beija Flor

ベイジャ・フロー
Kay.
Kay.

♯19 día festivo.2

公開日時: 2024年10月1日(火) 13:21
文字数:1,510

日本で働いていた時は週1日休みで、9時間労働と残業。残業はとてつもなく辛いものだ。2時間、3時間、4時間と残業が多くなる。あの時は凄く辛い。いまの会社は週に1日休み、2日休みというものはない。

1つの仕事を終えると1日休みがある。そして、週にどこかで全員3日間休みがある。この会社はチームプレーだ、1人休みだとバラバラになってしまう。

時に、辛いと思う時は何度もあるし、死ぬかもと思う時も何度もあった。だが、サルは昔より今のほうが楽だと感じる。


今日は休日2日目だ。仕事の依頼を受けることはできる。取り掛かりはしない。

皆はそれを知っているので、連絡は控えているそうだ。ニーノは帰ってきていて、寝ていた。ラディは自慢の車をいじっている。ロナックはどこかに行った。サルはテレビを見ている。マリブもテレビを見ている。


〈マリブ〉そういえば、トスウが国を出たそうね


〈サル〉ああ、何でも情報屋としてベイ諸島で暮らすそうだよ


〈マリブ〉いいな〜 私も行こうかしら


〈サル〉マリブには勿体ない


〈マリブ〉どういう意味?


〈サル〉いや、マリブには今の場所が合ってると思う


〈マリブ〉あそう


〈サル〉1つ聞いていいか? 君とロナックはどこで?


〈マリブ〉そうね、大分むかしになるわね。あれはキューバに行った時、ロナックを見かけた


〈サル〉キューバ? 行ったことないな


〈マリブ〉いいところよ。女の子も男の子も情熱的で活気がある


〈サル〉それで?


〈マリブ〉たしか私は休暇で、ロナックは仕事できていた。当時ロナックはジャコに居たのよ、キューバでの売人を殺しにきていた


〈サル〉え、ロナックがジャコに?


〈マリブ〉あら口が滑ったかしら? いいわ少しだけ話してあげる。ロナックはカーボベルデにいた時オロロゾとラガルトに連れてこられた。その後グアテマラで活躍、独立してこの会社を


〈サル〉なるほど、初めて知ったな。君は?


〈マリブ〉その前にお酒飲まない? お互い話をして交代、飲むのよ


〈サル〉いいだろう


サルはウイスキーを用意した。出したのはカナディアンクラブだ。最初に話すのはマリブから。


〈マリブ〉私は元アメリカ海軍特殊部隊よ


〈サル〉なるほど。俺は商社だ。主にアフリカから輸入してた


〈マリブ〉あら、意外ね。小説家だと思ってた


〈サル〉なんで?


〈マリブ〉よく本を読んでいるからよ


〈サル〉次はそっちだ


〈マリブ〉海軍を辞めたのは、人を殺すことに慣れてしまったから


〈サル〉人を殺すのに慣れなんかない。いつになっても心苦しい。俺は囚われた身になった、リストラされそうになって会社の大切なデータを持って船に乗ったところにここの連中に襲われたのさ


〈マリブ〉リストラ? 日本にはリストラなんてあるの?


〈サル〉アメリカにはないのか?


〈マリブ〉基本、辞めるか続けるかどっちかね、クビはある


〈サル〉そうか。まあでも襲われて良かったと思ってる。あの時は生きてる心地がしなかった。生きる屍のようで


〈マリブ〉生きる屍とは、もう死んでいるわね。言っておくけどゾンビに生きる屍なんて言わない事ね。ゾンビも生きる屍なんだから


〈サル〉ああ、どうやら俺はここの暮らしのほうが合ってるようだ。生きてる心地がある


〈マリブ〉そう。もう辞めよ、飲もう君の生きてる心地に


〈サル〉ああ、乾杯だ


今日はマリブと色々話した日だ。あそこまで話したのは初かもしれない。サルは顔を真っ赤にしながらウイスキーを飲んでいた。

先程、「生きてる心地がない、この暮らしは生きてる心地がある」そう言っていた。

マリブは、サルは人が死ぬのは心苦しいと言ったが、案外サルはそうでは無いのかもしれない。そう思った。




♯19 día festivo.2 休日2


…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ



読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート