【完結】慰霊の旅路~修業編~

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岸岳城跡(佐賀・唐津市)

公開日時: 2021年10月10日(日) 17:47
文字数:6,198

2025年4月5日 土曜日

社会人になって初めての週末を迎えることになりましたヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪


霊能力者銀河は暫くの間はお休みですが、この銀河が立ち上げた”慰霊の旅路”というホームページだけは今後も霊障や御祓いをしてもらいたい方々のために今後も活動は週末に限られてきますが、引き続きボランティアの霊能力者を続けたいと思っております。銀河代理と言ってしまったら紛らわしいので、今後は僕がメインとなってこのホームページを管理することになるので、僕らしい名前にしたいと思います。


その名は、霊能力者・北斗!!


今後は霊能力者の北斗が心霊スポットの霊障の真偽も含め、検証を行いたいと思います。北斗として霊視を行う記念するべき第1回目の投稿はTwitterやInstagram、TumblrやPinterestで写真の投稿、さらにニコニコ動画やYouTubeで全世界にライブ配信を情報を発信したいと思います。因みに素顔を曝け出してはまずい事情があるので今回は、可愛らしい豚ちゃんのマスクをつけた状態で撮影を行います。


今回は佐賀県の唐津市内にある岸岳城跡にやってきました。銀河のホームページでこんな興味深い書き込みがあったので、早速投稿された内容をお話をしましょう。


「銀河さん、犬鳴ダム以来HPを更新していないので大変心配しています。お元気でお過ごしでしょうか。僕が今回調査をお願いしたいのは地元を代表する城跡と言っても過言ではない岸岳城跡です。波田一族の居城でしたが、朝鮮出兵をしなさいという豊臣秀吉の命令に従わず独自の行動を行った波多氏は島流しにされ、残された武士は自害を強要され、また逃げ出した者も残党狩りによって皆殺しにされたという哀しい歴史があります。岸岳城跡で言われる心霊現象には、鎧を身に纏ったガイコツの霊に襲われる、落ちている石を拾うと祟られるなどの話があります。是非とも現地に行っていただき、心霊現象の有無を確かめて頂けませんか。宜しくお願いします。」


非常に興味深いと判断をさせて頂き、早速現地に行って調査を行いましょう!


岸岳城跡に向かうまでにまずは旗本百人腹切り場所(竜谷山瑞巌寺跡)へと行って拝んでから、岸岳城跡へと向かいましょう。旗本百人腹切り場所はかつて竜谷山瑞巌寺というお寺があり、また岸岳城主の波多氏の菩提寺だったそうですが、波多氏の改易と同時にこの竜谷山瑞巌寺も廃寺となりました。城を奪われ、主君を失った波多氏家臣はこの地で集団自決をしたと伝えられ、現在もお堂の近くの丸山には100基以上の五輪塔(墓標)が並んでいます。地元では墓碑のことを末孫様(ばっそんさま)と呼び、粗末に扱うことなどをしたら祟られると言われています。ここでも心霊現象の話があります。工事関係者が末孫様のある場所で工事を行おうとしたら車が動かなくなってしまった、誤って末孫様を踏んでしまったことにより高熱に魘された等の話があります。さて、瑞巌寺跡と書かれた看板が目に入ってきました。ここが入り口です。では早速、竜谷山瑞巌寺跡へと続くこの山道を入っていきましょう。


侑斗はそう語ると、敷地内の奥へ奥へと慎重な足取りで歩いていく。


そして、一番敷地内の奥にあるお堂で拝んでから、お堂の手前にある階段を上り、旗本百人腹切りの場所の敷地内にあるお堂に先ず入りましょう。噂の末孫様を前にして侑斗がカメラを手に取り写真を撮影し始める。


「100基と伺っていましたが、明らかに100基以上はあるかと思われます。この地に入れば霊感のない方でも、空気を非常に重苦しく感じるでしょう。早速、この世にまだ怨念が残っているのかどうか、霊視を行いましょう。」


侑斗がそう語ると目を瞑り透視を行った。


気を集中し、精神統一をし始めると、数分後目を開けて話し始めた。


「山は霊が非常に集まりやすい場所です。人は死後、天国を目指すためにより高い場所を利用して昇天をしようとします。そのため山には多くの霊が現れやすい場所でもあります。霊視と透視を同時に行った結果ですが、色々な時代の霊がいることに気が付きました。恐らくですが、波多氏の家臣で集団自決をした御霊だけではないと思います。この地とは全く無縁の浮遊霊もいます。そして波多氏の家臣でしょうか、墓標を取り囲むようにして、僕のことを興味津々に見ているようですね。豚のマスクを被っていますから、怪しすぎるのかもしれませんね。」


侑斗がそう解説すると、お堂の左手を登り始めた。


鉄塔を過ぎると、森の中にひっそりと波多三河守の墓があり両手で拝み始めた。拝み終えた後に侑斗は、「次こそ本題の岸岳城跡へと向かいましょう。」と語り入り口に向かって歩き始めた。


旗本百人腹切り場所を後にした侑斗は、岸岳城跡へと到着した。


「さて着きましたよ!岸竹城跡です。ここで、銀河のホームページに書き込みをしてくれたペンネームの不貞腐れゾンビさんにも来て頂きましょう。ではカメラの前に来てください。」


侑斗が案内すると、ウサギのマスクをした女性が現れた。


「はじめまして。不貞腐れゾンビです。今回、北斗さんに調査をお願いしたのはほかでもありません。ゾンビマニアとして、岸岳城跡で見たとされる鎧を身に纏ったガイコツの霊を是非ともこの目で見てみたいという思いから投稿をしました。霊能力者の北斗さんと一緒なら見れるのではなかろうかという期待があります。」


不貞腐れゾンビがそう語ると、岸岳城跡で出てくるであろうガイコツの霊をイラストにしてカメラの前に映し出したのだった。


それを見た侑斗は「イラストがお上手ですね。」と語ると、不貞腐れゾンビは「一応会社員ですが、副業としてイラストレーターをしています。」と答えた。その答えを聞いた侑斗は「なるほどですね。」と頷きながら、「結構怖い絵とか描かれたりするんですか?」と伺うと、不貞腐れゾンビは「ええ。勿論です。怖い絵のほうがわたしの得意分野ですからね。」と笑いながら答えた。


2人はそう言って夕方の薄暗くなる17時過ぎをあえて狙って岸岳城跡へ向かうことにした。その間の不貞腐れゾンビはというと、「ガイコツの霊が現れたら嬉しい!」と言い出して、ずっとガイコツの霊がどんな姿で現れるのであろうかと言った話をずっと侑斗に聞かせていたのだった。


石垣を残すのみとなった岸岳城跡は、覗くと祟りがあるとされる井戸を覗き込んだ後に本丸跡にある墓碑に手を合わせた。


そして暗闇になる時を待つことにした。


その間に侑斗は不貞腐れゾンビに声をかけた。


「そんなに岸岳城跡の心霊現象が気になるのなら、今のところ見た感じではカメラすら撮っていないような気がしたんですけど、真っ暗になるまでに気になるところは撮影をしてきたらどうですか?」


侑斗の気遣いに不貞腐れゾンビはこう返した。


「見た光景を目に焼き付けて今後イラストにして発表をしたいと思っていますので、写真は不要です。」


不貞腐れゾンビの答えに侑斗は「そうなんですね。」と語り、2人で侑斗が予め持参していたランプの灯りを頼りに夜が更けるのを待ち続けた。そして街灯のない辺りは真っ暗となり、ランプの灯りだけが頼りになった時を見計らい、2人は岸岳城を散策することにした。


カメラを前に侑斗が岸岳城について説明をし始めた。


「岸岳城について説明をしましょう。今Wikipediaのアプリを見ているのですが、なかなか僕が解釈するよりも分かりやすいことが書いてあったので説明をします。」


『岸岳城(きしたけじょう)は、肥前国、現在の佐賀県唐津市相知町佐里・北波多岸山に存在した日本の城(山城)。もともとは鬼子岳城と書いた。佐賀県指定史跡。


唐津市北波多と同市相知町との境界をなす標高320メートルの鬼子嶽に位置した。東から松浦川が、西から波多川(徳須恵川)が流れて合流する中間の要害に位置し、唐津湾に至る水運を支配する上での要衝であった。山頂付近は急崖に囲まれ、城はその山頂部の南側尾根の上に築かれている。

伝説によれば、この山は古来より鬼が住んだといい、それが鬼子嶽の由来である。ただしここでいう“鬼”とは即ち、お上に従わない地方豪族をさしている。長元4年(1031年)、乱を起こした平忠常が滅ぼされた後、その徒党である信州福原の武士稲江多羅記という者が九州に落ち延びて波多郷に住み着いたが、その子に狐角という強力の者がおり、鬼子嶽の要害に山砦を築き略奪強盗を働いて国守の手に余る暴れっぷりであったため、朝廷は四天王の一人で鬼退治で有名な渡辺綱の子、判官筒井源太夫久を派遣してこれを討たしめたという話がある。

延久元年(1069年)、肥前国松浦郡宇野の御厨検校となり、検非違使に補されて下向した松浦久が松浦党の祖であるが、子孫には土地が分割され、波多郷を与えられた松浦持が鬼子嶽に同城を築城したという。同時に波多城、島村城、青山城を築いた。持の子孫は波多氏を名乗り、約400年後の17代・波多親まで続いた。

文禄2年(1593年)には豊臣秀吉によって波多氏が改易され、所領には唐津藩主・寺沢広高が入ったが、寺沢氏は交通の便のよい平野部に唐津城を建築して移り、当城は廃城となったとされる。しかし、城郭考古学者の千田嘉博氏は石垣の積み方やその状況から見て、文禄・慶長期に作られたものであるとし、波多氏滅亡後も城として維持されていたと推測している。

鬼子嶽の南、相知町佐里の集落が城下町の跡であり、当時唐津の町は存在していなかった。山腹には無念に思った波多氏の家臣百人が腹を切った集団墓地もある。

城跡は1996年(平成8年)11月15日付けで佐賀県の史跡に指定された。』


(出典先:Wikipedia 岸岳城の記事より引用)


侑斗がWikipediaの記事を見ながら解説をし始めると、説明が終わったところで不貞腐れゾンビが侑斗に語りだす。「鎧を身に纏った骸骨の姿は見たの?」


不貞腐れゾンビの問いに侑斗は「わかった。いるかどうかは見てみる。」と言うと、その場で霊視と透視を行った。その結果を不貞腐れゾンビに答え始めた。


「こう言って申し訳ないと思うことだが、残念ながら鎧を身に纏った骸骨の霊などは現れない。人は霊となったとき、死んだときと同じ状態で現れる。よって白骨化した状態で現れることはありえない話だ。今僕がこの目で見てわかったのは、数体の浮遊霊ぐらいだ。いずれもこの波多氏とは縁のゆかりもない。山は霊が非常に集まりやすい。人は死後、天国に向け昇天するためにも、高い場所を狙って登っていくんだ。そのため、今僕達の前にいる浮遊霊はたまたま通りかかってこの地にいる。それぐらいの程度だけで禍を齎すことは有り得ない。無害といってもいいだろう。」


侑斗の答えに、不貞腐れゾンビは納得がいかなかった。


「ガイコツの霊が見たかった。こっくりさんでもして呼び出すことって出来る?」


不貞腐れゾンビの質問に侑斗は答えた。


「岸岳城のような哀しい歴史を持つような場所でこっくりさんなどを行えば、かえって悪いものを呼び出してしまう結果となります。絶対に行わないでください。哀しみに寄り添い、悪の道へと誘い込む存在はこの世の中にはいます。この地で命を落としたであろう、波多氏の一族の関係者は皆、この地にはもう怨念は残していないことはわかりました。恐らくですが、成仏してこの世にはもう思い残すことがないから僕達の前に可視化して現れないということです。」


侑斗が解説をすると、不貞腐れゾンビはそれでも納得がいかなかった。

持ってきたリュックサックからA4の白紙の用紙を取り出すと、それはこっくりさんの儀式を使うための用紙だった。


「何が何でもガイコツの霊を呼び出したい。そのために諦めない。」


不貞腐れゾンビが一人でこっくりさんの儀式を行おうとしてたまらず侑斗が制止した。「危ないから辞めろって言っているのがわからないんですか!?」と必死になって止めに入るがそれでも言う事を聞かない。


無我夢中で不貞腐れゾンビがこっくりさんを行っていると、周りの空気が段々と重苦しくなっていった。押しつぶされそうな空気感に、侑斗がたまらず「やめてくださいっていっているのがわからないんですか!」といって突き飛ばすと、我に返った不貞腐れゾンビが「痛い!何するのよ!」と怒鳴ると、侑斗は辺りを見回した。


「まずいことになりました。眠っていたこの地で最期を遂げた御霊達を呼び起こしてしまったようです。」


侑斗がそう解説すると、不貞腐れゾンビも同じことを考えた。


「霊感はないから見えないけどでもさっきから何か息苦しいぐらいに、空気が重たくなっていった。これは一体何?」


不貞腐れゾンビがそう話すと、侑斗はハッとなって不貞腐れゾンビに話した。


「決して後ろを振り返らないでください。」


その言葉に不貞腐れゾンビが思わず振り返ると、「ギャアアアア!!!」という悲鳴が轟いた。不貞腐れゾンビの後ろには、彼女が無理矢理呼び出した血まみれで鎧姿の武士が複数名現れ、侑斗と不貞腐れゾンビを睨みつけていたからだった。


「やばい。目覚めさせたことで怒らせてしまったに違いない。」


侑斗が緊急で御祓いを行ったところで、現れた御霊達は砂埃のように消えていった。


その様子を見た不貞腐れゾンビは恐怖のあまりに足がガクガクとなって座り込んで立ち上がることすらできずにいた。現れた御霊達の御祓いを済ませたところで、侑斗は不貞腐れゾンビに話しかける。


「こっくりさんなんて、霊を呼び出すためのゲームは金輪際行ってはいけません。今回の案件で十分不貞腐れゾンビさんには反省をして頂きたいです。」


侑斗が怒鳴ると、不貞腐れゾンビは「知識不足で申し訳ありませんでした。」と小声で喋ると、侑斗の手助けでようやく立ち上がることが出来た。不貞腐れゾンビは「わたし、こっくりさんを面白半分でやっていたのですが、まさかこんなことになるとは思いもしませんでした。」と侑斗に話すと、侑斗は「こっくりさんと欧米で霊を呼び出すために用いられるウィジャボードは同じようなものです。いずれも悪魔を呼び出してしまう危険性のリスクの高い遊びです。」と話すと、不貞腐れゾンビは「悪魔ってキリスト教だけの世界観じゃないんですか?」と聞き出すと、侑斗は答えた。


「仏教にも悪魔は存在します。悪魔と言うのはキリスト教やユダヤ教、イスラム教やヒンドゥー教など、全ての宗教において存在するんです。悪の世界に墜ち、その道を究めることで頂点に立とうとする許し難き存在です。それは宗教上の教えに留まらずこの世への未練から招く、いわばこの世に対する呪縛とも言うべきでしょうか、とりわけ事件や事故が起こった地では哀しい御霊達が集まりやすく、またそのリーダー格となる御霊が仲間を増やそうとしてある人を死へと導くことで、その御霊は悪の世界へと墜ちていくんです。それがいわゆる悪さをする霊です。つまり悪霊です。悪魔と言うのは生者のエネルギーを大量に吸収してパワーアップした御霊のことをさすんです。死後の世界では、被害者も加害者も関係はありません。つまり、生前にやりたいことをしっかりとやり遂げて死んだかどうかということです。」


侑斗の解説に不貞腐れゾンビは言葉を失い、ただ黙って辺りを見回すだけだった。

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