昼ご飯を食べ終えて、白山島を後にしたのは15時過ぎの事だった。
烏藤が運転する車に長谷川、星弥、支倉が乗ると、芦原が運転する車には吉原と侑斗が乗り込むと、色々な話をしながら大いに盛り上がった。八甲田山の兵士の御霊に取り憑かれていた長谷川は移動中の車内で星弥から事の経緯を聞かされていた。
後部座席に座る長谷川は隣に座る星弥から聞かされた内容に「えっ?」と戸惑いを隠せられずにはいなかったが、体に起こった異変を話し始めた。
「八甲田山を後にしてからだったんだけど、足の太ももから先のふくらはぎの部分の節々が痛むのは何でだろうなと思っていた。それに時折ずきんと来るめまいのようなものがあって、あっ俺きっと疲れているのかなって思いながら一緒に同伴していたんだけど、まさかそれが霊障だったとは予想だにしていなかった。」
長谷川がそう語ると、星弥が話し始めた。
「生者に禍を齎す悪霊に憑かれた場合は表情が変わってくる。精神的にやつれているなというのが見てわかるほど、誰の目が見ても”大丈夫なのか?”となることが多いのだが、八甲田山の兵士の御霊は違った。生前に自我を失い一心不乱になってでも生き延びようと彷徨い続けた結果お亡くなりになられた経緯があるから、生者に憑いていくことは、生き延びるための手段の一つとぐらいしか思ってもいなかったのだろう。生きているのか、死んでしまったのか、それすら理解っていない。だから、百年以上経てど、陸上自衛隊が慰霊登山を行ったとしても、理性や自制心を失った兵士の御霊達には御経の力や日本陸軍から陸上自衛隊になってからの後輩たちによる慰霊登山だけでは癒えない傷のほうがあまりにも大きすぎる。とにかく必死になって憑いてきたのだろう。害を及ぼすほどの悪い御霊ではないので気付くのが遅くなった。申し訳ない。もっとも四十四田ダムのあたりから田沢湖に至るまでの夢中になるがゆえに発狂した様子などを見て、余りにも様子がおかしいと霊能者でもある俺達のような存在が真っ先に気が付くべきだったのだが、憑いている霊のパワーがあまりにも微弱だったから気付くのが遅くなった。本当に悪い事をした、謝っても謝り切れない。」
星弥が長谷川に謝罪をすると、長谷川はこう語りかけた。
「饗庭さんは悪くないです。それに四十四田ダムから田沢湖で都市伝説で噂されている現象を幽霊ハンターとして撮りたくて撮りたくて無心になったのは事実だから。それは決して八甲田山で亡くなった兵士たちが憑いていたからではない。」
長谷川はそう話すと、にこりと笑顔を見せると、星弥は長谷川に「ありがとう。」と話すと、助手席に座る支倉が話し始めた。
「長谷川君だって元に戻ったんだから、気を取り直してもっと次に向かう宮城県での観光を楽しもうよ。楽しまないと損じゃないか!」
支倉がそう話すと、星弥が首を傾げた。
「八木山橋に行って心霊観光を楽しめというのか。はっきり言う。あれは楽しむ要素ゼロに違いない。少なくとも御祓い能力のある支倉も行って見たらわかることだ、俺も福島県から先の遠いところまでは行ったことがないので、八木山橋に纏わる心霊現象の話は色々と聞いてきたけどあそこはやはり仙台という大都会もあるから、他の東北の県とはやはり違う。八木山橋は例えるならそれこそ蟻地獄だろう。誘い込み、罠に貶める。そうやって心に闇を抱える生者を死の世界へと招き、さらに仲間を増やしているのだろう。少なくとも悩み事があったり、抱えている辛いことがある状態で八木山橋に行けば、間違いなく導かれるに違いない。支倉は今まで自殺の名所と呼ばれるスポットには行ったことがないから、竜ノ口渓谷があるというだけで”観光”って言っているだけだろ。はっきり言う、岩手の四十四田ダムや、秋田の梅林園、山形の高館山展望台とは自殺した人の数も、圧倒的に八木山橋のほうが多いに決まっている。写真で霊視をしてみたけど、渓谷の下で無数の人々が上を見上げて橋にいる人たちに対して手招きをしているのが見てわかった。これは、俺達のような霊能者だと勘づかれたら、俺達も危ない目に遭う危険性が高い。」
星弥がそう話すと、さらにネットサーフィンで調べた結果を話し始めた。
「八木山橋は昭和6年の2月に軍用道路の吊り橋として工事を着工すると、同年の8月に完成したと同時に自殺者を多く出した。特に昭和12年から13年にかけては投身自殺が多く発生したため、近くに派出所が設けられたことがあったそうだ。昭和40年の3月に橋の改修工事に伴い、自殺防止のための高さ1.2mの欄干を設置したがそれでもなお自殺者が出たために、高さを2mにした上に鼠返しや有刺鉄線をつけなければいけなくなった。八木山橋での犠牲者の総数は100人以上に上ると言われているようだな。果たしてそうだとしたら、出来るだけ深入りしたくない。」
星弥が不安げに語るのを運転席で聞いて居た烏藤は星弥にこう話し始めた。
「自殺者の数だけで考えれば、東北地方においては圧倒的だろう。手招きする霊もいれば、下に吸い込まれるような錯覚に陥った末に投身自殺を図るというのもあったりしてね、あそこほど曰くつきはないと思うな。だから自殺者が出て一時的に八木山橋に交通規制がかかって大規模な渋滞が起きたためにTwitterでツイートされたことにより話題になったことがあったとしても大ごとにはならない。規制がかかっているんだよ。テレビ局だって、心霊特番であったとしても、八木山橋を放送するのはどの局もためらう。説明しがたい現象が起こりうる可能性が高いからなんだよ。」
烏藤がそう話すと星弥は呆れた口調で語りだした。
「そんなに曰く付きがお好きなら、福岡県宮若市にある犬鳴村の都市伝説でも非常に有名な犬鳴ダムを推奨するぞ。かつて凄惨なリンチ事件が起きた旧犬鳴隧道には立ち入りが制限されて行けないが、ダムならいくらでも行けるぞ。福岡県外のナンバープレートが何日にもわたって放置されているという話だってあるんだぞ。烏藤は九州には行ったことがないだろ?もし俺の話で興味が湧いたなら、犬鳴ダムは九州地方最恐と言っても過言ではないほどの怨念で漂っている。考え方が絶対変わるはずだ。」
星弥がそう話すと、烏藤は苦笑いしながら答えた。
「そうだね。いつかは機会があれば犬鳴ダムにも行きたい。」
そう話すと続けて八木山橋について自分なりの考えを語り始めた。
「俺がね八木山橋に興味を示したのが、かつては吊り橋だったから投身自殺を図ろうと思えばできたのだろう。戦時中の厳しい時代をそっと見守り続けたこの橋にはこの地で最期を遂げた方々の哀しい思いに満ち溢れているだろう。霊能者として目をそらすわけにはいかないと率直に思ったんだ。俺もぶっちゃけた話、興味があっても決して一人で行かなかったのは怖かったからなんだけどね。誰かしら俺と一緒について来てほしいなあというのがあってね、それで明日の朝に行く七ヶ宿ダムもお願いしたんだ。俺一人では何かあった時が怖いからね。」
烏藤が話すと、支倉が「わからなくはない。だけど危険だと判断したときはどうするんだよ。見てきました、それで終わらせたほうが良いんじゃないのか?」と聞き始めると、烏藤は「そのときは身の安全を確保する為にも早々と退避して、禍から身を護るためにも自身の御祓いを行うことにする。」と語ると、星弥は「そのほうがいい。絶対いいに決まっている。100%いいや500%の高い確率で悪霊と化した自殺者の御霊が襲い掛かってくる。俺は行かない。」と話し出した。
あまりにも星弥の態度が頑なだったので、支倉が星弥に説得をし始めた。
「犬鳴ダムでの死ぬかもしれないと思った経験がトラウマになったのはわかる。だけど今は烏藤に協力することに専念しよう。この世を彷徨う御霊に対して怖いと思ったら負けだ、生きていた頃と同じように対応し優しく接するべきだって言ってくれたのは饗庭じゃなかったのか。天国や地獄は宗教上だけの概念であり、幽霊と言うのはいつどこにいてもおかしくない、だからこそともに共生していく考えでいなければならないって教えてくれたじゃないか。トラウマばかりに囚われていたら、いつしか悪霊に心の闇を突かれてしまいかねないと思うよ。いつもの強い饗庭であってほしい。」
支倉から指摘を受けた饗庭は支倉のほうをじっと見たと同時に考え込んだ。
そんな様子を察知した烏藤が支倉に話し始める。
「結論が出ないのはしょうがないといってもいい。恐怖だと考えるのは饗庭だけじゃないからね。霊能者が二度と行きたくないと思う場所でもあるからね。饗庭だって少なからずそれを察知している。橋の下を映し出した写真を見ただけで、複数の御霊が手招きをしているって言うんだからね。饗庭には未来が見える、俺達よりもずば抜けて霊能力が高いということは支倉も分かっているだろ。それだけに俺達が今向かおうとしている場所は危険だという事は確実としか言いようがない。」
烏藤にそう言われた支倉は黙ってうなずくと、ぼんやりと景色を見つめる星弥の姿を見て「まだ考えているんだな。暫くそっとしておいたほうがよさそうだ。」と話すとそれを聞いた烏藤も「そうだな。そのほうがいいね。」と答えたのだった。
一方、芦原の車では後部座席で吉原がぐっすりと眠る中、助手席に座る侑斗がこれまでの御祓いのことについて聞き始めていた。侑斗が芦原に「これまで自殺の名所と言われる場所で御祓いって今までしてきたことがあるんですか?」と率直に聞き始めると、芦原はこう答えた。
「自殺の名所と呼ばれる場所では基本的に行わない。あってもお断りをする。」
芦原の答えに侑斗は「それはやはり、危険性があるという事ですよね。」と聞き返すと、芦原は「自殺の名所と呼ばれる場所で彷徨う御霊は救いを求めている。自殺するに至るにはわたしたちではそう簡単に想像がつけないほどの色々な個人の諸事情もあるからね。失恋や仕事の解雇などの突発的なショックで自殺を図ったりするケースもあれば、長時間労働による労災のようなものもあるし、利息だけで膨らみに膨らみあがった借金が返済できる目途が立たなくなったことを苦になど自殺を図るまでに思いとどまらせることだって出来たかもしれないケースのほうが圧倒的でね、だから自殺の名所としても知られている山梨県の青木ヶ原の樹海や石川県のヤセの断崖、和歌山県の三段壁などでは自殺を思いとどまらせるための看板や困ったときのための相談の連絡先がある。だが八木山橋は写真で見る限りでは景観を損ねたくないというのもあるだろうか、そういった看板もないため自殺対策に歯止めがかからないというわけではないけどね。仮に看板を設置したとしても抑止効果があるかと言えばそういうわけではないのだが、やはり死んでから”ああしておけばよかったなあ”なんて思うのが殆どなわけで、残された家族に辛い思いをさせて申し訳なかったって伝えてほしいと思う方々の魂が数えきれないほど彷徨っているからね。除霊をしようと思うと、やはり我々では汲み取れない、この世に対する思いが重すぎてね、その重みが憎悪となって悪霊と化すのだから、お亡くなりになられた方々が多すぎる以外にもやはり我々のような霊能者が御経の力を使って介入をしてしまうと事の収拾がつかなくなることもあるから深入りしないほうがいい。お亡くなりになられた全ての方々の心の闇に寄り添うことは御釈迦様ではないいち一人の人間である以上、言い方が悪いかもしれないが出来るわけがない。」と話した。芦原の答えに侑斗はさらに切り出した。
「例えばですよ、東京の葛飾区にある新小岩駅みたいに、相次いで飛び込み自殺が続いたために、心を落ち着かせると効果のある青い色を屋根の一部として使い自殺の発生率を抑制するとされるブルーライト効果とかって、導入したから果たして自殺率が激減したかと言えばそういうわけではないのと同じことですよね。その他にもホームの柱に飛び込むまでに思いとどまらせる目的で鏡を設置したり、時刻表のところにも思いとどまらせるような有難い言葉のメッセージを掲示したり、ヒーリングミュージックを流す、ヒーリング画像を駅構内で流す、警備員の数を増やす、一般の方に非常停止ボタンを押してもらうことに慣れてもらえるように練習用の装置を設置するなどをしたとしても同じことなんですよね。」
侑斗がそう話すと、芦原は「JRの新小岩駅は有名ね。あそこは特殊と言うのか、一度自殺を図った人間が誘い込むような形で、いや誰かが呼んでいると思い込んで飛び込むのか。いずれにしろ、深く関与はしないほうがいい。」と話すと、侑斗は「そうですね。仰る通りだと思います。」と語った。
走ること2時間23分が経過して、17時30分過ぎに一同は青葉城有料駐車場で車を駐車させてから、徒歩で八木山橋へと向かって歩き始めた。
「八木山橋から眺めることが出来る竜ノ口渓谷って古代の時代の貝類やクジラ、植物の化石などが見つかった場所としても知られているみたいだね。」
吉原がスマートフォンを片手に語り始めると烏藤から残念なお知らせを告げられる。
「以前は学校のレクリエーション活動の一つとして竜ノ口渓谷に行くというのもあったみたいだが、現在は落石の危険があるために渓谷に入ることは出来ない。よって八木山橋から眺める景色で我慢をするしかないということだ。」
烏藤の話す内容に吉原が「いやいや、そんなつもりじゃないから大丈夫だよ。それに夕焼けの景色を眺めようと思ったら八木山橋から絶景が楽しめるに決まっているじゃない。本当に渓谷の中に入るんだったらもっと明るい時間帯に行きたいし。」と話すと、烏藤はハハハと笑いながら「八木山橋から眺めることが出来る竜ノ口渓谷は絶景とも言うべき世界が広がっているよ。入り口付近でも地上から大よそ40mの深さ、最深部に当たる八木山橋直下だと大よそ70mの深さになるね。」と話すと、後ろで聞いて居た侑斗が烏藤に話しかけた。
「この高さだと、飛び降り自殺をしたら命の保証はないってことだよね。」
侑斗が呟くように話すと、烏藤は「当り前だよ。23階か24階ぐらいの高層ビルの高さに匹敵するからね。でもそれがかえって、一発で死ねるという事を理由に自殺者が集まってくるのかもしれない。非常に残念でならないことだ。」と答えた。
歩き始めて5分ほどが経ったところで、ようやく目的地の八木山橋に到着した。
八木山橋に着いたと同時に、吉原があることを言い始めた。
「何だろう。今まで心霊スポットばっかり同行してきたから、鍛えられたのか。ここにきて酷い寒気に襲われるのはわたしだけなのかな?悪寒に近いような、何かここは近づいてはいけないような気がしてならない。」
吉原の話に烏藤が「悪寒はこの地で最期を遂げた方々がこの地で今もなお彷徨っているということ。霊感のない人でもそう感じるという事は、それだけ多くの方が救済を求めているという事だ。」と話し吉原の側に近づき看病を行うと、隣にいた長谷川も同じことを体感していた。
「俺は悪寒もするけど、吐き気やめまいに近いような頭痛がする。立っていられるのもやっとなぐらい。こんな酷い現象は初めてだ。」
吉原に烏藤、長谷川に侑斗が面倒を見る形で支倉と芦原と星弥の3人で辺りを注意深く霊視を行い始めると、星弥のほうから芦原と支倉を呼び出し話し出した。
「これ以上はいては危険だ。橋の下には数百名を超えるだろう御霊達が我々を見て大きく手を上げたり、手招きをしたりして、中には”こっちにおいで!”と大きな声を上げて呼びかけているのも何名かいる。今の吉原や長谷川君の身に起きた現象は間違いなく霊障によるものだ。霊感のない人でも身に危険が生じているのだから、これ以上の調査は続行するべきじゃない。なあ、そうだろ。烏藤君。吉原のことは俺が面倒を見るから、じっくりと見たかった八木山橋の御霊達の叫びでも聞いたらどうだ?こういった場所に行きたかったんだろ?」と星弥が烏藤に話すと、烏藤は「ありがとう。吉原のことは任せたよ。」と言って、吉原の側から離れると、星弥が吉原の近くに駆け寄り、吉原に「大丈夫か、顔色が段々悪くなってきているぞ。血色が無くなってきているぞ。」と声をかけると、吉原はうんうんと頷くことしか出来ず、また傍にいた長谷川を見て侑斗に「長谷川君はどうだ?大丈夫か?」と話すと、侑斗は「これ以上はさすがに、僕達のような霊能者がいるとわかって集まりだしてきているかもしれない。二人には早急に御祓いが必要だと思う。」と話すと、星弥は「車に戻ってから行おう。ここで行えば大きなリスクが伴う。」と話した後、じっくりと橋の下を霊視を行い始めた烏藤と、御霊達の動きを注意深く監視する支倉と芦原に声をかける。
「2人が危ない。先に駐車場に戻って御祓いを行う。車の鍵を貸してほしい。」
星弥がそう話すと、芦原が「わかった。烏藤君、車の鍵を貸して!」と話すと、烏藤が芦原に近づき車の鍵を渡すと、芦原が星弥のところまで近づくと車の鍵を星弥に託し、芦原が星弥にそっと小声で囁く。
「自殺者の御霊達に取り憑かれている可能性が高い。なるべく他の自殺者の御霊達に勘づかれぬように、ひっそりと行ったほうがいい。」
星弥は芦原の指摘に「ああ。そのつもりだ。でも二人同時は無理だから、俺と侑斗でそれぞれの車の後部座席に二人を寝かせた状態で行う。」と話すと、芦原は「霊能者が5人もいるから、わたしたちが招いてしまったかもしれない。招いてしまったのなら申し訳ない。」と小声で語ると、星弥は「そんなことはない。ただここがあまりにも特殊で異質なんだ。たとえ霊能者じゃなくとも、霊感の強い人が複数名いたとしても同じことは起こりうる。場所が悪すぎたんだ。」と芦原を庇うと、星弥は侑斗に「急いで車へ戻り御祓いを行うぞ。」と指示を出すと、侑斗は「了解!」と言って、二人の肩を肩車をするような形でその場を後にする。
その間、烏藤は橋の下から叫びの声を上げる自殺者の御霊達を間近に見て、言葉に言い尽くしがたい感覚に襲われるのだった。そんな様子を見た支倉と芦原が烏藤に近づくと、支倉のほうから声をかけた。
「星弥が嫌がった理由も、吉原や長谷川君の状態を見たらわかっただろ。それだけここには見えると分かっている強い霊感エネルギーを持つ人に対して助けを求めて声を上げたり、中には仲間にしようとして引きずり込もうとする悪霊だっている。烏藤は救済したいと言ったが、果たして目の前にいるこの膨大な御霊達の心の闇から救えることができるのか?悪いけど、これ以上のことは深く関与せず、潔く諦めて立ち去るべきだと思う。ここは負のメッカとしか言いようがない。」
支倉の話に烏藤は頷きながら「そうだな。それに吉原や長谷川君のことが心配だ。俺達もここに長居しないで車に戻ろう。」と支倉と芦原に切り出すと、芦原と支倉が口を揃えて「了解!」と返事をしたところで、3人は八木山橋を後にし青葉城有料駐車場へとダッシュで戻り始めた。
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