グスマン、チャービルはスキロスB棟に着く。
車を駐車場に入れると、2人はアパート内に入る。入るときはチャービルが持つ暗証番号を入力キーに入力すると、扉が自動で開くようになっている。暗証番号は2161で、「2」がB棟の「B」で部屋番号の「161」だ。ちなみにA棟は「1」でC棟は「5」だ。なぜかC棟だけは3と4を抜かして「5」となっている。恐らく、ダニエルの好きな数字で分けているようだ。
1回部屋に行こう、ダニエルが部屋まで来るって。
なんだって!? 物を持ってか?
そう、ホント優しいよな。
そいつ人間か?
どうみても怪物には見えない。ダニエルをお前と一緒にするな。
おれも人間だ!
いやお前は人間じゃない。
あっそ…… 。
2人はエレベーターに乗る。
なあ、ダニエルって何者なのかな?
と、グスマンが言う。
さあな? そういえば、お前彼女できたんだって?
え? ああ、誰から?
誰からって、ケリー以外にいるか?
だよな。
名前なんだ?
アニーだ。アニー・エーヌだ。
アニーか。なんか面白い名前だな。発音もしやすい、アニー・エーヌ。
だろ? それがさ、思い当たる節があってな。中々面白い。
そうなんだ。おっ! 着いたぞ。
と、エレベーターが止まり、2人は降りる。
このエレベーターの右手右奥がチャービルの部屋だ。
チャービルはその部屋の鍵を解除する。
2人は部屋の中に入った。
おほっ!? でたな、ピンクソファー!
と、グスマンが言う。
ああ、ピンクだな。 何でだろうな?
さあな、趣味だろ。
と、そこにコンコンとノック音が聴こえる。
来たみたいだな。
と、チャービルは扉を開ける。そこにはダニエルが居た。普通のおじさんだ。大体45歳~50歳だ。
やあ、ダニエル。
ビル、荷物持ってきた。でも、正直そんな無くて、ごめん。
と、2つの大きめのバッグをビルの部屋の中に置く。
いやいいんだ。しょうがないさ。
やあ、ダニエル。
と、グスマンが挨拶をする。
やあ、グスマン。
すると、ダニエルが謝ってきた。
済まないビル。
君が謝ることはないよ。
違うんだ、あの日料理しようと、火をつけたんだが、途中で買うものを思い出してつけたまま出たんだ。
なんだって!? 灯油じゃなくて?
灯油? なんの話だ?
いや…… おれの部屋から火事だって言ったからあの日、灯油を扉近くに置いたんだ。でも中もそんな入ってなかったし、あの日おれたち部屋に居なかったんだ。だから…… 。
灯油ね…… でも独りでに中が零れたりしないだろ。まあそういう訳なんだ。
まあでもしょうがない、なってしまったんだ。
なあ、1つ聞いていいか?
このピンクのソファーは?
と、グスマンがダニエルに聞く。
これは妻の趣味だ、建物もそうだ。
なるほどね。そのうちピンクのアパートが建ちそうだな。
と、グスマンが言う。
実際に新しいアパートはピンクだ。妻の希望。
聞いたか? ビル。
ああ、今聞いたよ。
おめでたいな。
まあとにかく、本当に済まない。
いいんだ、むしろ優しくされて嬉しい! てグスマンと話してたところだ。
そか、よかった。じゃあまたな。
ああ、またな。
ダニエルはビルの部屋から出た。
火事の原因はケリーの灯油ではなく、ダニエルが火をつけたまま出かけた事だった。
少なくとも灯油が倒れたことが原因でもあるが、それは誰も知らない。
ー ♯25 大家ダニエル2 ー つづく。
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