とある場所へと向うトスウとロナック。車はトスウが運転している。
車内で、2人は会話を始めた。
〈トスウ〉ロナック、ちょっと寄り道していいか?
〈ロナック〉あいつは寄り道で済ますんだな
〈トスウ〉あっははは! あまりアイツを乗せたくないものでね
〈ロナック〉ホッショとなにかあったのか?
〈トスウ〉なにも? ただ前に酒に酔った勢いで吐きおってあんま乗せたくないだけ、全然怒ってないよぉ?
トスウは笑顔で話していたが、ほのかに怒っていた。そんな言い方だった。
もう昼も過ぎ、夕方だ。30分ほど車を走らせ、ホッショのいる家に着いた。今日は自分の家で待機している。
〈トスウ〉はい、ついた、ロナックちょっと待っててくれ
そういうと、トスウは、車の扉をあけて降りた。そして、家の扉をノックする。
家からはホッショがでた。
〈ホッショ〉はーい、どこの宅急便かな?それともタクシーかな?
〈トスウ〉あ? なめてんのか? 宅急便でもタクシーでもねえよ。ささっと車乗れや、刺すぞ
〈ホッショ〉ほう? やってみろよ、いつでも相手してやるよ、死に損ない
〈トスウ〉あ? なんやと? まあ、今日のところは勘弁してやるよ
〈ホッショ〉逃げんのかよ
〈トスウ〉そんなんじゃねえ、
と、親指で車を指さす。そこはロナックがいる。
〈ホッショ〉あ〜 なるほどね、そういうことか、ならまた今度だな
〈トスウ〉わかったら、ささっと乗れ
〈ホッショ〉わかったよ
すると、ホッショは一旦家に戻り携帯を取り、待っていたトスウと車を乗った。ホッショは後部座席の左に座る。
〈ホッショ〉やあ、ロナック! あの時以来だな
〈ロナック〉ご苦労さん、あの時は世話になったな
〈ホッショ〉いいってことよ、長年の付き合いじゃねえか
〈トスウ〉さて、例の場所にこのまま向かっていいか?
この問いにホッショとロナックは首を縦にふり、トスウは車をまた走らせた。
そこから1時間走った。少し遠い場所に向かっていた。グアテマラシティの外れの街、「ヒメネス」だ。
ここはそんなに治安は悪くない。ここはヒメネスは「Locus sacer」と言われている。悪党や警察でもここでドンパチはしない。それはグアテマラの崩壊を意味する。悪党にとっては国がどうなろうが構わない。そんな事は大したことじゃあないが、気にするところはそこではない。つまり、このLocus sacerはラテン語で神聖なる場所と言われる。そう、ここは重要な場所。場所というかそこにある墓地に眠る者に敬意を払っている。
ロナック達は、そこに向かう途中、あまり話さなかった。なんか辛気臭い雰囲気がある。ロナックもそこまで饒舌家じゃないし。ホッショは口下手。トスウは、話すことは好きだが、この雰囲気では流石に、そこまで笑顔では話せない。だが、この空気を追い払うべく、トスウは少しづつ話していった。
〈トスウ〉さて、ここで問題でもしようか。ココ島国立公園、ティカル国立公園、キリグア。この中で、グアテマラの世界遺産ではないものは?
この何気ないクイズに2人は即答する。
〈ロナック・ホッショ〉ココ島国立公園
〈トスウ〉あら…… まあ、ですよねー?でももうちょい楽しもうよ?問題
〈ホッショ〉うるせえな! 問題が、弱すぎるんだよ! 誰でもわかるだろうが!
〈ロナック〉同意見
〈トスウ〉くっそぉ〜 コノヤロウ〜
と、ちょっと泣きそうになっていた。
〈ホッショ〉わかった! 俺からも1問だしてやるよ! コパン王朝についてだ。初代君主されるのは誰だ?
〈トスウ〉ほう? 参ったな、それは覚えてないや
〈ロナック〉ヤシュ・クック・モーだ
〈トスウ〉それだ! すげえな!
〈ホッショ〉ロナック、正解
〈ロナック〉じゃあおれも1問だしてやるよ
〈ホッショ〉ほう、ロナックの博識場面が見れるな
〈ロナック〉低地マヤ古典期の終末を示したトニナー記念碑101号に刻まれた紀元909年1月を示す長期暦の日付は?
〈ホッショ〉むっ!
〈トスウ〉は?
〈ホッショ〉それは……
〈トスウ〉おいおい! 超難問じゃねえか! 俺らはテレビに出るクイズ王を掛けた芸人か??
〈ロナック〉そうか? 正解率60パーセントほどだぞ
〈トスウ〉え〜
〈ホッショ〉8.12.14.8.15
〈ロナック〉そりゃあ、ティカル29号石碑の日付だ
〈ホッショ〉んー、わからんな
〈トスウ〉おれもわからん
〈ロナック〉そうか、正解は10.4.0.0.0(909年1月15日)だ。
〈トスウ〉うーわ、最低やな
〈ロナック〉これでおれの勝ちだな、戦利品として、今日のおごりはトスウな
〈トスウ〉え!? なんで俺?
〈ロナック〉だって1番簡単な問題だったし、俺に借りあるよね?
〈トスウ〉か、借りだと〜? あれの事か? ちくしょう! わかったよ! もうお前がクイズ王でいいよ! くっそ!
〈ホッショ〉フハハハ!
などと、トスウのおかげで車内は先程までの微妙な変な空気からピクニック気分のいい雰囲気に変わっていた。
そしてついに場所へと着く。すると、見慣れた車が何台かある。
〈トスウ〉着いたぞ
3人は車を降りた。他の車に乗ってた奴らも降り始める。
〈ロナック〉デメララか
〈デメララ〉ロナック、久しぶりだな、今年もこの日がやってきた
現れたのはチロル・グロゥの大幹部とその側近、デメララとモルガンだ。
他にも続々と集まる。みんな普段より畏まった服装をしている。
そう、ここはヒメネスの墓地「Locus sacer」だ。ここにはある人物たちが眠っている。それは有名な人達だ、元警察署長や初代を務めたマフィア、誰もが知る大悪党、英雄など。今日は命日だ。名は、オロロゾ・ネス・サンディーノ。グアテマラでは英雄だ。そして、ロナックとは思入れのある人物。もちろん、ロナックだけじゃない。デメララ、ホッショ、トスウ、他のマフィアや情報屋など、あらゆる人達がお世話になった。そのため、この日、オロロゾが亡くなった6月9日人が集まる。
時刻は、18時。あたりは夕焼けが差し、夜に向かっていた。夏なので日が長い。
〈ロナック〉さて、中入ろうか
その場面をある2人側木の影からみている者がいた。記者のファキレとリガーだ。
〈リガー〉先輩、あいつらは?
〈ファキレ〉あいつらは犯罪組織だよ、今日は0663の日だ、このグアテマラの大悪党が集まる日だ、これをカメラに収める。いい記事がとれるってことさ
〈リガー〉なるほど、おれは最近来たので詳しくないのですが、そんなにやばいんですか?
〈ファキレ〉やばいというか、ここは安全地帯だから安心しろよ、もし見つかってもここでもドンパチはない。だが、気をつけろよ
〈リガー〉は、はい
〈ファキレ〉おい、みろよ、有名なやつらがいるな、チロル・グロゥのデメララ、モルガンやあいつらまで
その場にいた人物は、名を馳せている有名な人達だった。デメララやロナック達の他に、マカオ系のマフィアボス、グウェダオ。大マフィアジャコのラガルトら、武器商人のロッホにバレル。醸造家のヒプノティック・シモセ。車整備士のマルディ。闇医者のニコラシカ。新参マフィアジャノワールの片眼のホーセズ。情報屋で探偵のシラー。警視に昇進した警部、ハイペリカム・アグラ。
そして、ラウルペリ一古参の最大マフィアのAttorneyの面々。元3代目アウレリオ、現4代目レガシー、側近のスバルがこの墓地に集まっていた。
〈ファキレ〉す、すごい! これは稀にみる光景だ。毎度し見るがここまで関わった奴らが集まるのは珍しい
〈リガー〉な、なるほど
〈ファキレ〉よく、みとけよ、目に焼き付けておけ
〈リガー〉は、はい
そう言い、記者達は隠れながらロナック達を見ていた。
だが、たしかにここまで集まることは珍しい。各々、仕事や場所によって、これない人は何人かいる。今年はほぼ全員集まった。
〈ファキレ〉おい、みろよ、オロロゾの親友マルディもいる
〈リガー〉親友?
〈ファキレ〉そうだ、こりゃなんかの前兆か? ここまで集まるとはな
時刻、18時30分オロロゾの命日、0663の日にて。
今日は以前よりも数々の有名人達が姿を現す。ロナック達は墓地の中にへと入って行った。その面々は背中がこの日を物語っていた。
この日は素晴らしい日になるだろう。
※ Attorney現4代目当主・レガシー
ー ♯9 Memento. メメント ー 続く。
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