霧の中に悪魔がいる

full moon
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(6)

公開日時: 2021年8月9日(月) 01:47
文字数:448

私は救いを求めるように、床に散乱している陶器の破片を握った。


その鋭利な側面で、握った手を切り、血が滴る。


破片の先端を救急隊員に向ける。


真っ直ぐに向けているはずなのに、腕が震える。


救急隊員は、一歩下り、身構える。


警察官達は、距離をとり、私をなだめようとする。


しかし、頭がぐわんぐわんと脈打ち、何て言っているのか理解が出来ない。


私は、その破片の先端を首元に向ける。


警察官達が私を囲う。


私は、大きく息を吸い込んだ。


そして、勢いに任せて、破片の先端を喉へ突き刺そうと腕に力を入れた。


これで、解放される。


一瞬の恐怖と痛みを受け止める為、目をぎゅっと閉じる。


破片の先端が喉元へ向かい進んでいく。


しかし、ぱしっと、腕を掴まれた感覚がした。


私は驚いて目を開いた。


警察官が、私の腕を掴んで、自殺を阻止していた。


私は暴れ狂った。


それを見た、他の警察官も、私の体を押さえ付け、両手を拘束した。


警察官達は、私に有無も言わせずに、連行し、出入り口から店外へ出た。


霧は陽に温められて、薄霧になっていた。


駐車場が朧げに見える。

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