九頭竜ダムを後にした一同は、目的地の熊走大橋のある金沢市内へと向けて車を走らせていた。そして有料道路を使いながら走らせること2時間12分が経過したところで金沢市内に入ると、熊走大橋の付近にあったカフェに立ち寄って昼食をとることにした。時刻は14時を回っていた頃だった。
レストランで食事を摂りながら、次に向かう熊走大橋について話し合っていた。
侑斗が「これから伺う熊走大橋の名前の由来は、その名の通りで熊が走っていたことから名づけられた金沢市内を流れる犀川に架けられた。だが同時に自殺の名所としても知られるようになっていくと、橋には自殺を思いとどめるために、小学生の作品を掲示するなどして自殺対策に出ているがそれでも頻繁に自殺が発生する。頻繁に行き来する地元住民にとっては、自殺者の御霊達が出るのはごく自然なことで当たり前だという解釈でしかないという。ここで報告されている心霊現象としては、橋の上でうつろな表情をした男性が立っている、写真を撮ると大量のオーブや霊魂が写るなどの報告が上がっている。自殺の名所ならではの、下に吸い込まれていくような錯覚とそして手招きをする霊の存在も報告には挙がっていないがあるかもしれない。その可能性も踏まえて調査したい。」と移動中にタブレットで予め調べておいた熊走大橋の情報について語りだすと、星弥はGoogleマップのストリートビューで写真を確認しながら「自殺対策がこの小学生の作品を掲示しただけのものなら、果たしてそれだけって思ってしまうんだけどなあ。それにこの新たに設けられたこのフェンスだって身を乗り出すようにしてもたれかかると下手したら転落死しかねない危険性だってある。古い時代に造られたであろう短いフェンスが後ろにあるからと言って、これだけではあまりにも自殺対策に不十分としか言いようがない。中には自殺ではなく不注意で転落した事故死の可能性もあるだろう。もっと、安全性を重視するのならば軽井沢大橋や虹の大橋や八木山橋のように、高いフェンスを設置するだけでなく有刺鉄線で張り巡らすなどをするだろう。その対策に出ていないという事は、観光地としての側面も保ちたいというのもあるのではなかろうかと推測される。」と語ったところで、勝本が「まあ侑斗が話した内容等も含め、星弥が話した事故死の可能性なども視野に入れた上で調査をしなければいけないだろう。昼食を食べ終えたら、熊走大橋での調査をさっと始めさっと終えることにしよう。」と提案したところで星弥は「そうだね。観光地とはいえ普通に地元住民が使う橋でもあるしね。邪魔にならぬようにさっと調査を切り上げなければいけないだろう。長居はしてはいけないな。」と話したところで一同は昼食をさっと食べ終え、カフェを後にした。
そして15時前に熊走大橋の付近の他の交通の邪魔にならない場所に車を停車させてから徒歩で注意深く辺りを警戒しながら一同は熊走大橋の霊視検証を行い始めた。
調査を始めてから5分が経過したときの事だった。先を歩いていた原田が橋の下が気になったのだろうか、下を覗き込むと「確かに、この高さ、そして下を流れる犀川を見ていると絶景過ぎるがゆえに、意識しないうちに落ちてしまう可能性もあるね。」と切り出すと同時にあることについて示唆をし始めた。
「さっきから、眼鏡をかけた30代か40代ぐらいの男性がちらっとこちらのほうを見ていたような気がするけど、気のせいだったのかな・・・?」
原田がそう感じたと同時にすぐさま後ろを歩いていた侑斗に「俺が今さっき握っていた先の手すりのところで見たんだ、あれが目撃例にもあるうつろになって立ちすくむ男性の御霊なのかもしれない。あそこから飛び降りた可能性が高い。確認するためにも侑斗のデジタル一眼レフカメラで撮影してほしい。」とお願いをすると、侑斗は「分かっているよ。分かっている。あれはきっと自殺者の霊に違いない。でもそれ以外にも、俺達以外の人の気配を強く感じる。その他にも彷徨っている御霊達がいるということだろう。」と話すと、すぐさま持参していたデジタル一眼レフカメラで霊の気配を強く感じたスポットを次々と写真撮影を行い始めた。
ある程度写真撮影を終えたところで侑斗は早速撮影された写真に異変が生じていないかを確認し始めるとすぐさま、普通の写真では写らない”あるもの”が写されていた。
たまらず侑斗は確認のために、小田切と勝本と星弥の3人を呼び出すと、写した画像の確認をしてほしいという事になり、そこで改めて写真の検証を行い始めると、その様子を見た原田も写し出された画像が気になり、侑斗の元へと近付くと一同で心霊写真と思える、右側の手すりを写した写真にポツンと白いオーブのようなものが写っていることに気付き始めると、続いて撮影された写真にはポツンとあったオーブが複数最初に写し出されたオーブを取り囲むようにして、複数体のオーブが写っていることに改めて侑斗は「心霊写真のオーブが複数写し出されるというのは本当の話だったようだ。改めて調べてみると、かつてオカルト番組がこの地でロケ収録を行った際にも、持っていたハンディカメラに霊障とも思えるような動画を撮影しながら熊走大橋を探索していたみたいだが突如としてカメラそのものがおかしくなる機械トラブルが発生するなどがあったようだが、やはり心に闇を抱えた自殺者の御霊達の訴えがそうしているのだろうか?」と切り出すと、勝本は「いやその可能性は無い。この最初に写し出されたオーブ、恐らくこのオーブがこの地で彷徨う御霊達の中で一番強い力を持っているのだろう。そのリーダー格の御霊に従うかのようにその他の自殺者の御霊達が集まりだしているということは、すなわち集まりだしたことによって、自分たちと同じ闇の世界へと導こうとしていることは間違いない。」と語ったところで、星弥が周りの様子を気にかけながら勝本と小田切に「侑斗と原田君はカメラの心霊検証を行っていて。俺と勝本と小田切は、ここで軽く打ち合わせしよう。」と誘い呼び出すと、3人で急遽打ち合わせをし始めた。
橋を渡り終えたところで、勝本と小田切と星弥がさっと打ち合わせをしたところでさっと解散して、勝本が原田と侑斗を呼び出すと二人に対して指示を出すことにした。
「侑斗と二人、試しにどれだけの霊達が反応するのか、試しに供養のための御経を二人で唱えてほしい。」
勝本の案を聞いた原田は「えっ!?ここでですか!?いったい何人の方がこの地で最期を遂げたのかも分からない、きっと100人は超えますよ。」と話すと、侑斗は「どうしてここで供養のための御経を読み上げなければいけないのか、理由を教えてほしい。そうでなければ一斉に自殺者の御霊達が集まりかねない危険性だってある。」と切り出すと、小田切がその理由について答え始めた。
「この地では、事故・自殺問わず、沢山の方が命を落としたことは間違いないだろうが、ただ先程写し出された自殺者の、リーダー格であろう男性の御霊は果たして生者を死の世界へと導くほどの力が果たしてあるのかとなるとそこが疑問に思えた。というのもね、本当に闇の世界へと導こうとしているのならば少なくとも手招きをしたり声を上げたりして少しでも自分に注目してほしいと思って何らかのアクションを起こしてくる可能性があるが、俺達がキャッチしたあの男性にはまるで自らの行いを後悔しているのだろうか、死ぬまでに行った自らの愚行に対して懺悔をしているようにも見えた。その男性の霊の様子を見て、他にこの地で命を落とした御霊達が集まってそれぞれが自分たちの存在があるという事を主張しただけに過ぎない。そこで、供養のための御経を行ったらどうなるかということを二人に実践してほしい。」
小田切が説明をしたところで、星弥が「ここで目撃される霊には害はないと見て俺達は判断した。後悔の念で成仏に成仏しきれずに彷徨っているのが殆どだからね。そこでまだまだ若葉マークが外せそうにない二人に一度御祓いをしてみたらどうだろうと俺のほうから切り出した。やってみてほしい。何かあれば俺達で対処するから、御経を読み上げたところでどんな反応を示すのか、試してほしい。」と切り出したところで侑斗は「原田、どう?俺もそういわれたら害はないように感じるし、それに原田と一緒だったら心強い。」と原田のほうを見ながら話すと、原田は深く考えた末に「饗庭さんや小田切さん、勝本さんが何かあればサポートをしてくれるって仰ってくれているのだから、よしっ。やろう。」と切り出したところで、侑斗も頷きながら「わかった。やろう。」と話したところで、二人は橋の上を走る車の邪魔にならぬように周りの状況を読みながら、橋の真ん中付近にやってくると、二人は手すりの下を揃って眺めはじめると、崖の下で今もなお迷い続ける御霊に対して呼びかけるようにして供養のための御経を口を揃えて唱え始めた。
一方、勝本と小田切と星弥の3人は二人の様子を注意深く見守っていた。
勝本が星弥に「二人にあんなチャレンジを提案してよかったのか?」と切り出すと星弥は「少なくともあの二人にはまだまだ霊能者として技量もそうだけどまだまだ未熟なところがあるからね。俺も少なくともこの地に彷徨っているのは未成仏のこの地に留まりたいだけの地縛霊にしか過ぎず生者に禍を齎すほどの強いパワーは秘めていないというのは見ていてわかった。あの二人でも対処できると判断して、それで俺達が出るような幕はないなと思って、勝本さんと小田切さんを急遽呼ぶことにした。あの二人が霊能者として対峙しても問題は起こらないだろうとね。」と話したところで小田切が「霊能者の修業の場にはもってこいのところと言えばそうかもしれない。彷徨っている自殺者の御霊が襲ってくる可能性は皆無に等しいと俺も見ていて伝わってきたし、何か死ぬまでに訴えたかった、伝えたかったことを主張したいがためにあらわれているに過ぎないのだろう。色々な人の、色々な懺悔や後悔の念が渦巻いているから、だから地元住民はそれを知っていて”居て当然の存在”とばかりに受け止めているから、今迄さほど大事のように取り上げられることもなかったに違いない。小学生の作品は観光地としての側面もあるので、あくまでもこの地に訪れた観光客に対して地元の小学生たちがこんな作品を作りましたよという発表の場を与えた可能性のほうが高いかもしれない。オカルト番組で取り上げたことにより心霊スポットとして取り上げられる機会も増えたと同時に段々と自殺の名所としての知名度が高くなったのかもしれないが、ここは決して来てはいけないと言えるほどの強い危険度を示しているわけではない。」と話すと、星弥が「二人が祓い終えたみたいだよ。早速二人の意見を聞こうか。」と小田切と勝本に切り出すと、星弥は大きな声で「侑斗!原田!!」と呼びかけると、侑斗と原田は「はーい!」と大きな声で返事をしたところで、二人はすぐさま星弥と小田切と勝本の三人の近くまで駆け寄ると、小田切のほうから侑斗と原田に「ここで彷徨う御霊達に対して成仏してほしい願いをしっかりと込めて御経を読み上げたか?」と聞き出すと、原田は侑斗のほうを見て笑い始めると、振られた侑斗は「ああ。黄色い淡い光となってあらわれた霊達は俺達が読み上げた御経に頷くようにしてスッと消えていった。少しでもこの地でお亡くなりになられた方々の心の救済になればと俺も原田も心の底から願ってやまない。」と話すと、原田も「俺も自殺の名所だから危険な存在があるのかもしれないと思って、御経を読んでくれと言われたときは、”どういうつもりだ!?”と思わず思ってしまったが、実際に侑斗と御経を読み上げたことで害を及ぼさないことは改めて分かった。必要以上に怯えていただけに過ぎなかった。」と話したところで、星弥が「二人ともお憑かれ。自身の御祓いを済ませてから次のヤセの断崖へと向かおう。」と話すと、侑斗は星弥の肩をポンポンと叩き始めた。
「せっかくだから、投稿に寄せられた金沢大学医学部解剖体墓地に足を運んでからヤセの断崖へと向かうことにしようよ。」
侑斗がそう切り出すと、その場にいた勝本も「せっかくだから苦手克服しようよ。他人の墓地だから行きたくないは苦しい言い訳にしか聞こえないよ。」と星弥に話すと続けて勝本も「ここからヤセの断崖までどうせ走って2時間かかるんだから、立ち寄って亡くなった方々に対して御参りをするぐらいなら罰当たりな事はないと思う。」と切り出すと、星弥は思わず大きな声を上げた。
「そういうことじゃないんだって。昔本当に怖いと思って以来トラウマになって、霊能者として行かなくなっただけなんだよ。」
星弥がそう語ると、原田が思わず星弥に対して話しかけた。
「苦手だ、苦手だ。トラウマだ、トラウマだって言って霊能者として引き受けたくない苦手な依頼を断るのもどうかと思いますよ。時間はまだ15時30分ですよ、たっぷりと余裕はありますよ。行って損はしないと思います。」
原田の話しかけに星弥は深く考え込んだ末に「まあいいよ。行こう。」と嫌々に返事をしたところで、一同はそれぞれの御祓いを済ませてから卯辰山公園の敷地内にある金沢大学医学部解剖体墓地へと向けて出発し始めた。
そして16時前に目的地の金沢大学医学部解剖体墓地に辿り着くと、車を安全な場所に停車をさせてから、墓地へと続く階段を一同は上り始めた。
そして”解剖屍骸之塚”と書かれた墓碑を前にして一同は深々と頭を下げると同時に両手で拝み始めるとさらにその奥にあった記名碑の前でも同様の行為を行ったところでさらに奥へと進み始めると無縁墓地の前でも同様の行為を行ったところで一同はさっと霊視検証を軽く行う程度で、金沢大学医学部解剖体墓地を後にすることにした。
時刻は16時30分になろうとしていた頃だった。
原田が車を運転しながら星弥に「苦手は克服できましたか?」と問いかけると、後部座席に座る星弥は「苦手というより、あんまり関わりたくないジャンルなだけ。」とぶっきらぼうに話すと、それを隣で聞いた勝本は「さては過去にもう嫌だと思うことがあって忌み嫌って行かなくなっただけだろ?」と話しかけると、星弥は「ああ。そうだよ。まだ霊能者として駆け出しだった大学1年生の時にね、熊本にある田原坂ってところに行ってそこにある薩軍墓地や官軍墓地に向かうまでのカーブに差し掛かった藪のところがあるんだけど、そこで数多もの視線を強く感じて以来官軍墓地と薩軍墓地にそれぞれ行って深々と頭を下げて両手で拝んできたけど、霊能者の見習いとしての課題としてはあまりにも、俺にとっては思い出したくないスポットになったのはなった。それから一人前として認めてもらえるようになっても、墓地の心霊スポットとしての検証依頼や同伴依頼があっても断るようになった。」と語ると、それを聞いた侑斗は「兄ちゃんらしいといや、らしい。」と苦笑いしながら話し始めた。
車の中でワイワイと賑わう中で、小田切が「先程の金沢大学医学部解剖体墓地はただの墓地であって恐怖の心霊スポットとも言うべき場所には値しないと思うな。明治時代に医大の献体という制度で亡くなるまでに大学サイドに献体するという手続きを行うと死後に医学生により解剖され、医者を育てていく上での必要な授業の一環になったのだからね。解剖を終えた亡骸は大学側で荼毘に付され、墓がない献体者には無縁墓地に納骨し今日に至るまで大切に供養されていることからも考えたら、解剖された方が御霊となってこの地で現れる可能性は無いなというのが正直な印象。熊走大橋と同様にオカルト番組でも取り上げたところでもあるが、まあ次に行くヤセの断崖もその一つだけどね、行って見て必要以上に怖がっているだけなんじゃないのかというのが改めて痛感させられるところでもあるな。」と話すと、星弥は「献体になった方々の御霊が現れるんじゃというのは噂話の一つにしか過ぎなかったってことだろ。実際にデートスポットとして行くカップルもいるみたいだからね。ただ、夜に行けば墓地ならではの不気味な雰囲気がより陰鬱に感じさせられることから、そのような噂話が広がって心霊スポットになった可能性はあるだろう。見た限りではちゃんと成仏されているし、献体になって医者の卵たちに自分の臓器を提供できたことに対して誇りに思っているぐらいの方だっているぐらいだからね。せめて人気がいなくなる夜は墓地で眠られている方々のためにもそうっとしておいて、決して肝試しだ心霊スポットの検証だという名目では行かないほうが良い。それだけの話だろう。」と話すと、原田は「何だかんだ言って、怖がらずに霊視をしているじゃないですか。」と星弥に聞き始めると、星弥は淡々とした口調で答え始めた。
「一度引き受けた依頼だからね。仕事だと割り切れば、”怖い!怖い!”と思いながら霊視検証をしていたのが馬鹿馬鹿しく考えてしまったよ。」
星弥はそう語ると、勝本が「そういえば、DVDでも発売されているオカルト番組のタイトル名って覚えている。確か”絶対に行くな”だったよね。決め台詞って何だったか星弥ならその依頼が多数寄せられてもおかしくないから知っているよな?」と聞き出すと、星弥は「ああもちろん。オカルト番組で取り上げられたので実際に行って見たいのだが怖いので同伴してほしいとか、あったよ。某有名霊能者が除霊を嫌がったところや、某大物タレントが”怨霊が出る”だ”生霊が出る”だなんて騒ぎまくって心霊スポットとしてしまう所にも一緒について来てほしいって言われたことはある。そればかりは悪いけど、”ワイワイと騒いでいるだけであれだけはガセです”って俺が正直に説明しても、映像で記録された謎の音声の存在を信じてならない熱狂的なファンがいるのも事実で、嫌々と言うのかもうお願いされたら霊能者として断る理由もないからね。”お前ら行くな”というわけにはいかない。」と苦笑いしながら話した。
そして一同を乗せた車は、18時20分過ぎに目的地でもあるヤセの断崖に到着をすると、車をヤセの断崖駐車場へと停車させてから急ぎ足で移動し始めた。
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