日本で働いていた時は週1日休みで、9時間労働と残業。残業はとてつもなく辛いものだ。2時間、3時間、4時間と残業が多くなる。あの時は凄く辛い。いまの会社は週に1日休み、2日休みというものはない。
1つの仕事を終えると1日休みがある。そして、週にどこかで全員3日間休みがある。この会社はチームプレーだ、1人休みだとバラバラになってしまう。
時に、辛いと思う時は何度もあるし、死ぬかもと思う時も何度もあった。だが、サルは昔より今のほうが楽だと感じる。
今日は休日2日目だ。仕事の依頼を受けることはできる。取り掛かりはしない。
皆はそれを知っているので、連絡は控えているそうだ。ニーノは帰ってきていて、寝ていた。ラディは自慢の車をいじっている。ロナックはどこかに行った。サルはテレビを見ている。マリブもテレビを見ている。
〈マリブ〉そういえば、トスウが国を出たそうね
〈サル〉ああ、何でも情報屋としてベイ諸島で暮らすそうだよ
〈マリブ〉いいな〜 私も行こうかしら
〈サル〉マリブには勿体ない
〈マリブ〉どういう意味?
〈サル〉いや、マリブには今の場所が合ってると思う
〈マリブ〉あそう
〈サル〉1つ聞いていいか? 君とロナックはどこで?
〈マリブ〉そうね、大分むかしになるわね。あれはキューバに行った時、ロナックを見かけた
〈サル〉キューバ? 行ったことないな
〈マリブ〉いいところよ。女の子も男の子も情熱的で活気がある
〈サル〉それで?
〈マリブ〉たしか私は休暇で、ロナックは仕事できていた。当時ロナックはジャコに居たのよ、キューバでの売人を殺しにきていた
〈サル〉え、ロナックがジャコに?
〈マリブ〉あら口が滑ったかしら? いいわ少しだけ話してあげる。ロナックはカーボベルデにいた時オロロゾとラガルトに連れてこられた。その後グアテマラで活躍、独立してこの会社を
〈サル〉なるほど、初めて知ったな。君は?
〈マリブ〉その前にお酒飲まない? お互い話をして交代、飲むのよ
〈サル〉いいだろう
サルはウイスキーを用意した。出したのはカナディアンクラブだ。最初に話すのはマリブから。
〈マリブ〉私は元アメリカ海軍特殊部隊よ
〈サル〉なるほど。俺は商社だ。主にアフリカから輸入してた
〈マリブ〉あら、意外ね。小説家だと思ってた
〈サル〉なんで?
〈マリブ〉よく本を読んでいるからよ
〈サル〉次はそっちだ
〈マリブ〉海軍を辞めたのは、人を殺すことに慣れてしまったから
〈サル〉人を殺すのに慣れなんかない。いつになっても心苦しい。俺は囚われた身になった、リストラされそうになって会社の大切なデータを持って船に乗ったところにここの連中に襲われたのさ
〈マリブ〉リストラ? 日本にはリストラなんてあるの?
〈サル〉アメリカにはないのか?
〈マリブ〉基本、辞めるか続けるかどっちかね、クビはある
〈サル〉そうか。まあでも襲われて良かったと思ってる。あの時は生きてる心地がしなかった。生きる屍のようで
〈マリブ〉生きる屍とは、もう死んでいるわね。言っておくけどゾンビに生きる屍なんて言わない事ね。ゾンビも生きる屍なんだから
〈サル〉ああ、どうやら俺はここの暮らしのほうが合ってるようだ。生きてる心地がある
〈マリブ〉そう。もう辞めよ、飲もう君の生きてる心地に
〈サル〉ああ、乾杯だ
今日はマリブと色々話した日だ。あそこまで話したのは初かもしれない。サルは顔を真っ赤にしながらウイスキーを飲んでいた。
先程、「生きてる心地がない、この暮らしは生きてる心地がある」そう言っていた。
マリブは、サルは人が死ぬのは心苦しいと言ったが、案外サルはそうでは無いのかもしれない。そう思った。
♯19 día festivo.2 休日2
…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ
読み終わったら、ポイントを付けましょう!