【完結】慰霊の旅路~対峙編~

退会したユーザー ?
退会したユーザー

錦ヶ浦(静岡・熱海市)

公開日時: 2021年12月25日(土) 19:03
文字数:7,658

ホテルでゆっくりと寝ている暇もなく、朝8時にのアラームと共に目覚めた侑斗はすぐ部屋の中にあるシャワーを浴び、身支度をさっさと済ませてから、8時30分のチェックアウトの時間帯に間に合うようにホテルのフロントへとやってくると、ホテルの近くにあるコンビニに先ず立ち寄り車中でさっと食べることが出来るサンドイッチやパンやおにぎりなどを購入して、目的地の錦ヶ浦へと向けて走らせる。


侑斗は2日間の疲れがやはり取れないのだろうか、朝御飯を食べる様子も無く。ただひたすら寝ることに時間を費やしたのだった。そんな侑斗の様子を見たぱうちゅは、隣にいた芦原に対して話しかけ始めた。


「侑斗さん、よっぽどお疲れなんですね。」


ぱうちゅが侑斗のぐっすりといびきをかいて寝る姿が微笑ましかったのか、つい笑いが出てしまうと芦原は苦笑いしながら「まあね。ただ一緒の部屋じゃなくてよかったわ、こんないびき横で寝ていたらたまったものじゃないからね。一番侑斗君のほうが守らなければいけないという強い責任感を感じていたのかもしれない。」と答えるとぱうちゅは「侑斗さんってそういう方なんですね。」と芦原に聞き出すと、芦原はぱうちゅに「そう思うだけ。」と小声で話すと、その言葉を侑斗が聞いたのかハッとなって目覚めると芦原の顔をじっと見つめてこう指摘した。


「何?俺の悪口?」


侑斗に聞かれた芦原は「何て地獄耳なんだ。」と思いながらもそれを言葉にすることはなく侑斗に対して「ああ、大丈夫。空耳よ。ガールズトークをしていたから。」と釈明をすると、あまりにも怪しげな雰囲気だったことを侑斗は察して二人に対して自分なりのこの仕事を引き受けた理由を語り始めた。


「俺は与えられた霊能者としての仕事を全うしたい。それだけ。そのためにも仲間を思う気持ちや責任感は強く持たないと、悪に勝つことはできない。」


侑斗の言葉に二人は返す言葉もなく、芦原は侑斗の顔をじっと見ながら「そうね。その通りかもしれない。」と返すと、続けてぱうちゅも「侑斗さんの言う通りだと思います。」と芦原の表情を見た後で侑斗に語り掛けると、侑斗は「何も気遣わなくていいよ。俺は率直に思ったことを伝えただけに過ぎない。」と答えた。


一同の乗る車は錦ヶ浦の近くの歩道に安全に車を停車をさせてから徒歩で錦ヶ浦へと向かい始めたところでぱうちゅを先頭に錦ヶ浦のVTRの撮影がスタートした。


「は~い!今回はですね、錦ヶ浦へとやってきました!!今はですね、展望台に向けて歩いて移動中なんですけども、今日は晴天に恵まれて非常によかったです。こんなにも海が美しいと思えるなんてと言いますかね、凄く絶景が歩きながらでも堪能をすることが出来ます。今我々はさらに絶景を堪能することが出来る展望台へと向かっているのですが、ここは断崖絶壁の景勝地であるために、昨日に伺いました三段壁(和歌山県西牟婁郡白浜町)で心霊検証を行ったのと同じように、錦ヶ浦も山梨県の南都留郡河口湖町にある青木ヶ原樹海と並ぶほどの自殺の名所として知られています。今回は、身の安全を考え霊能力者の饗庭さんと芦原さんに引き続き同行してもらっています。今回もどうぞ宜しくお願いします。」


ぱうちゅが挨拶すると後ろを歩く侑斗と芦原にカメラを向けられると、二人はカメラを前に軽く会釈をして、ぱうちゅが芦原に「今はまだ展望台へと向かう歩道なんですけれども、何か発見されたりしたことはありますか?」と聞き始めると、芦原が淡々とした口調で霊視を行った結果を語り始めた。


「数え切れぬと言いますか、岩場のほうで多くの恐らくですが自殺者の御霊がこちらを注意深く察しているように見受けられます。展望台のほうに近づけば、益々その気配をより強く感じる危険性があります。」


芦原が語り終えると、ぱうちゅは錦ヶ浦に纏わる話をし始める。


「錦ヶ浦では、断崖絶壁な上に高さもあるため自殺者の数が500名を超えるともされています。また自殺された方の御遺体は殆ど引き上げることが出来なかったともいわれています。これだけ多くの方が命を絶った地でもありますから、心霊現象ではなかろうかと言われている現象が幾つかあります。一つは波の音と共に女性の悲鳴が聞こえる、二つは崖下の海面に自殺を図った親子の霊を見た、三つめはダイバーがアワビやサザエを沢山獲った後に調理をしようとしたところ、サザエの中から真っ黒な髪の毛のようなものが出てきた、四つめは心霊写真が撮れる確率が高い、五つめは亡くなられた方が自らと同じ自死を選択するように誘い込む声が聞こえてくる、六つめは親子で心中を図り亡くなった子供が母親を死後もなお探しに彷徨っているなどがあります。中でも子供に纏わる心霊現象の噂が非常に多いようです。」


ぱうちゅがゆっくりとした口調で語り終えたときに、一同は展望台へと辿り着く。そこでぱうちゅがある点に気が付き始めた。


「おかしいと思いませんか?自殺者を多く出しているにも関わらず、柵が低いようにも感じたりするのですが、何故でしょう?」


ぱうちゅが疑問に思いながら、何かを感じ取ったのか、海のほうをじっと眺め心霊検証を行うためにも自らアシスタントディレクターからお願いして用意をしてもらっていたハンディカメラを持った状態で崖下の状態を撮影し始めた。身を乗り出して崖の下の状況を撮影を行い始めると、ある点に気が付いたのか芦原に感じたことを示唆した始めた。


「崖の下、落ちないように何とか這いつくばってって言ったら変かもしれませんけども、下からの風がとても強く感じました。こうして身を乗り出すと、一歩間違えれば落ちてしまう危険性もここは凄く高いんじゃないんでしょうか。自殺じゃなく、好奇心からかさらに崖の下を覗きたい一心で誤って崖の下に落下してしまった危険性というのも危惧されるところじゃないんでしょうか。芦原さんはどう見ましたか?」


ぱうちゅが芦原に語ると、芦原が確認のために崖の下を注意しながら覗き込み始めると、真剣な表情になってぱうちゅに聞き始めた。


「崖の下を覗き込んで、何か他の場所とは違うひんやりとした空気を感じたりしませんでしたか?」


芦原の問いにぱうちゅは「はい。展望台に辿り着くまでの、歩道のあたりから段々とひんやりとした空気を感じましたが、展望台に来てより一層強く感じました。崖の下を覗いてみましたが、誰もいないはずの崖下から気配がしました。霊こそは見えなかったのですが、やはり気配を感じるという事は相当の”何か”が彷徨っている証でもあるってことですよね。やはり”何か”があることに間違いはないと感じました。」と答えると、二人のやり取りを聞いた侑斗が検証のために崖の下を覗き込んだ。


その様子を見たぱうちゅが「侑斗さんも何か感じとったんですか?」と聞き始めるとぱうちゅに聞かれた侑斗は「あまりここは身を乗り出して崖を撮影するようなことはしないほうが良いのは勿論のことですが、海辺ならではのある特徴性を強く感じることがあります。」と語り始めると、侑斗は芦原に「仮にもしこの地で命を絶った方の御遺体が引き上げられないなんてことは果たしてあるのでしょうか。実際に立ってみて、自衛隊としての救助体験がある芦原さんなら分かると思いますよ。こんなところで自殺を図った人は見つけてほしくないのが理由ではないはずです。」と聞き出すと、芦原は「人間の体内にはガスが存在しますんで、仮にもしこの地で命を絶ったとしても体内に残るガスが浮袋のように膨らみ、海面に浮上する可能性がありますね。ここは太平洋ですから、御遺体が潮の流れにより流されて岩場まで辿り着く可能性も大いに予想されますので引き上げられないというのはまずないと思われますね。」と語ると侑斗は「そうです。引き上げられないなんてことはたとえ場所が海ではなくダムであったとしても条件は一緒です。見つからぬ理由など存在しないんです。明らかに人の遺体だと分かれば、通報しますよ。見て見ぬふりなどしません。以前に訪れた東尋坊や、今回のロケで伺いました三段壁もそうでしたが、こういった景勝地で自らの命を絶つのは人の目が必ずあるからこそ、あえてこの地を選んで投身自殺を図っているのでしょうね。また死ぬまでに生じる苦しみを少しでも和らぎたいというのもあるのかもしれません。恐らくそういう話がある理由としては岩場であるためにここで投身自殺を図った方々の御遺体の損傷が恐らく激しかったのでしょう、強く叩きつけられるようにして全身挫傷による死か海に落ちた場合は溺死でしょうが、岩にぶつかった場合は重傷と言えるほどの損傷を受けているために、結局は想像しがたいほどの苦しみを味わいながらこの世を去られたのかもしれません。実はここに来るまでにある程度の情報を調べておいたのですが、かつては道路に柵等もなく、この付近を通る車による事故などもあったのだと想定されます。この世の中に嫌気を指して亡くなられた方と同時に思いがけない形で亡くなられた方もいらっしゃるようなので、撮影の最後にこの付近にある慰霊碑のところまで足を運んで皆さんでここで最期を遂げられた方々に追悼の意を捧げることにしましょう。」と語るとぱうちゅは侑斗に「それだけ多くの方がお亡くなりになられているということは、ここはやはり危険な場所という何よりの証ですよね?」と聞き始めると、侑斗は「危険なのはもちろん危険です。心霊スポットの情報では”気持ちが弱っている時ほど死者の声を聞いて命絶つものが多い”という情報もありましたが、こういった場所ではあまり自分の弱みになるようなことは一切考えないほうが良いです。誘い込まれるような錯覚に襲われるのはそのためでしょう。弱みを握られたら終わりです。」と語った後に「今先程の説明ではかえって恐怖心をあおるような事にもなりませんので付け加えてお話をさせて頂きたいのですが、観光スポットでもありますから”決して行ってはいけない”ところではないということです。僕達が取材している間にも沢山の観光目的で訪れている方もいらっしゃいます。ただ僕も芦原さんもこれまで数々の自殺の名所と言える心霊スポットに足を運んでいますが、こういう場所はサークルを作りたがる傾向が強いんです。つまり自分たちの世界の中で訪れた心に闇を抱えた方を誘い込むんです。決して今、思い悩んでいたり、考えても考えても答えが見つからぬようなことは考えないほうが良いです。」と語りだすと、芦原が重い口調で補足説明をし始めた。


「自殺の名所には地縛霊が多く彷徨っています。地縛霊というのは、地に縛られる霊という漢字が示すように、その地に強い思い入れがあって死後もなお離れることが出来ずに彷徨う霊のことを我々の業界ではいうのですが、地縛霊が多い場所ほどよりこの世に対する未練というのも募らせながら死後何年も何十年も経過しているにもかかわらず、その未練というのが断ち切れずにいるのだとしたら、自分と同じ目に遭わせたいと邪心を募らせながら生きる者に対して禍を齎す危険性もあるために、心の弱みを握られてしまうようなことは考えないほうが良いということです。饗庭君が先ほど説明していたのはそういうことです。」


芦原が語り終えた後、ぱうちゅはさらに突っ込んだ話をした。


「それじゃあ、ここってかなり危険な場所であるってことじゃないですか!?地縛霊ってあまりいいイメージがちっともしませんよ。そんなことを言ってしまうと怖いというイメージが先行してしまうのは避けられないと思います。」


ぱうちゅの的確な指摘に侑斗は答えた。


「それは避けられない。ただ訪れる人に対して伝えたいのが、やはり慰霊碑が近くの公園にもあるように、多くの方々がこの地で命を落とされているんです。恐いと思ったら終わりです。はっきり言いますけど、恐いと思ったほうが負けです。悩みなくとも怖いと思って足を運んでも、弱みを握られてしまうリスクも非常に考えられます。悪霊もしくは邪霊の巣窟かもしれません。だからこそ、命ある我々生きている人間のほうが強いんですから、その気持ちは決して忘れないでください。恐がる理由など何一つ存在しないんですから、それにこの真っ直ぐに伸びるこの美しい太平洋の水平線を眺めてしまえば”怖い”という気持ちを忘れてしまうと思いますよ。」


侑斗が強い口調で言い切ると、柵から眺める絶景をぼんやりと眺めはじめた。


侑斗の答えにぱうちゅは「それならば御祓いをどうしてしないんですか!?」と訊ねると、侑斗は「俺と芦原さんの二人で500名以上の彷徨う御霊の除霊ははっきり言って不可能だ。俺達は神でも仏でもない、いち霊能者だから出来ることに限度がある。救ってあげたい気持ちもやまやまだがあまりにも多すぎると予定が狂ってしまう。ここでの心霊調査は最後にぱうちゅさんが撮影した映像を検証を行うことにして、慰霊碑のところで皆さんで御参りを済ませてから、次の打越橋へと向かいましょう。時刻はもう11時30分ですか。これ以上撮影を続行して長居をする必要はないと思います。ぱうちゅさん、慰霊碑のある場所へと向かいましょう。」と語ると事の深刻さを理解したぱうちゅが侑斗に「わかりました。」と語り、一同は展望台を後にした。


そして慰霊碑のある場所へと歩いて移動すると現れた観音様の前で深々とお辞儀をした後に両手で拝み始めた。拝み終えた後、自殺者の御霊達の禍から身を護るための御祓いを終えて車を停車させた場所から出発させ次の打越橋へと向かうまでに、錦ヶ浦の近くにあったトンネル内に入った時だった。


ぱうちゅが撮影した映像を放浪中ちっちが確認していたところ、ある話をし始めた。


「今回は予定の都合上で錦ヶ浦だけだったんだけど、我々の車が今通過しているこのトンネルも化けトンとして有名。中でもよく聞かれる話というのがある。若いカップルが錦ヶ浦のトンネルを車で夜中に訪れた際にトンネル内に5人か6人ぐらいの子供達が石積みをして遊んでいたという。時刻は23時で当然ながら子供が遊ぶような時間ではない。車内で様子を伺っていると、ひとりの子供がカップルの乗る車に近づき『一緒にやろう。』と誘ってきたがあまりにも気味が悪いために行かなかったそう。そしてそうこうしているうちに、ひとりの子供が笑い始めた。その顔は口が裂けんばかりの形相であまりにも恐怖を覚えた運転手の彼氏が我に返った後に猛スピードでバックで走行して、遊んでいた子供達に車体をドンドンと叩かれながらも必死にトンネルを抜けることが出来たという。トンネルから出た後は子供達は追いかけるようなことはしなかったという。その際にある子供がこう言ったという。『ちっ、あと少しだったのに。』とね。捕まっていたら崖から突き落とされるらしい。」


放浪中ちっちが語り終えた後、侑斗は放浪中ちっちに眠たい口調で思わず欠伸をしながら簡単に霊視をした結果を語り始めた。


「ふぁああ。子供達の霊視したけど、いませんよ。お休みなさい。」


侑斗はそう語ると、眠たいのか眠りについてしまった。


思いがけない答えにぱうちゅは「どうしてですか?なぜいないと言い切れるんですか?しかも答えてすぐ寝るっておかしいじゃないですか!?」と強く反論すると、その声に起きた侑斗はぱうちゅに「仮にもしここのトンネルで事故死するような事案があったとしても、集団になって生者に対して禍を齎す可能性は低い。仮にそんな事故があって今もなお子供達が彷徨う理由としては、年齢の幼さがゆえに自らの死を理解できずに彷徨うパターンだろう。実際に俺が見たのは、帰り道が分からずに『お家が分からなくなりました。教えてください。』と言って見えると分かった人に近づくといった傾向だろう。霊には分かる、霊的エネルギーの強い人は光に見えるんだ。子供の霊はそれを見て、お家に帰りたいという一心で訊ねてくるんだ。『お家に帰りたいよ、お家に帰りたいよ。』って中には泣きじゃくる子供の御霊だっている。それに石を積んで遊んでましたってのも不自然だ。子供の霊だからこそ、賽の河原を彷彿させるようなエピソードを付け加えたに過ぎないような話だ。錦ヶ浦で無理心中を図った親の子供の霊だとしても、トンネルまでやってくる理由がそもそも分からない。逆に親が子供を突き落として自分も後を追うようにして身投げした可能性もあるので、あるとするならば自らの死に理解を示せず崖下を彷徨っている可能性のほうがグッと高いと思われる。よって都市伝説によくある噂話の一つにしか過ぎない。」と答えると侑斗は再び眠りについた。


その様子を見たぱうちゅは芦原に「本当にそんなもんなんですか?」と聞き始めると芦原は「子供の霊のほうがより死というのを分からないものなのよ。病気なら、抱える病と闘わなければいけないから、嫌でも自らの死というのを考えなければいけないからまた事情は異なるが、ごく普通の一般的な家庭のお子さんならば死というのをある程度の年頃にならないとやはり分からないというのもあるので、都市伝説でよくある怖い話と現実にわたしたちがみる世界というのは違うってことよ。ぱうちゅさんってまだ20歳そこそこだったよね。成人になったばかりでしょ?それだけに自分が子供だったときのことを思い出して考えてほしい。きっと同じことを考えるはずよ。」と話すと、ぱうちゅは深く考えた末に芦原に「そうですね。」と答え黙り込んだ。


三分間の沈黙の末に、ぱうちゅは芦原にこう語りかけた。


「今回わたしは錦ヶ浦では気配を感じることは出来ただけに過ぎなかったんですけどあのときって一体何があったんですか?」


芦原も疲れがたまっており眠ろうとしていた時だった。ぱうちゅに話しかけられた芦原はこう答えた。「歩道を歩いていた時からおかしかった。数え切れぬほどの人の視線を強く感じた。展望台に近づくとさらに我々の動きに対して注意深く察している複数の御霊の存在も確認が取れた。来ている我々に心の弱みになるような要素がないと分かって、さっと消えた。それが我々が念のために崖の下を覗き始めた、あの時の事だった。ぱうちゅさんが崖の下から強い風を感じたというのも、それは風ではない。崖下へ引きずろうとして複数の御霊達が集まってきた可能性がある。そう考えれば、饗庭君が強く言っていたことを思い出してほしい、”強く自分を保て”と。あの時に実は、誘い込もうとする複数の自殺者の御霊が集まりだして我々に対する包囲網を作ろうとしていた瞬間だった。あの一言が無ければ、我々も仲間になっていたかもしれない。」と答えると、周りの空気は一気に凍り付き益々寒気が走った。


トンネルの怪談を持ち掛けた放浪中ちっちも、そして車を運転するディレクターも一気に黙り込んで、あっという間に沈黙の空気に包まれながら神奈川県へと入った。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート