「ええ、とっても可愛い美少女のメルメちゃんの引き立て役として頑張るわ」
文句なんてありません。
可愛い美少女のメルメちゃんと一緒にいられるなら。
引き立て役になる事など、なんの文句がありましょうか。
「平和な世界で殺人者達を従えてた悪役のお姉ちゃんなんて」
「私の引き立て役として凄くいいよ」
「メルメね、お姉ちゃんと会えてとってもとーってもラッキーなの」
「メルメが、悪役のお姉ちゃんを改心させた正義の美少女ヒロインになっちゃおうかな」
私は、メルメちゃんを、拙い方法で、大車の要領で勢いよく回転させて投げつけていた。
そのまま、下段突きをメルメちゃんの喉に向けて寸止めする。
なんでかしらね。拙いながらも記憶に残っている柔道の投げ技と、下段突きの記憶が、何故か私の脳にあった。
「技有りね」
「怒ったの、悪者のお姉ちゃん」
メルメちゃんに言われたように、私は怒っていた。
だって、私は前世で殺人者達を従えていた悪役じゃない。
前世の記憶がはっきりと残ってるわけでなくても、そうではないと思う。
「ええ。怒ってるわ」
「私は、前世で殺人者達を従えてなんかいないもの」
「そうみたいね」
メルメちゃんは、何かの誤解だと分かってくれたようだ。
私が、なんで殺人者達を従えないといけないのでしょうか。
美少女達をアサシンとして教育し、利用する悪の集団から美少女アサシン達を救い出し、
私が囲っていた、とかかしら。
けれど、そんな前世の記憶はまったく、欠片も残っていないのよね。
「わかってくれたのね」
メルメちゃんは、完全に納得はいっていない。
けれど、メルメちゃんがこれ以上続けるなら、私は彼女を殺害するでしょう。
メルメちゃんは、それを理解しているようだ。
さぁ、やるのかしら。
メルメちゃんがやるなら、私はやるわ。
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