ところで小説家になりたいんだがどうしたらいい?

日常を綴り、人生と言う物語を認める。ご笑納下さい。
Hatter
Hatter

どんなジャンルだったらいいのだ?

公開日時: 2020年11月11日(水) 12:00
文字数:543

 俺は数秒前にいだいた、目の前の男に報いる気持ちに既に疑問を投げかけていた。

 そんな俺には構うことなく「おヒヤください。新しいコップで」イケメンスマイルはカウンターに声を掛けている。背後では、ミーちゃんの熱い吐息とひっくり返った返事の相槌のように、ダンッ!と音が聴こえた。きっと、旦那マスターが、出刃包丁をまな板に叩き付けたに違いない。

 だいたいお前おヒヤって、のびたくんのデートかよ。


「サイトに好みがあるのはわかった。純文学が好まれ……」


「却下」


「じゅん……」


「却下」


「……」


「ダメです」


「何も言ってないだろ?!」


「頭とか顔とかいろいろと」


「何だって?」


「いえ。こちらの話です。お気になさらず」


する! 気にするわ!


モジャお。何故、純文学に拘る。


「とにかく。純文学は、さっき言いましたけどダメです。どこのサイトでもダメです。稼ぎに直結しません」


「じゃあ何だったらいいんだ。そのゲームとか、別世界じゃないとダメなのか?」


「異世界、です。純文学と不純文学以外にネタないんですか? このジャンルだとどちらも骨と心が折れるだけで、売れません。まあ、その方が先輩のためかもしれませんが」


「じゃあ、SF」


じゃあ?

じゃあって何ですか。そんなに簡単にネタが出てくるのか?

モジャお、そのモジャモジャの中に何を仕込んでいる……。



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