「富造君才賀君」
私は、富造君と才賀君に呼びかける。
富造君と才賀君が、準備態勢に入る。
「晴生君」
「やめなさい」
晴生君の前に立ちふさがり、理々花ちゃんへの追撃を阻止する。
「もう、理々花ちゃんはダウンしてるわ」
「カウントダウンするまでもなく、ノックアウトよ」
実際、理々花ちゃんはもうダウンなんてものではなく、ノックアウトだ。
「総合だって、ノックアウト判定よ」
「マウントにいかなくていいのよ」
ノックアウト状態の理々花ちゃんに、技術のない原始的なマウントとはいえ。
晴生君の体重体格力で、タコ殴りなんてしたら。
理々花ちゃんは。
「Grrrrr」
晴生君は、もう言葉が届いているとも思えない。
晴生君は、私を左手で掴み、右手で殴る。
左手で掴んだ状態でも、威力は十分だった。
もう、私にあるのは恐怖だった。
才賀君のいう通り。
もう、限界よ。
「晴生君を止めて」
「富造君才賀君」
富造君が、地面を強く蹴り、踏み込んでからの突きを、背後から、晴生君の背中に当てる。
「ぎぃっ」
流石に、この一撃は晴生君にも痛みを与えるようだ。
だが、痛み程度で、晴生君が止まるわけがない。
私は、もう泣きそうだった。
この場の誰もが、泣いて当然なのだ。
誰が、こんな終わりを望んだのだろうか。
誰も望まなくても、私がそれを望んだ。
才賀君が、大車を晴生君にしかける。
晴生君が、回転し、地面に倒れる。
そのまま、3人で、地面に倒れた晴生君に、下段突きを決める。
下段突きを、決めていく。
もう、十分ではないだろうか。
止まってちょうだい。
そう、願っても。
私はもう、願ってしまっている。
晴生君が止まるまで、私達は止まれない。
富造君が、才賀君が止まっても、私が止まるわけにはいかない。
「せぇぇぇい」
「せぇっ」
「せぇにござる」
私達は、せぇせぇ言いながら、晴生君に下段突きを繰り返した。
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