「なんだコラァ」
「もーいっぺんゆーてみぃ」
「ええ、言ってやるわよ」
「水守なんて、何もしてこなかったじゃない」
「人類は、人類でなんとかしてきたのよ」
「その癖に人類の祖先面して」
「私も、水守には怒りがあるわよ」
「水守に怒りがあっておかしいのかしら」
「水守に怒らない貴方達の方がおかしいわよ」
メルメちゃんの前に立ち、私も怒りを言葉にする。
メルメちゃんから怒りを私に向けるだけでなく、これは本当の私の怒りよ。
「お姉ちゃん」
「逃げられるかしらメルメちゃん」
「お姉ちゃんも、水守に怒りがあるんだね」
「当然よ。あるに決ってるじゃないの」
「けど、逃げられるなら逃げた方がいいわね」
「この数の怒りを向けられて、勝ち目はないわ」
「逃げても何の意味もないよ」
「さっきの上林月恵かもしれないって奴も」
「もうまとめてやっちまえ」
「やってしまいましょうよ」
「これ以上ごちゃごちゃ言うのもばからしいわ」
「痛い目に合わせてやりましょう」
「やっちまえー」
「上林の偽物もロリガキも」
「俺達を守ってくれた水守に暴言吐いてんだぞ」
「やっちまう事に決めたぜぇ俺は」
群衆の怒りがのぼっていく。
「そうか、君は」
義徒が、こちらに近づいてくる。
「ごめんなさい」
「水守一同を、端守の私が代表するには不足だが」
「この場で謝罪させてくれ」
義徒が、メルメちゃんに向かって深く頭を下げる。
嘘偽りを感じられない謝罪だ。
私も、なんとなくながら分かってきていた。
このエターナルファンタジーの世界は、水守が人類の祖先として人類を守っている世界にある、平和な世界のエターナルファンタジーだ。
そしてメルメちゃんは、水守が何もしなかった世界の人間で、そこからこのエターナルファンタジーにログインして繋がっている。
私は、メルメちゃんがいる世界では、殺人者達を従ていた悪の親玉。
大勢の人を殺害していた悪役。
メルメちゃんが私に向ける怒りは本物で、でもその怒りを私にぶつけられても、何もできない。
義徒と違って、謝罪する事すらできない。
それなのに、義徒からは心からの謝罪が感じられる。
私も、この世界での義徒にどれだけ怒りをぶつけても、何を言っても、何の意味もない。
もう、何も意味がないんだ。
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