beija Flor

ベイジャ・フロー
Kay.
Kay.

♯16 Operación MónacoⅤ end

公開日時: 2024年9月17日(火) 10:04
更新日時: 2024年9月17日(火) 10:09
文字数:1,733

バーカンは過去、それは30年以上前の夏に起きた。


バーカンの職は軍事関係だ。夏の休みに久しぶりに家族の元へ帰った。バーカンの家族は母と父、妻のアデル、そして弟アラスターだ。バーカンには子が居ない。子どもが出来にくい体だった。アラスターは兄とは違って、悪の道に染まっている。

ある日、バーカンが家に帰るとそこは血の海であった。その中、アラスターは拳銃を持っている。凄く狂ったような目でバーカンを見つめた。アラスターに聞くと「もう後戻りはできない」そう答えた。真の理由は分からない。後に妻は辛うじて命は助かったのだが、入院生活になってしまい、その2ヶ月後に亡くなった。

そして、後々分かった事だが父は鉱夫、マフィアはその父の鉱山が欲しかったそうだ。鉱夫でその責任者であった父はその鉱山を守った。それがマフィアを怒らせた。

アラスターは、マフィアに知人がいる。その為命じられた。殺らないと自分が死ぬ。元々父とは仲が良くない。

「この引き金は簡単だった」そうアラスターは言った。




- 現在



バーカンの過去を知り、言葉が出ない一行。ところがサルは違和感を覚える。


〈サル〉それで殺してほしいってこと?


〈バーカン〉奴はもう弟ではない


〈サル〉そこじゃない。なぜ30年以上弟を放置したのかだ。やる気なら直ぐにだって出来たはずだ。感情か?


〈バーカン〉感情があるようにみえるのか?


〈サル〉まだなにか隠しているようにみえる


〈バーカン〉鋭いな、あの後私は鬱になってしまった。軍人だったが任務遂行できないと診断されて、いまの投資の道に行ったのだ


〈サル〉なるほど。アラスターの件は?


〈バーカン〉それについては自分の立場として考えてくれ。もし自分の妻や家族が殺されて、許せるか? それが弟であっても


〈サル〉分からない。自分はその経験はない、理解はできない。俺はまだ若いようで、誰かが殺された時復讐を考えるの良くはない。ただ、それは弟の場合。知らない人であれば怒るのは当然、その弟は何か理由があったんじゃないか


〈バーカン〉青二才が知ったような口だな。まあいい、殺さないのなら良かろう。アラスターはいまやゴロツキと変わらん。もはや弟でも家族でもない、ただの人殺しでしかない


〈サル〉それでも血の繋がりはある


〈バーカン〉だからなんだ? 私はあいつが死んでもなんとも思わん。今まで殺せなかったのは感情ではない。出来なかったからだ、頼める人がいないし、自分ではこの通りあまり出歩ける体ではないのでね


〈サル〉ロナック! 帰ろう、ここには居たくない。この人は人を人としてはみていない


サルは立ち上がる。その時、サルの顔には怒りがあった。


〈グウェダオ〉おい待てよ、それは仕事放棄するってことなのか?


〈サル〉仕事放棄? 違うな、仕事はもう終わった。その爺さんに安全に物は期日までに届けた。この話はここに来て初めての話、仕事内ではない。それに俺たちは殺し屋でもマフィアでもない、引き受けるつもりはない


〈ラディ〉たしかに、そこからは俺らの仕事ではないな、諦めなバーカンさん


〈バーカン〉なぜだ? ここに来る時、或は仕事で人を殺める事はしょっちゅうだろ? これぐらい簡単だろ


〈ラディ〉そうじゃない、たしかに殺す時はある。それは俺らが危険な場合の時さ、まあそこの姉さんはわからんが


〈ニーノ〉私のことか? まあでもこれはラディやあのサルとは同意見だな、私たちは殺しはする、でも何もなしでは殺さない、そうサルは言いたいんだろ? 諦めなサルは簡単に考えを変えるような奴じゃない


〈ロナック〉話は纏まったな、帰ろう


〈バーカン〉なぜだ!? 君たちの理論はわかない。復讐の何が悪い!


〈サル〉バーカンさん、俺はまだ青いのかもしれない。まだ感情がある。血の繋がりの弟は自分でなんとかしたほうがいい


そう言い、サルたちは帰ろうとする。


〈グウェダオ〉サル! 変な仕事を済まないな。ロナック、いつもの口座に振り込んでおく。また何かあったら雇う。サル君の勝ちだ、今までの言葉曲げるなよ


〈サル〉言われなくてもそうするさ


サルたちは場を離れ、船に乗る。なぜか、船内はいつもよりしんみりとしていた。

これはバーカンの話の訳なのか。サルは潮風に揺られながら、我が家アジトへと帰った。





…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ







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