琵琶湖大橋を後にし、次の霊視検証の地でもある東尋坊のある福井県の坂井市へとむけて出発した。
御祓いで疲れているであろう原田に気を遣い、今度は小田切が代わりに運転を行う形で出発をすると、助手席に星弥、後部座席に原田、侑斗、勝本の3人が乗るような形になった。その道中で侑斗は改めて投稿された東尋坊での心霊写真の霊視検証を勝本と共に行い始めていた。
「海面から出てくる無数の白い腕、これはやはり自殺者の叫びなのでしょうかね?」
侑斗が勝本に聞きだすと、勝本は「この白い腕の集団からざっくりと霊視をしてみる限りでは、恐らくはこの地で命を絶った自殺者の霊に違いないだろう。自然と一体化をしておらず白い腕で可視化されているあたりから、恐らくは未成仏霊だろう。その上このような観光地をあえて自らの最期の地として選び覚悟を決めた上で投身自殺を図っているのだからこの世の中に対する怨みの念はあるだろう。とりわけ気になるのがこの東尋坊の名前の由来だ。」と語りだすと、隣にいた原田は「東尋坊の名前の由来は聞いたことがありますよ。平泉寺に東尋坊という名の力持ちで乱暴な僧侶がいて他の僧侶たちに嫌われていたらしい。海辺で酒盛りをしていたときに東尋坊を海に突き落とし殺害してしまった。その後、東尋坊を突き落とした海では祟りだろうか荒れることが非常に増え、死者が沢山出てくるようになったという。東尋坊を突き落とした崖にちなんで東尋坊と名付けられたとされている。その他にも、こんな話がある。東尋坊は修行僧でありながら日頃から悪事を働いており、過酷な修業を絶えている他の僧達にもならないと高僧達が悩んでいたところ、三国海岸での宴に誘われた東尋坊は勇み足で出掛けていく。酔いつぶれた東尋坊を見てチャンスと見た仲間の僧が崖から突き落とした。辺りに轟くほどの凄まじい悲鳴と共に東尋坊は海の底へと沈んでしまった。東尋坊がいなくなったことにより寺には平穏が戻ったが、東尋坊が落ちた三国海岸では天気が荒れ七日七晩雷が鳴り響くなど荒れることが鳴り響き、又同時期には崖から飛び降り自らの命を絶つものが増え始めたという。人々はこれを東尋坊の怨念だと恐れ、いつしか三国海岸は東尋坊と呼ばれるようになったという。」と説明をし始めると、補足としてあることを話し始めた。
「今先程の東尋坊の話は実際に伝わっている話に過ぎないのだが、実際は違っていたというのがある。それが心霊スポットの検索サイトに寄せられた意見の一つにあがっていたのだが、本当の東尋坊は名僧で本名は次郎市という。室町時代の人だったらしくってね、子供のころは粗暴な性格だったそうだが自ら発心して檀家だった福井市内の寺に入り、そこからは比叡山に登り諸学を修めて名誉の誉れあり、福井県の勝山市内の平泉寺に招かれた際に東尋坊という名の宿坊に住んでいたためこの名前が通ったらしい。ところが平泉寺には悪僧がいて寺領を騙し取る計画を企てており、その計画を知った東尋坊が悪僧達に”仏に仕える身のなすべきことではない”と訓戒をしたところ、東尋坊の存在が邪魔だと感じ始めた悪僧達により安島の浦という場所に東尋坊を酒盛りに誘い、酔ったタイミングを見計らったところで突き落として殺害したというのが本当の説ではないかというのがある。実際に悪行の限りをつくし殺されたという説は昭和になってから形が変わって伝わってしまったもので、真実は全く違っていたというのが本当の話だったらしい。そのことを伝える古書だって存在する。」
原田が語り終えたところで、侑斗はあることに気付き始めた。
「そうか。だから自殺の名所になっているのはそのためか。」
侑斗がハッとなって語りだすと思わず勝本は「自殺の名所とされるのには、この東尋坊が絡んでいるとでも言いたいのか?」と聞き出すと侑斗は答えた。
「少なくとも東尋坊の霊魂が自殺者を誘発しているとは考えにくい。東尋坊は僧侶だったし、仮に殺されたことに納得がいかずこの世の中に怨みの念を抱きながら怨霊として今もなおこの地を彷徨っているのだとしたら、自らと同じ闇の仲間を増やすことで、自らの命を殺めた僧達に復讐を果たしたいというのならそれはそれでお門違いと言うのもあるし、その感情がもしあるのなら、崖から突き落とした僧侶たちに対して復讐を果たしていても不思議ではない。でも、もしこの話を最初に飛び降りた人間が知っていたとしよう。この世の中に対して復讐を果たしたい目的で、この地で飛び込んだ人物が最終的にはあの世の闇の世界にとどまり、自らの仲間を増やすべく自殺行為を誘発する行為が繰り返し、何年も続けて行われていると考えたほうが俺は妥当だと思った。東尋坊はあくまでも名称の由来になっただけに過ぎない。だとしたら、この地で彷徨う自殺者の御霊達が抱える心の闇も相当根深く、室町時代から遡ってという事も考えたら歴史は相当古い。追い詰められた末にこの地で自害した歴史もあったに違いないだろう。そう考えれば、この東尋坊が抱える闇の根は深い。」
侑斗がそう語ると、星弥はタブレットのGoogle検索で表示された結果の記事を読みながら話し始めた。「東尋坊で身投げをした人の遺体が必ず行きつくとされる雄島というのも非常に興味深い話がある。東尋坊と雄島はセットになって紹介されていることが見た限りでは多いな。恐らく雄島での話じゃないかと思うのが、”時計回りに歩くのが正しく、間違って反時計回りに歩いてしまうと帰る際に橋の真ん中あたりで霊が現れる”というものだ。さらにその霊を見てしまうと、自殺をする気も無かったのに崖の上から飛び降りてしまうとされている。東尋坊での年間投身自殺を図る方々は多くとも数十件、それでもなおこの地を人生の最期にしようとやってくる人は多く、衝動的な自殺を防ぎたい狙いの一環としていのちの電話があるということ、相談が出来やすいようにお金が置いてあり自殺を図ろうとする人が家族や友人に電話をするとも言われている。」と話すと、じっくりと頷きながら聞いて居た勝本は「行って見ないと分からないことがあるしね。まずは東尋坊を検証してみて、次に雄島にも行って見て、噂の信憑性を確かめる必要がある。」と切り出すと、星弥は「そうだな。でもまずは投稿された写真の一仕事をしなくてはいけない。予め予約しておいた坂井市内にあるビジネスホテルについたら皆で投稿された心霊写真の御祓いを行うことにしよう。」と切り出すと、納得を得たところで、一同は福井県内に入った所で堺市に向かう途中でレストランに立ち寄り晩御飯を食べてから、予約しておいた坂井市内のビジネスホテルに到着しチェックインの手続きを済ませてから、部屋へと入り始めた。
ホテルの部屋に全員が集まったところで、星弥がその場にいる全員に対して声をかけた。「皆、心の準備は出来ているか?」と声をかけたところで、それぞれがお互いに合図を出したところで、早速投稿された東尋坊の心霊写真の御祓いを行い始める。
供養のための御経を唱えた終えたところで、侑斗が”慰霊の旅路”の公式LINEに新たなチャットが投稿されていることに気付き、星弥に「LINEに新たなメッセージが投稿されている。読んでみようか?」と切り出すと、隣にいた小田切がまたかとばかりに大きなため息をつくと「は~。饗庭兄弟と行動を共にしていたらずっと御祓いの仕事ばかりで旅行らしいことしていないような気がするんだけどね。」と言い出すと、それを聞いた勝本は「仕方がないだろ。饗庭兄弟は知名度があるし近くにいると分かるだけでも仕事の依頼があって当然ことじゃないか。それに目に見えない相手と対峙するのが俺たち霊能者としての仕事なんだから、霊能者として解決しなければいけない事案について俺達が本当に困っている人に対して救いの手を差し伸べなければいけないのだからね。」と話すと、小田切は「まあしょうがない。警察では逮捕できぬ物理や化学的根拠では示すことが出来ない相手を検挙するのが俺達の仕事だしね。」と語ると、二人の話を聞いて居た原田は「それでこそ霊能者ですよ。人には相談できにくい霊障に誰よりも理解を示し助けてあげることが俺達の宿命のようなものです。」と話すと、それを聞いて居た星弥は原田にこう突っ込んだ。
「原田君は敬語を使うときとそうじゃないときがあるね。それはどうしてかな?俺の推測から察して、自分の霊能者としての経験上自信を持って言えることにはため口でそうじゃなければ敬語になるってパターンなのかな。極めてわかりやすいな。」
星弥の言葉が図星だったのか、原田は思わずギクッとなると、それを見た星弥は「じゃあ次の心霊写真も侑斗と原だの素敵な意見をお聞かせ願いたい。」と指示を出したところで侑斗と原田は二人寄り添うようにして投稿されたメッセージの全文と送信された心霊写真と思われる画像を見始めたのだった。
「因みに心霊写真と思われる画像やエピソードは公式Twitterのダイレクトメッセージにも、公式Instagramのチャットにも投稿されている。それぞれ検証してみる甲斐がある。」
星弥がそう話すと、侑斗は思わず「えっ!?嘘!?そんなに新規の相談内容が寄せられているの?」と話すと、星弥は「侑斗がアップロードした画像を見て影響を受けた人が次々と今まで相談できなかったことを相談してきているのかもしれない。公式Facebookにも公式Amebaにも新規のメッセージで投稿されているのがある。」と話すと、侑斗は「そんなに多くのメッセージが寄せられているの?」と思わず耳を疑ってしまうと、星弥は淡々とした口調で語りだした。
「まずLINEのチャットから、心寧さんからのメッセージを読むね。”北陸新幹線が開業したのを機に、友達の皆で金沢へ行こうとなって皆で初めて東京から金沢へ旅行した時のことです。松本清張さんの小説”ゼロの焦点”でも非常に有名なヤセの断崖へと行こうという事になって、友達と近くにいた観光客の人に写真撮影をしてもらったのですが、そのときは何の異常もなく、楽しかったねとワイワイ話しながらヤセの断崖での観光を満喫しましたが、帰りの北陸新幹線の車内で友達と撮影した写真がどのように写っているのか見たいということになり、その場で確認したところ、友達はわたしのほうをみて突如黙り始めると、わたしも気になってしょうがなくなったのですぐさま皆で集合写真をした写真を見て言葉を失いました。そこには写っているはずであろうわたしの右足が綺麗にスカートの先からありませんでした。この先、大怪我の危険性があるということを示してくれているのでしょうか。教えてください。”」
星弥が読み上げると、一同は沈黙に包まれた。
そんな様子を見た星弥は「まだ読み終えていない。」と語り、次に投稿された心霊体験談を語り始めた。
「これはTwitterのダイレクトメッセージから。金沢市内に住むドクターZさんからの投稿だ。”オカルト番組でも有名で取り上げられることが多い熊走大橋に友達と肝試しに訪れたときの出来事です。自殺の名所だという事は非常に知られている場所でもありましたので、絶対にここで出ないわけはないだろうって、悪ふざけ半分で行ったことは事実です。申し訳ありません。そこで体感したのが夜の2時過ぎで誰もいない漆黒の暗闇が辺りを包む中で不思議な円形の丸い光を見たのです。正体が何かやはり気になってはいられずその場で携帯のカメラで写真撮影を行うと大量のオーブが写し出されていました。それを見た僕と僕の友人は恐怖のあまりにその場から逃げ去ったのを今でも覚えています。あれから特に事故に遭ったり、事件に巻き込まれたりというのはないのですがやはり祟られては怖いと思い感じたので反省の気持ちも込めて投稿しました。霊視検証を宜しくお願いします。”」
「これはFacebookからのメッセージになる。発智秀則さんからの投稿だね。”皆さん各地の心霊スポットを転々とされているようでお憑かれ様です。今の今までずっと悩みに悩んでいてなかなか相談できる相手もおらずずっと抱えている案件があったのでこの際ですからぜひ近くに立ち寄った際には是非とも検証をしてほしいという一心で投稿をさせて頂きました。それは若かりし頃に友達と当時は大いに流行っていたオカルトの心霊番組の検証の地として選ばれた富山県の氷見市にある頭川トンネルこと旧津々良トンネルで真夜中の深夜2時過ぎに肝試しに行った時のことです。テレビで映っていた心霊現象が本当に起こるのか、半信半疑のまま車を近くに停車させて歩いて向かったのですが、実際に歩いてトンネル内を散策しても何も起こらなかったので仕方なく車を発進させてその場を後にしてそれぞれの家に帰ったのですが、問題はそこからでした。家に着き、疲れていたということもあって早速寝ようとした時に強い金縛りにあいました。その時に独り暮らしをしていて僕以外の人間がいないにも関わらず髪の長い女性が僕の前まで接近してきたのです。僕は恐怖のあまりに失神して気が付いたら朝になっていました。同じようなことは友達も体験しており、今となればあの女性の正体が何だったのか気になってしょうがありません。”」
「最後はAmebaに寄せられたメッセージだ。”皆さんはじめまして。幸せなダムと言います。名前の通り、ダムが大好きな物珍しい女子と言ってもいいかもしれません。わたしがかつて訪れた黒部ダムで撮影された不審な、こんなところに人の顔があってはおかしいと思える箇所に人の顔があるのです。今までずっと何かの見間違いだと思って見過ごしてきましたがやはりどう見ても人の顔が写り込んでいるのです。どこに相談すべきなのか分からず、怪しげな霊能者のサイトにすがって高い御祓い料を請求されるのが嫌なので、銀河さんと北斗さんのサイトに相談したいと思い投稿をさせて頂きました。検証のほど宜しくお願いします。」
星弥がざっと読み上げた内容に小田切はこう突っ込んだ。
「どうしてこんなに北陸の御祓い依頼ばかりが殺到する!?」
それを聞いた星弥は「さあ。俺にもわからない。ただ琵琶湖大橋の記事を取り上げているのでそれを見た人が次は福井に行くか、岐阜に行くか、そのついでに石川か富山にも足を延ばすと考えたのかもしれない。」と説明をすると、小田切は「俺たち普通に帰れるのか心配になってきた。」と話すと、星弥は「それは大丈夫だ。そうなってきたら俺のほうからお断りをするよ。俺も侑斗にも仕事がある。休むわけにはいかないからね。」と語り小田切を安心させたところで一同は22時には就寝した。
そして一夜が明け、7時には起床した一同は、身支度を済ませた後に朝御飯を買うためにチェックアウトをしたところで、東尋坊に近いコンビニに立ち寄ったところで一同はついに目的地でもある東尋坊へとやってきた。車を東尋坊市営駐車場に停車をさせたところで、徒歩で見どころの一つでもある東尋坊と大池へと向けて移動した。
侑斗が「お土産屋や、東尋坊を一望できるタワーなどもあるけど、朝の8時だからだろうかまだ営業していない店のほうが多いな。地図で見るとカフェもあるじゃん。東尋坊と大池の霊視を終えたらふらっとこのカフェに立ち寄ってみようよ。ちょっと気になる。」と話すと、星弥は「何を言っているんだよ。雄島でも検証を行うのだからそんな余裕はない。」と言い切ると、一同はついに目的地の一つでもある東尋坊へとやってきた。
「土産屋やレストランが一斉にオープンするのは10時からだから、観光客でにぎわい始めるまでに霊視検証を終わらせよう。」
星弥がそう語ると、一同は写真が撮影されたであろう断崖絶壁を一望できるスポットからまずは霊視検証を行ったところで、続いて大池へと向かうとそこでも神妙な面持ちで霊視検証を終えたところで、再度東尋坊へと戻ってきたのだった。
「大池では微弱だが浮遊霊の存在をキャッチした。だが問題は東尋坊のほうだ。断崖絶壁の絶景を楽しめるところで霊視を行ったところで、数多もの数え切れぬ白い手が海面から伸びてきているのは確認が取れた。恐らくだが、写真で映し出されたのはこの地で投身自殺を図った自殺者の集団の御霊達によるものだろうが、写真はあくまでも写りだされたものを祓っただけに過ぎないから、実際に目の当たりにすると、本当に吸い込まれるような感覚に襲われる。手招きをしているようにも見えた。これは危険すぎる。ここはそうやって自殺者の霊達によるサークルが更なる自殺者を増やすために誘発行為をしている。悪霊のたまり場と言っても良いだろう。とりわけ衝動的にショックを受けたり心の中で迷いや闇を抱えた人は近づかないほうが良いだろう。心の弱みを見透かされて誘い込まれた人が迷うことなく飛び込むのだろう。」
侑斗がこれ以上の詮索は危ないと判断し、遠ざかると、原田はそんな侑斗を見て「何ビビっているんだよ。そんなことないだろ。」と言って確かめると、侑斗と同じリアクションをして戻ってくるのだった。
「ここはやばい。数え切れぬほどの人の手が伸びてきているのが見えた。やばい。ここで除霊なんて絶対に無理!祓い切れない!!」
原田がそう強く言い切ると、星弥が「はじめての祓えない経験を実体験してみて、改めて除霊の難しさを体感したはずだ。雄島に行けば更に実感するだろう。時間はもうそろそろで9時になりそうだし、それまでに雄島に行こう。」と切り出したところで一同は駐車場へと戻ったところで一度それぞれの御祓いを済ませてから雄島へと車で走らせること7分が経ち、雄島無料駐車場に車を停車させてから雄島へと繋ぐ雄島橋を渡ったところで、雄島へと到着した。渡り終えてすぐのところにある大湊神社へ参拝を済ませたところで、一同は霊の目撃証言が多数寄せられている雄島橋へと再度検証のために真ん中あたりで霊視検証を行うことにした。
小田切が「心霊スポット検索サイトに投稿されている情報では歩いていると足首を掴まれる、写真撮影をすると橋のたもとで霊の手が写り込む、この世に未練を残した霊が憑いて来てしまうなどがあるが何か感じたか?」と星弥に語り掛けると星弥は「位置的に東尋坊から身投げした人の御遺体が潮の流れによってここに流れ着いても不思議ではない。この世に未練を残した霊とは恐らくだが東尋坊で身投げをした人が死んで肉体から魂が抜け出たときに、改めて自分の亡骸を上空から眺めたときに後悔の念がよぎって霊として現れるという事なのだろう。しかし、何度か注意深く霊視を行っても既に成仏をした浮遊霊が辺りを彷徨っているだけに過ぎず、神社があるので仮にもし悪霊の存在があったとしても神の力で守られているこの地では悪さをすることはできないだろう。東尋坊が見えることを理由にセットにされているだけに過ぎず、実際にこの地で流れ着いた御遺体があったとしても大湊神社で祀られている神により亡くなられた方々の魂は大切に供養されている。写真で映し出される手というのも、果たしてそうだったのか噂話によって心霊スポットと化した可能性は捨てきれない。」と結論づいたところで、一同は駐車場へと戻り、コメントを寄せてくれた方に写真の御祓いを済ませたという事と、東尋坊の危険性について改めて触れる内容を説明したところで、改めて次に向かう場所について協議をしようとGoogleマップのアプリで確認をしようとしたところ、侑斗が「慰霊の旅路に”東尋坊”のことを紹介した記事をアップしたと同時に新規の書き込みがあったよ。読んでみるね。」と話すと、『まさか福井県に来てくれるとは思ってもいませんでした。熱心な饗庭兄弟のファンの一人です。私が以前に仲のいい男友達や友人と共に肝試しに訪れた九頭竜ダムで、わたしも男友達も友人もここに来るまでは自分には全く霊感がないものだと思っていましたが、九頭竜ダムを真夜中の24時過ぎに雰囲気があって怖いねなんて談笑しながら散策していたところで、噂通りの首の折れ曲がった女の子の霊を見てしまったのです。それを見た瞬間に思わず悲鳴と共にダッと車を停車させたところに戻ってくると急いでエンジンを掛けようとしたのですがエンジンがかからず、かかってくれと何度も何度も神にすがる思いで両手で御祈りをしたところでやっとエンジンがかかったという心霊体験があります。ぜひ一度行って見て下さい。』と読んだところで、小田切が「熱心なファンが多くていいね。また御祓いが続くのか。」と項垂れると、侑斗は「先輩お願いです。同伴して一緒に祓って頂けませんか?」と改めてお願いをしたところで小田切は「はあ~。同伴したから致し方ないと言えばそれに尽きる。ため息しか出ない。場所的に考えたらまず九頭竜ダムに行くことにするか。そこから熊走大橋、ヤセの断崖、頭川トンネル、黒部ダムの順で霊視検証を行おう。テンポよく切り上げて、早い事依頼を解決させよう。」と切り出したところで、勝本も「そうだな。場所が離れているけどそれが一番いいルートだな。」と理解を示したところで雄島を後にし九頭竜ダムへと向けて出発をし始めた。
「大阪からますます遠くなる~!」
車で来ている原田だけが、帰り道が長くなることを危惧するのだった。
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