満月鏡

椿灯夏
椿灯夏

儚い再会

公開日時: 2021年8月23日(月) 14:41
更新日時: 2021年8月23日(月) 14:42
文字数:216

空にはおおきな満月。



雲ひとつない、晴れ渡った空。湖に月灯りがさす――水面が神秘的な淡い色を映し、そして不思議なことが起こった。



少しずつそれはある姿を形づくり、そこには現れたのは…………




会いたくて。




会いたくて。




会いたくて、たまらなかった片割れ。




「やっとまた会えたね」




貴方は冷たい影だった。



ねぇ。



ねぇ。




伝えたい言葉は喉の奥からあふれてくるのに、声にならない。やっとやっと、会えたのに。




少女は鏡の中に映る少女――自分に、雫をひとつ落とす。



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