丈夫よ。そろそろ打越橋の打ち合わせをしたい。」と語り始めると、放浪中ちっちが打越橋に纏わる怪談話をし始めた。


「次の打越橋は横浜でも最恐と言われるほどの心霊スポットとして知られる自殺の名所よ。ここでは主に自殺者の霊の目撃証言が後を絶たない。一つは橋の下を通過する車に自殺者の霊が飛び降りてくる、二つは車が橋の下を通過する際にハンドルを取られそうになったりするなどの車が異常をきたす、三つは自殺者のバラバラになった首やら足や腕、耳、目が橋の周りを浮遊しているという。橋から地面の高低差があるために自殺者が絶えぬ理由にも繋がったそうだが、現在は自殺対策のために高いフェンスを設置して、自殺が行えないような作りにした効果も発揮したのか、現在は自殺者が減ってきている傾向にあるそうだが、未だに車がこの橋の付近に差し掛かった際に事故を起こしかけたという話がある。それが、山の上にある客先に向かう途中で箸の下に差し掛かる少し手前で急に車のハンドルを取られてしまい反対車線へと出てしまった結果、タイミングよく対向車が走ってこなかったために難を逃れたという話がある。その出来事が快晴の夕暮れ時に緩やかな登りのカーブに差し掛かったこともあって少しぼんやりしすぎていたのかもしれないと思ったそうだが、その一か月後に再び同じ時間帯に、再びハンドルを取られてしまい対向車線に出てしまい、タイミングよく対向車がなかったために難を逃れた出来事が続いて起こったらしい。さすがに二度も続けて不可解な現象に出くわしたその人は二度とこの橋の下を通らないと決めたという怖い話がある。そこで当番組としては、橋の付近での調査は安全上の事を考えて車を橋の近くのコインパーキングに停車をさせてから徒歩で打越橋に今も自殺者の幽霊が彷徨っているのか否かの心霊調査を行いたいと考えている。」


放浪中ちっちの話に芦原がじっくりと聞き始めているうちに、侑斗が目覚めた。


「うん?体がバラバラの幽霊が出るって。ふぁああ。常識的に考えてもあり得ない。遺体になってから現れるなんてことはまずないだろう。お休みなさい。」


侑斗がそう語り、再び眠ろうとした時に、つかさずぱうちゅが突っ込んだ。


「言いたいことは言ってすぐ寝るってどういう神経をしているの!?」


ぱうちゅが思わず声を上げると、芦原がぱうちゅに「ごめんね。一応こういう変わった兄弟だからね。まあ侑斗君のほうがまだ融通が利くほうかな。お兄ちゃんのほうがずば抜けて変わり者なのは間違いない、変なところで意地とプライドがあってねあれは知っている人じゃないとまず理解できるもんじゃないからね。兄弟の良いところはハーフだから見た目だけは恵まれた、人間性においてはどちらも清水の滝の滝行が必要なレベルね。」と語るとぱうちゅが「アハハ。そうかもしれませんね。」と笑いながら喋ると、その間に侑斗が起きていた。


思わずぱうちゅが芦原に「ちょっ、侑斗さんがまるで睨み付けるような鋭い形相で見つめてきましたけど聞こえていたんですかね。」と聞こえぬように耳元で囁き始めると、そんな二人のやり取りを見た侑斗が大きな声で怒り出す。


「俺は兄貴と違ってそこまで変わり者じゃない!それに週末の日曜日は欠かさずと言ってもいいぐらい、俺は清水の滝で滝行の修業を行っているよ。はっきり言って、もう常連レベルと言ってもいいぐらいに足げなく通って精神修業をしている。芦原さんやぱうちゅさんにはわからないことかもしれないけど、俺はこう見えて霊能者としての修業はみっちりとしているほうなんだぞ!!」


侑斗が強い口調で主張すると、それを聞いた芦原が「ごめん。ごめん。言い過ぎた。悪かったね。」と言って謝ると、一同の乗る車は打越橋の近くのコインパーキングに停車をさせて、車を降りたところから打越橋のVTRの撮影がスタートした。


「はーい!次に向かう心霊検証の地は横浜市内に存在する心霊スポットの中でも最恐を誇るとも言われている打越橋です!主に伝わっている心霊現象としては、橋の下を走る車のドライバーが自殺者の霊を目撃する、車が誤作動を起こしやすい、自殺者の体の一部が浮遊しているなどがあります。そのほかは気分を悪くしやすいというのもあるようです。現在は自殺対策のために高いフェンスを設置して自殺が多発したころと比較すると明らかに減ってはいるようですが、未だに投身自殺を図る人がいるのも事実のようです。そこで歩いて検証を行った末に、打越橋の下にある地蔵尊の前まで来てそこでも心霊写真が撮れるなどの報告があがっているため、そこでも心霊調査を行うというのが今回の打越橋の調査テーマです。打越橋の心霊調査でも引き続き霊能者の饗庭さんと芦原さんに帯同してもらいます。では早速行きましょう!!」


ぱうちゅがカメラを前に説明をするとゆっくりとした足取りで橋に向かって歩いていく。芦原と侑斗はぱうちゅの後をついていくような形で歩いていく。そして、ぱうちゅが橋の手前に差し掛かった時に何かを感じ取ったのか、思ったことを率直にカメラを前にして語り始めた。


「今目の前に打越橋がありますが、霊感をあまり感じないわたしですら、ここに近づくとどこか、ひんやりとした空気に包まれて、段々と悪寒に近いような寒気が走ったような気がします。気持ち悪いというわけではないのですが、”何か”がいるような気配はより一層強く感じられます。では検証のためにもフェンスに近づきましょう。」


高らかに誓ったぱうちゅだったが恐怖心には勝てないのか恐る恐るフェンスに近づき手で触れ始めると、何かに気が付いたようだ。


「橋の下は坂になっているのですけど、重力があるのかどうか言葉では説明できないのですが、引っ張られてしまいそうなそんな感覚に襲われてしまいますね。ここが自殺の名所と言える所以が何となく改めて立ってみてわかったような気がします。ここから眺める景色を見ているだけで、意識のしないうちに飛び込んでしまいたくなるのかもしれません。噂では自殺を図ろうとした方が意図しないうちに投身自殺を図っていて、そしてそういった霊達による仕業か、新たな仲間を増やすために次から次へと自殺者を誘発するという話があるのも頷けるような気がします。因みに打越橋が開通した当初は、横浜市電が走っていたそうです。自殺者が多いことを示すためにも橋には意味深なプレートが設置されています。読んでみましょうか。」


ぱうちゅがそう語ると、設置されたプレートを読み始めた。


”すべて重荷を負うて苦労している者はわたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。イエスキリストは云われた。”


内容を読んでみるのは良いが、書かれた内容が今ひとつ理解が出来なかったのか、ぱうちゅは思わず”イエスキリストは云われた”ってどういうことなのかと首を傾げたところを、侑斗がぱうちゅに対して分かりやすく解釈をしてくれた。


「今調べたら近くに教会がある。恐らくだが近くの教会が自殺者が多いことに心を痛めてプレートを設置したのだろうと思われる。プレートに書かれた内容はバイブル(=聖書)に書かれた内容そのものだ。分かりやすく言うなら、生きていて辛いと思うこと、重荷だと感じるような苦労を強いられることがあれば教会に来なさい。心悩むあなたがたに休ませる場を提供しましょう、ということ。投身自殺を思いとどめさせるのを目的にしている内容になっている。こんなプレートがあるのだから、相当の自殺者が出たのは間違いないだろう。件数としては少なくなったのは確かのようだがフェンスが不自然な形で湾曲しているあたりから察しても、誰かがよじ登りその重みでフェンスの形が曲がってしまったようにも見える。」


侑斗がそう語ると、そっと静かに霊視検証を行い始めた。


そして近くにいた芦原も同様のタイミングで霊視検証を開始した。


時間は13時30分を過ぎ、40分になろうとしていた時間帯だったという事もあってか車などが行き交う中で、邪魔にならぬように周りを警戒しながら行う事10分ぐらいが経過して、芦原と侑斗の中で霊視した結果を伝えることにした。


まず芦原がカメラを前にぱうちゅに対して「橋を渡り切って見てどうだったかな?何か感じました?」と訊ねると、ぱうちゅは「霊感をあまり感じないので実際にこの地でお亡くなりになられた幽霊を見たわけではないのですが、実際に来て見てやはりいい意味で嫌な感じの、嫌な雰囲気だけは凄く感じ取ることが出来ました。きっとまたこういうことを言ってしまえば、わたしが今持っているこのハンディカメラで実際は歩きながら撮影をしていたんですけども、ひんやりとした空気を感じるのはまあまあ下を走る車によるものもあるかもしれないんですけれども、自殺の名所だということを分からずにこの橋を渡ったとしてもやはり”何かあるな”というのはひしひしと伝わってきました。あまり長居をしていい場所ではないような気がします。カメラに写っているかどうか本当に自信のない事なのですが、先程から妙にわたしの背後から誰かに見られているような、そんな気配が強く感じます。」と語り終えると、芦原はカメラに向かって霊能者としての意見を話し始めた。


「打越橋の下にはかつて横浜市電というのが走っていた時代がありました。打越橋は横浜駅から山元町の間にあるというのもあって、恐らくだが市電が走るところのほうへと飛び込んだ方のほうが、過去の市電が走っていた時代に撮影された写真と比較した際に自殺者の御霊ではなかろうかという強い気配を感じたのがちょうど橋の真ん中あたりから、橋の渡ってすぐの街灯がある付近ですかね。下にちょうど木が生えているところも恐らく多発していたであろうと推測されます。つまり、市電が走っていた時代には市電が走る真ん中あたり、現代は車が走っていますから直接ぶつかるのが怖いと思ったのかクッション材にもなり得る歩道の木のあたりを狙って投身自殺を図った可能性というのも非常に考えられます。自殺防止用のための高いフェンスはわかるのですが、わたしが今まで見てきた八木山橋は見ていてゾッとするぐらいの有刺鉄線や鼠返しなどで張り巡らされている様子などを見ていると、それでもよじ登り自死を選ぶ方がいらっしゃるのかと思うとというのを思い出しましたが、ここは一番高いフェンスの部分が屈折するような形になっているので、高いフェンスにしたことでより効果はあるように思われがちですが、逆にこの屈折したフェンスに腰を掛けるような形で飛び込みを図っても不思議ではないように思います。その結果、フェンスに誰かが乗ったような形の湾曲した痕跡が残ったのも、意図的に誰かが乗らなければこんな形にはならないはずですので効果の有り無しで考えると、意味を果たしていないと思います。そして下にお地蔵様が祀られていると伺いましたが、これだけ多くの方がこの地でお亡くなりになられたことを察すると、未だに浄化しきれぬ未練というのがまだまだあるような気がしてなりません。一度、打越橋の下にあるお地蔵様のところに一度行って見て御参りしてみましょうか。」とカメラに対して切り出すと、ぱうちゅは「そうですね。お地蔵様があるということは一度橋の下のところまで行ってお参りすることにしましょうか。」と賛成し、一同は橋の下にある地蔵尊のところへと歩いて移動することにした。


そして地蔵尊の前まで一同が到着すると、地元の方々に大切に供養されている様子などを改めて見て伺ったところで、深く頭を下げてお辞儀をした後に、両手で拝み始めた。地蔵を改めて見たぱうちゅが「お地蔵さんの表情を見ているとすごく穏やかですよね。地元の皆さんに愛されてとても幸せな感じがします。こんな可愛らしい赤ずきんのようなものを着せられて、さらにリースのようなもので飾られているようなのを見ると、大切にされているんだなあと思いました。」と語ると、侑斗は地蔵の周りに何かを感じ取ったのか、お地蔵さんに近づこうとしたぱうちゅに「待って!これ以上近付いてはいけない。」と注意をすると、その場で霊視検証を行い始めた。


そして霊視を行った結果を侑斗が答え始めた。


「正直な話、まあ錦ヶ浦で自殺者があまりにも多いために供養の目的で観音様が祀られているのを先程ですね実際に目の当たりにしたわけですが、自殺には防ぎようのない自殺というのがあるんです。予め遺書を書いて決意を決めた上で自殺を決行した場合は、はっきり言って決行しようとした際に”やっぱりまだまだ頑張ろう”という気持ちが気持ちの奥底に芽生えてきて、いざ自殺の名所なら死ねるだろうと思って足を運んだ結果の末に、自殺を思いとどまるというのもあるのですが、衝動的なものばかりは何をしても結果無意味なんです。衝動的なものですから生前に書き残した遺書などもなく、事故と判断しきれない以上は殆どがフェンスや柵をよじ登ったりした後の痕跡から察して自殺と判断されて処理されるのでしょうけども、こういう死に方をしてしまうと後々後悔の念だけが残ってしまいます。お地蔵さんは神様として必死になってお亡くなりになられた御霊達の心に寄り添おうとしているのは見ていてわかりました。このお地蔵さんの周囲と言いますか、囲むようにして自殺者の御霊達が複数体いるのは確認が取れましたが、中には相当の恨み辛みの念が強いのか、鋭い目つきで睨み付けてくる女性が一人いますね。自殺者でしょう。これ以上は深く関わらないほうが望ましいと思いますので我々はここで退散しましょう。念のために、お地蔵さんをカメラで写真撮影してみましょうか。」と切り出すと、自ら持っていたデジタル一眼レフカメラで撮影を行い、打越橋での心霊検証を終えた。


次の旧小峰トンネルへと向かうまでに、車を停車させておいたコインパーキングのところまで戻ってくると、出発するまでに御祓いを済ませてから車の中へと入っていくと、改めて侑斗が撮影した写真と、ぱうちゅが撮影した映像を確認することにした。


ぱうちゅが撮影した映像には何ら不自然な点は見受けられなかったがぱうちゅが”後ろから人の気配を感じる”と語ったときに映像には何も写らなかったが侑斗と芦原には見てわかったものが映りだされていた。


芦原が「霊感の強い人でなければ分からないのですが、ぱうちゅさんが気配を感じるとコメントした際に背後から男性がじっと見つめてきましたね。自殺者でしょう。若い女性に近づいて寂しさを紛らわそうとしたのかもしれませんね。」と語ると、侑斗が撮影した写真には霊感のないものでもはっきりとわかってしまう真っ赤な表情をした女性の顔が写し出されていたのだった。


それを見たぱうちゅが恐怖のあまりに思わず身震いしてしまうと、侑斗は「恐らくですが市電が走っていた時代にここで飛び込み自殺を図った方の御霊かと思われます。正直にカミングアウトするべきなのか、どうか非常に悩ましいところはあるのですが駅や踏切、ホテルと言った公共の施設で自死を選ぶというのはあまり宜しくないです。何でかと言いますと、あえて人様に迷惑をかけるような形でこの世を去っているのですから、ここ最近で発生した学校でのいじめを苦に自殺をされたティーン世代の案件なども思い出して頂きたいのですが、社会に対して憎む、恨めしい気持ちがあってそれが悩みの捌け口などが何もない状態で抱えるストレスが溜まっていったんでしょうね。我慢の限界を超えてしまったところで、爆発してしまうんです。写真に写し出されたこの女性も正直あまり赤い顔をしているので見て良いものではないですね。赤い顔は怒っているという何よりの証拠ですから、写真に写し出された女性の御霊の供養を行うことにしましょう。」と説明をしたところで写真の御祓いを行い始めた。


侑斗が写真の御祓いをさっと終わらせたところで、次に向かう旧小峰トンネルへと向かう道中、侑斗は疲れて再び眠りにつくことにした。


ぱうちゅが芦原に「先程の女性って一体何があったんでしょうね?」と聞き始めると芦原は「精神的に追い詰められるほどのことがあって命絶ったことはわたしも見てわかったが、だがこれ以上のことに関しては踏み入れてはいけない。」と答えた。その答えにぱうちゅは納得しなかったのか「それはどうしてですか?」と聞き始めると芦原は「人には人の事情がある。あまりにも内情を知ろうとし過ぎると特に我々のような霊能者は御霊にとっては”そこまで知ろうとするなら救ってくれ”とばかりに御霊が集結しかねない事態に陥りやすい。多く集まり過ぎては自分の力では処理しきれぬ事態にもなってしまうために、深く関与してはいけない。」と答えた。


時刻は14時を過ぎて、予定していたスケジュールよりも思いの外に書く心霊スポットでの心霊検証がスピーディーに進んでいくので、予想していたスケジュールよりも早くロケが終わるのではという安堵感に包まれていた。

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