最終日は雨、まだ深夜。雨の中、2人の女性が話をしている。傘はさしていない。タバコを吸っている。相手はチロル・グロゥのボスであるデメララだ。
パーラメントに火を付けたマリブは話した。2人は久しぶりの再会だ。
〈マリブ〉姉さんあの件は?
〈デメララ〉進んでいる。あのプロジェクトはもうすぐ完成するだろう、近々君たちにもお願いするつもりだ
〈マリブ〉そう、私はやらない。だって専門違いだから
〈デメララ〉そうか。サルには会ったか?
〈マリブ〉あの子か、あの子は思うに普通の人間だ。なぜこちら側に居るのか、たまに分からなくなる
〈デメララ〉それが奴だ
〈マリブ〉だけど、この前話して思った。奴は誰よりも悪党の素質を持っているぞ、そんな気がする
〈デメララ〉お前もか? 初め会った時、私に喧嘩をうってきた
〈マリブ〉姉さんに? すごい度胸だな
〈デメララ〉ああ、それから少しばかり気に入ってしまってな。たまにぶち壊したくなるほどだ
〈マリブ〉そこまでか。あんたがそこまで言うのは珍しい、よほど買っているのだな
〈デメララ〉だってしょうがないじゃないの、あんな人種は滅多に見かけない
〈マリブ〉ほどほどに、もう帰るよ。時期日が昇る
〈デメララ〉そうだ、サンノウが仕事を依頼したいと言っていたぞ
〈マリブ〉それはうちのボスか、あの担当の男に言ってくれ
〈デメララ〉そうか。またどこかで会おうロボ・エレナ
〈マリブ〉その名前はどうも好かないな
ロボとは狼の意味、マリブはこのネームを好いてはいない。だが、独りで動くマリブにとって、似合うネームだ。
マリブはその場を離れて、アジトに戻った。
戻ると、サルがソファーに座って何かをしている。
〈マリブ〉何をしているんだ? こんな朝から
〈サル〉やあ、戻ったのか。今年の帳簿を付けてたんだ。売上など
〈マリブ〉マメだな、こんな早くから。しかも休みだって言うのに
〈サル〉何かしてないと落ち着かなくてね、時間ある時にしようかなって
〈マリブ〉そう。ねえ、今日バー行かない?
〈サル〉バー? ロコさんの?
〈マリブ〉そう、ロコ。明日から仕事だし、みんな連れてさ
〈サル〉誰もち?
〈マリブ〉会社持ち
〈サル〉ふざけるな、一人で行け
〈マリブ〉冗談だってば、私もちよ
〈サル〉なら行こう
〈マリブ〉ホント、マメだわ〜 あなたってホントに悪党?
〈サル〉そうだけど? まあ悪党かどうかはまだわからないけどね、まだ殺したこともないし
〈マリブ〉そうか。なんで君は残ろうと決めたんだ? 帰ることも出来たはずだ
〈サル〉さあね? 人生は1度きりだからね
〈マリブ〉この仕事は人には言えない、犯罪に加担することになる、親とは何れ会えなくなる
〈サル〉別にどうでもいい、それよりバーはいつ行くんだ?
〈マリブ〉そうね、18時ぐらいかな
〈サル〉そうか、じゃあちょっと出かける
〈マリブ〉え? どこに?
〈サル〉気分転換さ、あと買いたいものがある
〈マリブ〉え〜 暇になるじゃない!
〈サル〉知るか! 18時まで寝たら?
〈マリブ〉まあどうにかするさ。ところでロナックとラディは?
〈サル〉あ〜 イサバル湖で1つ仕事貰って、船出したよ。運びの仕事だし2人でできる、すぐ帰れるからって行ったよ
〈マリブ〉朝から立派ね、休みの日なのに
〈サル〉本当だよな、俺なら行きたくないね。だが、それが経営者と言うものさ
〈マリブ〉ニーノは?
〈サル〉まだ寝てるんじゃないか?
〈マリブ〉そうだ、たしかお前の部屋にジグゾーパズルがあったわよね?
〈サル〉クリムトの接吻だろ? それがどうした?
〈マリブ〉あれやっていい? 暇つぶしにさ、また壊しとくから
〈サル〉わかった
そう言うとサルは出かける。今日は各々やる事があるようだ。マリブだけは暇だ。暇つぶしにサルのジグゾーパズルをすることにした。
…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ
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