オレンジ色のスポットに当たる男、チャービル。
今日もベアン講演会場で本を語る。
「郵便配達人は二度ベルをならす」をご存じで? おれはこいつに違和感があります。読む前はふつうに郵便配達人がベルならして、逃げるストーリーなのかと思ってました。
でもどうだ? この小説は、殺人が絡むミステリー小説でした。作者のジェームズ・M・ケインは恐らくハードボイルド小説を書こうとしましたが、どうやら捻りすぎたようですね! 実はおれはこの作品が苦手です。映画も見ましたがおれには内容が難しかった!
だっておれはベルダッシュするんだもん。楽しいですよねー!
と、チャービルは話す。
この話にお客さんは笑う。
今日のは得にウケがいいみたいで、いつも以上に笑ってくれる。
チャービルはいつものように仕事を終え、ステージから降りる。
チャービルはバーにいた。今日は珍しくお酒を呑んでいる。
飲んでいるのはカクテル、見た目はオレンジ色のカクテルだ。
カウンターで呑んでいると、レイラが話しかけてきた。
災難だったわね。
いやそうでもない、いい部屋に住めたし。
あら、意外とポジティブなのね。
おれはこんな感じだ。
今の家どこだっけ?
アーリントン、ミルビーロードだよ。
そうか。
今の家のほうが会場から近い、あと空港も。
そこにベアンが来る。
やあ! ビル! 災難だったな! 家。
やあ、ベアン。君もか。災難だったが、良い思いが出来たよ。新しい部屋は前より綺麗だし。
そうか。そりゃあよかった。じゃあもう行くよ。
ああ、またな! 俺も行くよ。
またね、ビル。
と、チャービルはバーを出る。
外に出ると、グスマンが居た。
やあ、グスマン、終わったぞ?
おい、待ったぞ。何してたんだ?
お酒を少々な。
珍しいな、紅茶じゃないのか?
今日はなんか呑みたかった気分で、オレンジ色の夕焼け呑んできた。
は? なんだそれ?
名前、わかんない。あそこ独特だろ? おれに合うお酒を頼んだ。
あっそ、ほら早く帰ろう。
と、2人は車に乗る。
車の中で2人は話をする。運転手はグスマンだ。
そういえば、今日あのダニエルがB棟にくるって。
へえー、ダニエルね。あの時から会ってないな。
そう、それであの火事から無事だった俺のものを持ってきてくれるって。
そうか、良かったな。
彼、妙におれに優しくないか? 新しい部屋みつけてくれたり、火事になったのに何も罵倒して来ないし、さらに無事だった荷物も持ってきてくれるなんて。
と、チャービルは言う。
お前の部屋から燃えたなんて、まだ決まったわけじゃないだろ。
でも、俺の部屋あたりから火事になったって、言ってたじゃないか。
たしかにな。
そういう優しい人がもっと増えればいいのにな。
そうだな、もう着くぞ。
と、グスマンは無料の駐車場に後ろから入れた。
なぜ、大家のダニエルはチャービルにそんなに優しいのか。これから、ダニエルと会う予定だ。
ー ♯24 大家ダニエル1 ー つづく。
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