【完結】慰霊の旅路~対峙編~

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平和記念公園(沖縄・糸満市)

公開日時: 2022年1月10日(月) 01:36
文字数:7,884

ひめゆりの塔を後にして、次の目的地である平和記念公園へと向け車を走らせていた支倉の車についてはいけないものがついて来ていることを知った侑斗は「支倉さん、僕のファンだろうが支倉さんのファンだろうがどっちでもいいんです。とにかく御祓いが至急必要です。何分くらいかかるんですか!?」と聞き始めると、支倉は「あと少しで辿り着く。」と淡々とした口調で答えた後に、「あの右手に見える交差点を右に曲がれば平和公園の入り口の交差点になる。駐車場までもう少しの距離だ。」と説明すると、侑斗は「そうですね。マップの位置情報で見てもあと少しですから着いたら即行御祓いしましょう。」と話すと、侑斗があまりにも気味悪がる様子を見た支倉が「侑斗君の頑なな姿勢を見ていたら、そんなにあの学徒隊の女の子の霊達がついてきていることが気に入らないのか。禍なんて齎さない、きっと侑斗君を見て自分たちと同年代の人が来ていると思って気になって憑いて来ているだけなんだから、生きている俺達が彼女たちの心からの供養の気持ちを込めて除霊を行えば彼女たちもきっとわかって離れてくれるはずだ。」と語ると、侑斗は「わかってますよ。彼女たちが悪い霊ではないのはわかるんです。」と嫌々ながら答えると、支倉は「言い方を変えようか。命あるストーカーに執拗に付け回されるか、命無き御霊達に気に入られて追いかけられるか、極論だけどどっちが良いか?」と侑斗に対して聞き始めると、侑斗は思わず「んなもん、どっちもどっちですけど、うーん。御霊のほうが良いですね。」と答えると、支倉は「そりゃそうでしょ。生きている人間のほうが怖いし、恐ろしいんだから。そう考えたら可愛いと思うよ。」と話すと、車は駐車場の敷地内に入ると空いているスペースに車を駐車し始めた。


そして駐車措置が完了したと同時に支倉が侑斗に「除霊開始しようか。」と切り出すと、侑斗は「そうですね。さっと終わらせましょう。」と返事して、支倉が後部座席の両側のドアを開けると、侑斗が供養のための御経を唱え始めると支倉が侑斗に続けて供養のための御経を唱えた。二人が唱え終えたところで、侑斗が確認のために後部座席の霊視を行い、支倉に「大丈夫です。女の子たちは消えたようです。」と言って説明すると、支倉も念のために霊視を行い「そのようだね。平和記念資料館の営業時間が17時までなのでそれまでに入館して、資料館を見終えた後は平和の礎と国立沖縄戦没者墓苑に足を運ぶことにしようか。結構敷地内が広いから、デスクワークばかりの侑斗君にとっては良い運動になるね。」と切り出すと、侑斗は「支倉さん、僕こう見えてこまめにジョギングしたりして運動はしていますからね。」と話すと、支倉は「ハハハ。そうか。運動をしているんだったら何も意固地になる必要はないと思うけど。除霊も終わったし、資料館へ歩こうか。」と侑斗に語ると、侑斗は「そうですね。」と話して、二人は資料館のある方向へと向け移動し始めた。


「支倉さん、除霊をしたからうっかりで忘れていないかと思って聞きますけど、キーロックはしましたよね?」


侑斗が気になって聞き始めると支倉は「勿論。盗まれたら困るもん。」と語ると、侑斗に「少し先の左手に見える建物があるだろ。あれが沖縄平和祈念堂といって平和記念公園内のシンボル的なところなんだ。」と説明すると、侑斗は「あの高くそびえる白いタワーのような突起物がある屋根の建物ですよね。」と聞くと、支倉は「そうだよ。」と話すと「因みに今俺達の左手にある建物が平和祈念財団戦没者遺骨収集情報センターと呼ばれる場所だ。最新の情報が更新されていないので何とも言えないが、令和元年まで発掘の調査が行われているあたりから察すると、未だに眠っている遺骨があるという事だね。」と話すと、侑斗は「僕、沖縄に来るまで飛行機の中でリッジというタイトルだけで惹かれてハクソー・リッジを見たんです。リッジは日本語に訳すと崖だから、崖でのアクションバトルか何かかなと思って見たら、沖縄戦のことを伝える内容だったので改めて映画の内容を通して沖縄戦の壮絶な争いを見て、恐らくああいうお亡くなり方をされたら未だ遺体が収集できていない方も一部はいらっしゃるということになりますよね。」と話すと、支倉は「ハクソー・リッジを見たのか。あれは俺も見たけど、アメリカ側の視点で作られているからより沖縄戦の実情を垣間見ることが出来るね。あれがもし日本映画なら日本軍が行った戦闘行為そのものが美化されているはずだしね。」と答えると、侑斗は支倉に「仮に日本が戦争に参加しなくって今の自衛隊が陸軍としての機能を維持し続けていたら、支倉さんは陸軍の一員として戦争に参加しなければいけなくなったらYESと言って参加するんですか?」と聞き始めると、支倉は「え?唐突にどうしたのかな?」と戸惑いながらも自分なりの見解を語り始めた。


「戦争はしてはいけないし、戦争を行うことに賛同も勿論国として参加もしてはいけない。戦争は人が人でなくなる。携わった人間の心を破壊してしまう。争って解決するぐらいなら、幾度の話し合いを行って解決をしたほうが良いに決まっている。でも政府の対応によってはこれが仕事だからNOとは言えない。全ては政府次第なんだ。その意向に従うことが出来ないと分かればさっさと辞めているよ。」


支倉の答えを聞いた侑斗は「そうですよね。そう言うしかないですよね。」と語ると二人は祈念堂の前を通り過ぎて、資料館の入り口の方向へと進んだ。


そして資料館の入り口に入ると、支倉が侑斗に「2階の常設展示室に侑斗君に見せたいものがあるんだ。ただし、入館料は無料なんだけど、この常設展示室には観覧料が必要になってきて、金額は300円になる。」と話すと、侑斗は「わかりましたよ。せっかくここまで来たのだから常設展示室に展示されてあるのを確認してから平和の礎に目を通したいと思います。」と答えると二人は2階へと上がるためのエレベーターに乗って2階にやってくると、そこで観覧料を支払い常設展示室へと向かった。


展示されてある内容の一つ一つに目を通していく中で、侑斗が支倉に「最初の沖縄戦への道って書かれたところは、太平洋戦争に至るまでの経緯が説明されていますね。明治政府は琉球王国に対し武力を背景にした”琉球処分”を断行したことにより、そこで沖縄県は皇民化政策により急速に日本化が進んでいった。その一方で、近代化を急ぐ日本は富国強兵策により軍備を拡張し、近隣諸国への侵出を企てた。満州事変、日中戦争、アジア・太平洋戦争へと拡大した末に沖縄は15年戦争の最後の決戦の場となったとありますね。」と語ると、支倉が「次の部屋から沖縄戦についての展示ブースになるんじゃないのかな。ここから先が目を覆いたくなるような光景になるだろうなあ。」と話しながら次のブースへと移っていく。


入ったと同時にジオラマを前にして支倉が「沖縄戦の実相を住民の視点から描くことにより、被災状況を立体地図や映像・実物などで再現しましたとあるんだけど、改めて映し出される映像なんかも見ても当時の悲惨な状況を思い知らされた。」と語ると侑斗は「”鉄の暴風”って聞くだけでもゾッとしますよ。それにこのジオラマの再現を見てもここに御霊の目撃証言があってもおかしくないと思いますね。」と語ると、侑斗は支倉に「今のブースでも結構きつめの内容でしたけど、支倉さんは大丈夫でしたか?」と聞き出すと支倉は「ああ。大丈夫。次のブースのほうが怖いような気がするんだけどね。」と語りながら次のブースへ移動する。


入ったと同時に侑斗が支倉に「支倉さん。これはちょっときついですね。」と語ると支倉は「ガマの様子を再現したものか?」と訊ねると、侑斗は「当時のことが詳しく説明されていますね。”鉄の暴風”でも絶句する内容でしたけど”阿鼻叫喚の地獄図”とありますからね。日本守備軍は首里決戦を避けるためにも南部へ撤退、出血持久作戦をとったが、米軍の強力な掃討戦により追い詰められた末に軍民入り乱れた悲惨な戦場と化した。壕の中では日本兵による住民虐殺、恐らくこのジオラマなんでしょうけども、住民虐殺のみならず強制による集団死、餓死などがあった。外では米軍による砲爆撃や火炎放射器による攻撃が行われた。ジオラマのこの人形を見ているだけでも当時の悲痛な叫びが、ひめゆりの塔でも僕達が見たあの壕でも同じようなことがあったのだと思うと言葉には言い表すことが出来ませんね。」と支倉に対して語ると、支倉は「とても辛いけどこれが現実に起きたことなんだ。」と言葉少なげに語ると次のブースへと足早に移動すると、最後のブースを見終えて出口にまできたときに改めて支倉が侑斗に「涙は出てこなかったけど正直悶絶してしまうものばかりを見てしまったような気がするね。」と話すと、侑斗は「いやもう言葉にどう説明して良いのやら頭の整理がつかないですね。」と語りながら二人は平和の礎へと移動した。


平和の礎へと歩きながら侑斗は支倉に「僕も沖縄に改めて慰霊の旅路の企画の一つとして来たらどう?って支倉さんの提案で来て非常によかったと思いますけど、正直兄があまり良い顔をしなかったのが印象的だったんです。兄は悲惨な過去のある場所を果たして心霊スポットとして紹介するべきなのかどうかを非常に悩んでいました。霊が現れる、それだけで”心霊”と扱っていいのか、中にはそれを見ただけでも心無い言葉で罵倒する人間もいました。果たしてその方が仰ることは正義なのかどうかとなってくると、兄は亡くなられた方々の無念の思いを伝えるためにも”供養を目的”とした慰霊の旅路は行うべきだと言っていましたが、兄は沖縄の激戦地には決して足を運ぼうともしませんでした。」と話すと、それを聞いた支倉は「饗庭は人の気持ちを読んですぐ理解が出来る奴だからね。こういった場所に訪れるのは饗庭もきつい事なんだよ。人の悲惨な最期を見ることになるからね。警察官だからこれまでに色んな事故だったり不審死だったり、あいつもあいつで色んなことを職務上で経験しているからそういうのもあるのかもしれない。あんまりこういうのはプライベートでは見たくない心情なんだろう。」と答えると侑斗は「そうかもしれませんね。」と言って頷いた。


そして二人は平和の礎とマップ上で表記された場所に現れると、そこで目にしたのは沢山の刻銘碑だった。


侑斗が思わず「こんなにも沢山の刻銘碑があるなんて実際に目の当たりにすると何とも言えない気持ちになる。」と語った後に絶句してしまうと支倉が「沖縄戦で亡くなられた国内外の20万人余りの方々の名前が刻印されている。ここに来たら一人一人の名前に目を通すことはできないが改めて犠牲者の多さに言葉が出てこなくなる。」と語ると二人で黙々と刻銘碑に刻まれた名前の多さにただ絶句するばかりだった。


平和の礎を後にした二人は、国立沖縄戦没者墓苑へと向けて移動し始めた。


道中に侑斗が支倉に「全学徒隊の碑とありますけど、これってご存知ですか?」と支倉に訊ねると、支倉は「これは沖縄戦に於いて動員された21校の学徒隊の方々の慰霊のために平成29年(2017年)3月14日に新たに造られたものだ。年々高齢化が進み慰霊祭の開催が少なくなっていく中で学徒隊の存在を忘れないでという事もあってこの碑が造られるきっかけにつながったんだよ。今でいう中学生から高校生で編成されたということもあって、非常に若い年齢で戦地に赴き散ってしまったのだと思うとここも足を運ぶべき場所の一つだね。」と語ると、碑を前に支倉が両手を合わせ拝むと侑斗も続けて両手を合わせ拝んだ。


拝み終えた後、二人はゆっくりとした歩調で歩き進んでいくにつれ、各県沖縄戦関係慰霊塔エリアに辿り着くと、侑斗はマップを見ながら「凄い。こんなに沢山の慰霊碑が並んでいるなんて思ってもいなかった。」と話すと、支倉は「この平和記念公園内にある慰霊碑の数は32府県の慰霊塔がある。九州に限定したら、福岡の塔、鎮魂長崎の碑、熊本の火乃国之塔、鹿児島の安らかに、そして佐賀のはがくれの塔がある。」と説明すると、侑斗は「せっかくだから、佐賀のはがくれの塔に行って御参りしたい。」と話し、支倉も「そうだね。マップを頼りに足を運んでみようか。」と言って返事して早速はがくれの塔に御参りするために慰霊塔の前までやってきた。


碑文に綴られた内容を読んだ二人は思わず「2万8000余柱の方々が太平洋戦争に赴き戦死されたとある。」と口を揃えて言い出すと、二人は黙って見つめ合った後に慰霊塔を前に深々と頭を下げて両手を合わせ拝むことにした。


拝み終え、侑斗が支倉に「ここだけでも色々と考えされましたが、国立沖縄戦没者墓苑に行けば益々考えさせられるんですかね。」と語ると支倉は「ここは北海道も含む46都道府県の太平洋戦争の戦死者を弔うための慰霊塔を各地に建立して綺麗に管理して下さっている。毎年慰霊団がこの地に訪れていると考えたら、ここは生きているうちに必ず行かなければいけない場所だろう。国立沖縄戦没者墓苑には、沖縄戦で犠牲になられた18万余柱が祀られている国立の御墓でもあるからね。益々考えさせられるとかそういうことではなくって、やっぱり亡くなられた方々の御霊を供養する施設だってことを考えたら俺達は佐賀のみならず福岡や長崎、熊本、鹿児島にも足を運んで手を合わせなければいけないのだからね。」と指摘すると、侑斗は「その通りですね。」と言葉少なげに語ると、二人は国立沖縄戦没者墓苑のほうへと移動することにした。そして国立沖縄戦没者墓苑を前にして侑斗が「こんなにも大きいとは思ってもいなかった。そりゃ18万人の方々がここで祀られているんだと思うと、心霊スポットという立ち位置はちょっと違うって改めて考えさせられました。」と話すと支倉は「平和記念公園がどうして心霊スポットと言われる所以になったのは、ここって海岸沿いに面しているでしょ。激戦地だったために、岸の絶壁から日本軍の兵士や多くの子供、女性、老人が身を投げ自決をした地でもあるためだ。資料館で俺達が実際に目にした爆撃を受けて焼け焦げて大量の血に染まった衣服が展示されてあるのも見て、それもまたこの世に対する未練を拭いきれぬ御霊が彷徨う理由の一つともされている。そのほかにも写真を撮ると必ずオーブが写る、霊が写るとも言われていてね。ひめゆりの塔もそうだけども、こういう場所だからこそ悪ふざけのような気持ちで来てはいけない。それだけだね。そのほかにも、トイレで首吊り自殺があったなんて噂があって、夜にトイレに行くと首を吊っている幽霊が出たり丸い影が動いたりするなんて話もあるが、よくある噂話の一つにしか過ぎないと思っている。何せトイレに限れば、複数あるのでどのトイレ?ってなっちゃうよ。あとは慰霊碑のあたりで複数の兵士の霊に囲まれるという声もある。しかしこれもまたどの慰霊碑?ってなるから根拠のない悪ふざけ半分で作られた怖い話が世の中に出回ってしまったに違いない。」と話すと、支倉の話を聞いた侑斗は「やはり慰霊目的でこの地に足を運ばないと、亡くなられた方に失礼だと思います。」と語りそっと祭壇の前まで近づくと深々と頭を下げ両手を合わせ拝んだ。


その姿を見た支倉も侑斗の後ろでそっと頭を下げて両手を合わせ拝んだ。


拝み終えたところで支倉が「俺たち今日にアブチラガマに行くって話をしていたけど気か付けば日は暮れ、辺りは次第に真っ暗になって、時計をちらっと見たら18時を過ぎていました。どうするか?」と侑斗に訊ねると、侑斗は「ああ。アブチラガマはまた別の機会に行くことにするよ。今日は行けなかったけどひめゆり学徒散華の跡だってまた次に沖縄に行く機会があれば慰霊の旅路のためにも足を運びたいし、支倉さんが仰っていた轟壕や杏美さんの話にもあった沖縄県立第二高等女学校の生徒から編成された学徒隊の最期の地である白梅之塔にもぜひ御参りをしたい。それにせっかく沖縄まで来たから、おすすめの海ブドウが食べられる店とかあったら教えてほしいです!!俺、海ブドウが大好きなんだよ!!教えてください!!」と支倉に頼むと、支倉は「海ブドウがあるかわからんけど、航空自衛隊の那覇基地の近くに21時まで営業している魚屋直営の食堂があったな。そこでご飯を食べるか。」と話すと、侑斗は満面の笑みで「支倉さん!僕は忘れてませんよ!社会人になったらお祝いをしてくれるって話、もうそろそろ有言実行してくれますよね?御飯代おごってくれますよね?」とおねだりすると、支倉は「侑斗君が中学3年生の時から、もうかれこれ8年も付き合いがあるけど、君は本当に変わらない。猫を被る、上に媚びる、ドラえもんで言うなら君はスネ夫だな。つくづく感心させられるよ。市役所じゃなくとも君は出世ロードまっしぐらだな。一切敵を作らずに上に可愛がられるコツを知っているからね。そう考えたら君は世渡り上手で羨ましいよ。そうやって上の人に対して、ねえねえお願いって言ってワガママを聞いてもらえるんだからね。ったくしょうがないなあ。約束は実行するけど、そんな高いメニューは注文しないでね。」とお願いすると、侑斗は「わかりましたよ。」と満面の笑みで答えると、二人は駐車場の場所まで徒歩で移動し始めると、念入りに自身の御祓いをし終えてから、食堂へ向かうことにした。


目的地の食堂へと辿り着くと、車を店の前の駐車場に車を駐車させてから店内へと入ると、侑斗が「ここ海鮮丼って書いてありますけど、あっでもメニュー表をよく見たら海ブドウが使われているメニューがある!ラッキー!早速これを注文して、えっとサイドメニューの海ブドウにシーフードサラダに・・・。」と話すと支倉が「海ブドウは分かった!だけどシーフードサラダは高いから却下!頼むんだったら島豆腐やっこにしてくれよ。美味しいから。」と話すと侑斗は「はあ!?社会人祝いにご馳走してくれるって言う割にはすんごくケチ!」と愚痴をこぼすと、それを聞いた支倉が「誰のために忙しいのに時間を割いていると思っているんだ・・・!」と思わずためにため込んだ怒りをぶつけそうになった時に侑斗は支倉が心底怒っていることに気が付き慌てて「すみません。海ブドウの丼と海ブドウの注文だけにします。」と小言で語ると、支倉は「それでいい。」と不貞腐れた口調で答えると、その後の二人は黙り込んで、出てきた海鮮丼を食べ進んでいくと侑斗は支倉に対し謝らなければいけない気持ちが芽生えると、侑斗は支倉に「さっきはわがままを言ってすみませんでした。忙しいのに僕のために時間を作ってくださっていることをすっかり忘れて自分のことしか考えていませんでした。本当にありがとうございました。」と謝罪の言葉を伝えると、支倉は「いいよ。さっきは言い過ぎた。悪かったな。ごめんな。ところで泊るところはどうするんだ?」と侑斗に対して聞くと、支倉が「那覇基地の近くに借りているマンションがあってね、そこで事務所も構えている。ベッドがあるから寝泊まりも出来る。俺のボランティア霊能者としての仕事を手伝ってほしい。」と侑斗にお願いすると、侑斗は「わかりました。依頼を引き受けましょう。」と快く支倉の依頼を引き受けることになった。

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