【完結】慰霊の旅路~対峙編~

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清水の滝(佐賀・小城市)

公開日時: 2021年12月28日(火) 22:43
文字数:7,941

2025年10月14日 火曜日の朝。


関西ローカル番組の二泊三日に渡る心霊弾丸ロケツアーから一夜が明け、いつもの平日が戻ったのだが、未だ疲れが拭えぬ侑斗。


「はあ、三日間の弾丸ロケツアーの疲れが取れない。眠たくてしょうがない。」


独りごとのつもりで呟いたのだがいつの間にやら周りにいた同僚の職員にも聞こえていたようで、侑斗に「ああ。見たよ。あれYouTubeでも生配信していたから皆で饗庭君の除霊をしている様子をドキドキしながら見ていたんだよ。なかなか怖い映像が撮れたね。しかもぱうちゅちゃんなんか憑依されていたじゃないか、自殺者の女の霊にね。あれなんか見ているだけでも背筋がゾッとしたよ。ね?日暮課長も怖い!怖い!って言いながら見ていましたよね?」と課長に訊ねると、課長は侑斗のほうを睨みつけるようにしてじっと見つめると侑斗に対して「いつから実名をあげてもいいという許可を出した?」という話になり、侑斗は「市役所で働いていることを秘密にしていてもそんなことを僕達兄弟で管理している”慰霊の旅路”で一切お互いの勤務先の情報なんて漏らしてなんかいないのに、誰かの目撃情報からあっという間に僕が小城市役所で働いているという話が拡散されてしまったんです。顔を映さぬことを条件に仮面をつけた状態で除霊などを行ってしまえば益々怪しまれるだけですから、顔だしNGが出来ないんです。霊能力者の北斗としてこれからもこの名前で続けたかったのですが、さすがに勤務先も住んでいるマンションなどもばれてしまった以上は名前を出すしかなくなりました。熱狂的な僕のファンがいてくれるのは嬉しい事ですが、WEBで僕の居場所を追跡するなどのストーカーのようなことをされて正直困っているんです。今のところはネット追跡されるだけなので被害届を出すほどのレベルではないとわかっているので、そっとしているだけなんですけどね。」と正直に打ち明けると、課長から思いもしない提案を打診されたのだった。


「これから饗庭君には小城市役所の市民課の顔として、またボランティア霊能力者として、心霊スポットに来ることが目的であったとしても小城市に足を運んでほしいという観光客が少しでも増えてほしい。そこで饗庭君には小城市公認の霊能力者として小城市に存在する心霊スポット巡りで観光客の増加に力を注いでほしい。因みにこれは俺からのお願いではなく、丸田市長直々のお願いだから、今日は丸田市長が市役所の市長室に顔を出しているそうだし、直接話を聞いたらどうだ?」


課長からまさかのお願いに侑斗は「え?まさか市長直々に僕に小城市内の心霊スポット巡りで霊能者として心霊検証を行ってきてほしいと仰っているのですか?仮にもし僕が霊能者として怖い!と体験したときはどうされるんですか?そんなことはないと思いますけども、もしそういうのがあれば益々怖がって敬遠されると思いますが、そういった要素などを一切出さずに霊能者としてリポートをせよというのは難しい話ですよ。でも、一応丸田市長とは上でお話をしてきます。」と語ると、課長は「怖がってもらったほうがより、肝試し目的で小城市に来てくれる若者も増えるだろうが、ただ心霊検証を行う際には必ず近所迷惑にならぬようにと合わせて宣伝をしてもらえたら、それもそれでいい小城市のPRになるからね。」と語ると、侑斗は「わかりました。丸田市長とどんな話なのか話だけは伺ってきたいと思います。」と答えて、上の階にある市長室へと向かって歩き始めた。


そして市長室のドアをノックすると、ドアの奥のほうから「はい、どうぞ。」という声が聞こえてきたので侑斗は恐る恐る「失礼します。丸田市長、日暮課長から話は伺いました。小城市の心霊観光たるものを検討されていてそのために霊能者の僕を使って心霊検証を行ってきてほしいと伺いましたが正気ですか?」と訊ねると、市長は侑斗の今までの活動を熱心に見ていたのか、ガハハハと豪快な笑いを見せた後に「見たよ、見た。九千部山で憑かれて自滅したYouTubeの動画生配信をね。」と侑斗にとっては思い出したくもない負の思い出に侑斗は思わず顔から火が出るほど真っ赤になりだすと、思わず「あのときは色々な方にご迷惑をおかけしました。でも今までの霊能者としての修業を頑張って続けてきたからこそ、こんなことで頓挫したくないという気持ちがあるから今も続けています。」と答えると、市長から侑斗に次の休みの日に小城市内にある心霊スポットで是非とも検証を行ってほしい場所を説明し始めた。


「今度の休みはいつだった?確か日暮の話だと、土曜日は出勤だったから日曜日は市役所が休館日だから、心霊検証を行えることはできるよね?」


市長から次の休みはいつだったかと聞かれた侑斗は、「18日と25日は当番で休みではないんですけれども日曜日なら、19日と26日なら心霊検証を行おうと思ったら出来ます。」と返事すると、市長は「小城市内に清水の滝と福所江橋って心霊スポットの検索サイトにも掲載されてある心霊スポットがあってね、是非とも霊能力者として心霊検証を行ってきてほしい。饗庭君が心霊検証を行っている様子は、小城市のホームページにも大々的に取り上げたいと思っているので、どうかここは小城市の心霊観光PRのためにも力を注いでほしい。この依頼ばかりは饗庭君にしか出来ないことだからこそ心の底からお願いしたい!」と侑斗に懇願すると、断る理由など何もない侑斗は市長に「わかりました。でも清水の滝は心霊スポットって言えるほどの恐怖は皆無に等しいと思いますよ。何せ、毎週僕は清水の滝で滝行していますからね。ここはよくわかっていますよ。福所江橋についても僕のドライブコースでよく利用していますからね、よく知る場所だからこそ改めて伝わっている怪談話を交えながら怖いと思った箇所などを取り上げて、心霊観光に訪れる人の増加に繋げます。」と答えると市長は「引き受けてくれると思ったよ。当日は広報課の秋庭君も饗庭君と共に同行をしてくれるので、二人で小城市の心霊スポット巡りをして、身震いしてしまうような怖い体験談を是非ともレポートしてきてほしい!」と話すと、侑斗は苦笑いをしながら「わかりました。秋庭さんと二人で取材をしてきます。」と語った後に市長に対して深々と頭を下げてから、市長室を後にした。


「まさか市長直々の、お断りなんて出来ない。しかも広報課の秋庭さんって僕の先輩じゃ、益々気を遣ってばかりで、でも僕がリポートしたからって果たしてどれだけ小城市に心霊観光に訪れる人がいるのか疑問だ。」


依頼を引き受けたのは良いが、集客効果に果たして繋がるのかの不安が拭えぬ侑斗がいた。そんな中、昼休みの際に侑斗自ら広報課へと出向き、デスクで只管佐賀怪談について調べ続けている秋庭に侑斗は声をかけた。


「秋庭さん、熱心に調べられているんですね。」


後ろから侑斗に声を掛けられてびっくりしたのか秋庭はびっくりとした表情で侑斗のほうを見て振り返ると、「驚かすなよ!背後霊かと思った。」と話すと、侑斗は「ハハハ。背後霊だなんてよっぽど恨めしいと思う人じゃなければ後ろにいないものですよ。さては秋庭さん心当たりがあるんですか?」と聞き始めると、秋庭は「饗庭君、何を言うんだ。そんな心底恨まれるようなことは一度もしていない!」と強い口調で言い切ると、侑斗は「冗談ですよ、気にしないでください。」と語った後に二人は今週の日曜日に心霊取材を行うための打ち合わせを軽く済ませ、お互いの連絡先も交換し終えたところで、来る10月19日を迎えることになった。


朝の8時に起床した侑斗は目覚めたと同時に、さっと身支度を済ませてから朝ご飯を作って食べ始めると、パソコンの電源をクリックしてインターネットを開き始めると清水の滝をGoogleマップのストリートビューで見始めることにした。


「心霊写真?というのはない。ただ心霊スポット検索サイトで投稿されてある岩肌の近くに女性と思われる顔がよくよく見ると浮かび上がっているのは、これは禍など齎す可能性は皆無に等しいだろう。しかし、この女性の顔の存在をよく気付けたもんだな。俺はそこに心から拍手をしてあげたいよ。ここまで自然と一体化していたら絶対に気付かないからね。よくよく見たら人の顔ってことに気付いたんだろうけど、でもここまで自然と一体化していたら、成仏はしているし、たまたまこの地に現れて写真に写し出されただけに過ぎないのかもしれない。」


侑斗の中で結論が決まったところで、約束時間の10時に遅刻しないように9時30分に家を出た侑斗は秋庭との待ち合わせ場所に指定していた清水の滝の駐車場へと車を停車させ、秋庭の到着を待つことにした。侑斗が到着して5分後の9時50分に秋庭が運転する車が到着したところで、改めて心霊調査を行うための打ち合わせを軽く秋庭の車の中で行うことにした。


秋庭が侑斗に「清水の滝って俺は今まで心霊スポットって言うよりかはパワースポット的なイメージが強かったんだけど、でも改めて調べてみると、そういう側面もあるのかと思ってびっくりさせられたな。霊能力者の霊視を行った結果でも霊が彷徨っているが、どうしてだかわからないという、結局霊がいるということだけは認めて何があったのかについては言及していないんだよね。」と語ると、侑斗は「その霊能力者の見立ては疑ったほうが良いと思いますよ。あやふやな回答はかえって、霊がいることは認めるが何があったのかをしっかりと見極めないと、現れた霊が邪悪なのかそうじゃないのかも、それすら見極めがつかないのはその人の霊能力者としてのスキルが怪しいところですよ。」と語り始めると、それを聞いた秋庭は「それもそうだな。聞いた人間を怖がらせるだけで、実際に現れた霊の説明が出来ないのはどうかってところだな。」と語ると、侑斗は秋庭に「ここで伝わる心霊現象に纏わる話を伺うまでに行いましょう。恐がらないでくださいね。」と語った後に来るまでに予め調べて置いた情報を説明し始めた。


「清水の滝で伝わる心霊現象としては、集合写真を撮影すると霊が映ったり、滝に向かう時の橋にある橋で子供の霊を見る、また付近にあるキャンプ場では血まみれの女性を見た、父親のために滝行をしていた少年が寒さのあまりに凍死した事があってそれ以来滝行する少年の霊が出るという目撃情報があります。同じ類ですが、滝壺のところに修業をしている男がいるなどがあります。そして夜に現れることが多いのか、おすすめしないという声もありますね。薄暗くなればなるほどより怖い雰囲気が増すのでしょうね。あとは、滝の写真を撮影すると心霊写真になったり、怪談の写真を撮影するとオレンジ色の輪が写り込んだというのもありますね。」


侑斗が清水の滝で伝わる心霊現象について語り始めると、秋庭は「高さ75mから垂直に落ちる様子から”珠簾の滝”としても知られ、夏場になれば避暑地として多くの観光客で賑わう一面もあるのだが、子供の霊や集合写真を撮ると霊が映るの理由が何なのかさっぱりわからないなあ。」と疑問に思ったことを話し始めると、侑斗は「それが今回の市長からのミッションですよ。恐い!と思うことを全面的にアピールすることで、心霊観光都市の小城市をPRしていきましょう!」と意気揚々に語り始めると秋庭は「心霊観光都市の小城市、うーん何だか良いんだか悪いんだか。でも観光客が少しでも来てくれるだけアピールのし甲斐があるのは間違いはないんだけどね。」と言いながら二人は清水の滝の近くにある宝地院へと足を運び、まずはそこで今回の心霊取材の成功を祈願して御参りを済ませたところで清水の滝の入り口へと入り始めた。


清水の滝に向かうまでの怪談をゆっくりとした歩調で二人は歩きながら、秋庭は侑斗に「某有名タレントが昔この清水の滝で心霊ドキュメンタリーのDVDの撮影のためにここに訪れて撮影をしたことがあったらしくってね。その際に”清水の滝は自殺の名所としても知られており投身自殺を図った女性の血飛沫で辺りが真っ赤に染まることから血まみれの女性の幽霊の目撃談がある”などと言ってね話題になったことがあった。ちょっと先にあるI山荘に行くまでの前触れの映像だったんだけど”ここも怖いんだけどね”ということで清水の滝が紹介されていたそうなんだけど、過去が透視できる饗庭君は今のエピソードを聞いてどう思ったのかな?」と訊ねると、侑斗は笑いながら「秋庭さん、冷静に考えましょう。あり得ません。高さ75mの滝から身投げをするのは相当の勇気と覚悟が必要ですよ。ビルの高さで言うならワンフロアが3mだと仮定しても、大よそ25階か26階建てのビルから飛び降りるのと同じことです。しかも水の流れもちびちびと流れるぐらいのこの滝で自殺できる人のほうがある意味でチャンピオンですよ。普通に生きていけますよ。」と答えると、侑斗の答えを聞いた秋庭は考えた末に「それもそうだな。」と話すと、侑斗は「自殺をしようと思うのならもっと水の流れが激しいところを選ぶと思いますよ。例えば水難事故が多いとされる一方で実は自殺だったんじゃないかという報告が多く寄せられている唐津市内の観音の滝とかそうじゃないですか。水難事故も多く報告があがっているために、今では遊泳が禁止になっているんですけどね。そう言った場所だけに、仮にもしここで自死を図ろうとした場合、死ぬまでに苦しみを伴うのは何所の自殺の名所で自殺を図ったとしても結果は同じ事ですが、観音の滝なんて激流に揉まれた末に意識のないまま亡くなって滝壺の中に、それこそ遺体の判別がつかぬほどの損傷が激しい状態で見つかるのですからね。そっちのほうがはっきり言って怖いですよ。」と話すと、秋庭は「饗庭君、それじゃ唐津市の心霊観光都市のPRをしていないか?」と言葉少なげにため息をつきながら話すと、侑斗は「いやいやいや、そう言ったつもりで言ったわけではなく、何もきっと迷惑そのものだと思いますよ。嬉野市内にある轟の滝だって自殺の名所としても知られていますけど、それもまたいい迷惑をしていると思いますから、お互い様ですよ。お互い様です。」と話すと一同はやっとの思いで滝壺の近くにまで辿り着くと、そこで侑斗は改めて霊視検証を行うことにした。


滝壺の近くまで足を運んだ侑斗は気を集中させると精神統一をさせてから霊がいるのかいないかを確認し始めた。じっと周りにいる観光客にも気を遣いながら霊が出てくるであろうと思ったスポットを念入りに調べていくうちに、侑斗なりの答えを秋庭に話すことにした。


「秋庭さん、霊能者としての意見ではあるのですが、怖い!って言えるほどのところではないですね。”行くな”と言われたら”行ってもいい”と強く訴えてもいいと思います。御霊は確かに彷徨っていましたが、禍を齎す可能性は低いです。」


侑斗なりの出した結論に秋庭は「それは行ってもいい心霊スポットとして推奨しても良いってことなのか?」と訊ねると、侑斗は「害はないので、大丈夫でしょう。既に成仏されている御霊が殆どのようでしたが、ただ一部お亡くなりになられたのはこの付近かと思われますが、あまり深入りをしないほうが良いだろう、見ないほうが一番いいと思った女性の御霊が居ました。」と話すと秋庭は「それって例の血まみれの女性が出るっていう、自殺した可能性のある女性の御霊なのか?」と聞き始めると、侑斗は「自殺ではないです。恐らくですがこの付近で事故死された可能性もあり得ますが、深入りすることは避けたほうが良いと思います。」と答えると、秋庭は曖昧な侑斗の答えに「深入りしすぎるなってどういうこと?それじゃ誰にもここが安全に行ける心霊スポットだってことを保証できないってことじゃないか!?」と聞き始めると侑斗は「女性の顔を見たら、それはそれは顔の血管が浮かび上がって、激しい怒りを前面に表していました。これは危険な兆候を指しています。自殺された方なら、自らと同じ死の道を選ぶように誘導したりする兆候が見られますが、この女性の御霊はそういった傾向が見られず、橋の付近で滝を見てじっと睨んでいます。まるでこの世に何かしらの心の闇の救いを求めて死んだ後に思い入れのあったこの地にやってきたのかもしれません。ただ噂にあるような血まみれの姿ではない事だけは説明できます。まあ恐らく死んだ後も清水の滝に生前訪れていて、この場所がかつて佐賀藩の鍋島宗教が病を患った際に平癒を祈願し滝行を行い透視した藩士の碑が1787年(天明7年)に建立され、またこの出来事を気に滝行の霊場として広まったという歴史を知っている方が、死んだ後もこの世への未練が残る亡者の御霊が滝行こそは出来ないが、滝の近くにある阿修羅像や地蔵を見て少しでも心の傷を癒やしているのかもしれません。ただ繰り返し何度も言いますが、真っ赤なオーブ(=霊魂)は本当に危険です。先程ちらっと秋庭さんが撮影したカメラにそれが写っていました。カメラのフラッシュやハレーションによる現象ではないのは確実ですので、僕がおかしいと思った画像を改めて見て頂いたらと思います。」と語ると侑斗は秋庭に不自然だと思う写真を見せ始めると、秋庭は「この小っちゃな真っ赤な円状のやつ?カメラのフラッシュじゃ?」と聞き始めると、侑斗は「カメラのフラッシュにしてはどうしてここに反射するのでしょうか?しかも真っ赤ですよ、霊視をしたら分かったのですが、これは怒りの感情を前面に露わにしている女性の御霊だということがわかりました。これは早急に写真の御祓いをしなくてはいけません。画像を持ち続けることによって禍を齎す可能性もあり得ます。」と答えると、秋庭は言葉にならぬ思いで「え?」以外の言葉が出てこなくなってしまった。


侑斗はそう語り終えると秋庭に「場所を離れて、画像の御祓いをしましょう。」と提案をしたところ、秋庭は「ここで御祓いを行えば他の観光客の邪魔になりかねないからなあ。あっ。それなら、清水の滝の近くに鯉料理の老舗があってそこでの食レポも丸田市長からお願いをされていてね、小城市心霊観光都市宣言のPRとして是非とも宣伝してほしいと言われているから、鯉料理を食べながらでもしようか?」と切り出すと、侑斗は「それだと他の関係のない方々に禍がうつってしまう危険性があり出来ません。清水の滝を出てすぐに我々は女性の禍から身を護るために御祓いをさっと済ませた後に、画像の御祓いをしましょう。食事はその後です。」と説明した。


それを聞いた秋庭は「わかった。なるべく邪魔にならぬような場所で行わないといけないね。」と語ると、二人は清水の滝を後にして入口の所にまで戻ってくると、他の観光客の邪魔にならぬ場所にて御祓いを済ませた後に、画像に写し出された赤いオーブの御祓いも行い終えてから、予め予約をしておいた鯉料理の老舗へと歩いて向かい始めた。注文した料理が出てくるまで除霊で体力を使ったことによりお腹がペコペコだった侑斗は出された鯉料理に「美味しい!」と小さな声で語り始めるとその後は無言になって満面の笑みを浮かべながら食べ進んでいくのだった。


侑斗が美味しそうに鯉料理を堪能する姿を見た秋庭は思わずシャッターを切った。


「饗庭君の食レポを小城市のHPにUPしたら女性観光客の増加に繋がるぞ。」


二人は美味しく出された鯉料理を満喫した後に、次の目的地である福所江橋へと向かって移動をすることにした。

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