霧の中に悪魔がいる

full moon
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(2)

公開日時: 2021年7月20日(火) 02:14
文字数:429

もうこのまま死を選ぶしか無いのだろうか。


「私達は、決断する時が来た」


老婆は突然、口を開いた。


老婆は、私達に話を続ける。


私達は、最後の望みをかけて、老婆の言葉に耳を傾けた。


「悪魔はもう目前にまで来ているだろう。悪魔に許しを乞い」


老婆は言う。


「どうやって、許しを乞うんだ?」


私は言う。


「一人を選び、生贄にする」


「ここまできて、生贄を差し出したところで、悪魔に受け入れられるのか?」


「そうだ。悪魔に命を献上する事で友好的であると示すのだ」


私は言葉を詰まらせる。


もう、私達には、成す術は無く、極度の疲労から、考える事も出来なくなっていた。


もちろん、老婆の案は、誰かが悪魔に殺される事になるのは理解出来た。


私は、自然と、郷珠を見る。


郷珠は、私の視線に気が付かない。


「誰が、その生贄になるのです?」


私は訊ねる。


「お前は、配達員を解放した結果、人を殺した。お前の奥さんは、あの者を惑わして死に追いやった」


老婆は死んでいる篠生を見て言う。


「私達が生贄になれというのですか?」

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