「うぜぇぇ」
晴生君が、人間の言葉を使う。
「うぜぇんだよ」
「晴生君、もうやめて」
私は、もう泣いていた。
初めに繋がった時より、体がどれだけ大きくなって。
どれだけ腕が足が太くなっても。
どれだけ、見た目が化け物じみてきても。
晴生君は、初めに関わった頃のように、なっていた。
晴生君が、富造君の足を掴み、引き倒す。
体制も、技術も無茶苦茶だ。
それでも、富造君は引き倒された。
私達が、攻撃をしても、晴生君は立ち上がり、富造君の喉を踏みつけた。
晴生君の体重で、晴生君の脚力で、富造君の喉を踏みつけるなんて事は。
それはもう、獣だった。
私達は狩人だった。
晴生君が獣なのも、また条理。
「うぜぇぇぇ」
もう一度、晴生君は富造君の喉を踏みつける。
人間の言葉を喋る獣だった。
でも、これが本来の私達の親友晴生君なのかもしれない。
富造君は、もう動けそうにない。
「晴生君」
才賀君が、動けなくなった富造君から晴生君の注意を引こうと呼びかける。
「当身技 オリジン 零」
そして、晴生君の股間に、足を蹴り上げる。
「金的」
当身技オリジン零:金的。
親友に向ける技ではない。
けれど、もう決まっていたんだ。
私達が繋がった時から。
「なんだよそれ」
!。当身技オリジン零:金的を直撃され、言葉を発するなんて。
このオリジン零金的をまともに食らえば、声も出せないはずよ。
「うぜぇよ」
晴生君が、才賀君に掴みにかかる。
常識で考えれば、才賀君に掴みにかかるなんてのはおかしい。
組んで、掴んで、才賀君の技術に勝てるわけがない。
が、晴生君は、才賀君の左腕を、関節技の技術も何もなしに、折った。
もう、獣でもなかった。
もう、怪物だった。
「づぁぁぁ」
才賀君が、痛みから声をうなる。
いくら、技術があろうと。
腕を折られれば、痛みで声をうなるのが人間だ。
技術では、痛みを抑える事はできない。
技術では、痛みには勝てない。
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