少し前に軍事独裁政権が倒れたある国。
だが、当然ながら、生きる為、あるいは社会的立場からやむを得ず、あるいはちょっとした利益の為に、ロクデモない政権の尻を舐めてた奴らも居て……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
「貴方が、旧国営放送の番組で『日当を渡されて民主化デモに参加した』と証言した方ですよね?」
「おい、誰だ、あんた?」
「まずは私の質問に答えて下さい。この映像に写ってるのは貴方ですよね?」
「ま……待て、何でだ……? 顔にはボカシが入ってた筈……」
「旧政権が倒れてから、旧国営放送の査察が行なわれましたよね? その時に画像処理や編集をする前の元データが見付かったんです」
「そ……そんな……馬鹿な……」
「で……これは、貴方ですよね?」
「あ……す……すまん、日当をもらって嘘を言ったんだ……。民主化運動のイメージを落す為に……」
「なるほど……」
「納得したんなら解放してもらえないかな? 悪いのは俺じゃない。俺に嘘の証言をしろと言った連中だ」
「でも、別の意味でデモに参加してましたよね?」
「へっ?」
「貴方に嘘の証言をしろと言ったのは誰ですか?」
「えっと……」
「何故、嘘の証言をしたのが貴方なんですか?」
「た……たまたまだよ……たまたま……」
「ああそうだ。旧政権時代の貴方の職場の上司とも、ちょっとお話をさせていただきましてね」
「はっ? おい、まさか……?」
「貴方の上司は素直に全てを話してくれましたよ」
「お……おい……行方不明になってるチーム長は……まさか……」
「まあ、ちょっと、この映像を観て下さい」
「え?……おい、これ……?」
「この民主化デモ弾圧をやってる機動隊員は貴方ですよね?」
「違う。違う。違う。違う。違う」
「この映像の中で、催涙ガス弾を撃ってるのは貴方ですよね? 記録が残ってましたし、貴方の上司も貴方だと言ってました」
「い……いや……その……催涙ガス弾を撃っただけだ……。あの時の民主化デモで出た死人は……俺のせいじゃない」
「わかりました。では、催涙ガス弾で人が死なないか実験してみましょう。実験の結果、貴方が生きていれば、貴方を解放します」
「お……おい……待て……何を言って……おい、それ……」
「ええ、貴方があの時に使ったのと同じガス弾の射出機です。御安心下さい。ガスが入ってない訓練用の弾丸で実験しますので」
「ちょ……ちょっと待て。あんた、それは、そんな風に使うモノじゃね〜ぞ。ガス弾は斜め上に向けて……」
「は? 何言ってんですか? あの時、貴方は私の娘に向けて、ガス弾を水平撃ちしたじゃないですか」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!