お前が本当に幽霊か悪霊だとしても、そんなホラー映画でよく有る能力、俺が怖がるとでも思ったか?
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
冗談じゃない。
冗談じゃない。
冗談じゃない。
大学のサークルの飲み会の最中に、実家から入院中の祖父の容態が急変したって連絡が入った。
通ってる大学は博多で、実家は長崎県……かなり佐賀寄りだが。
すぐ帰れと言わても、祖父が死ぬ前に福岡→佐賀→長崎と3つの県を通過しなければならない。
高速を下りて……そして……。
『兄ちゃん、今、どこ?』
妹から電話。
「あ〜、○○峠だ」
『何で、そんなとこ、居るとね?』
「近道しようと思ってさ」
『ホントに大丈夫ね? そこって……』
夜。
途中から雪が降り出してきたのに、チェーンを忘れた。ついでに、冬用のタイヤへの付替は……来週になってからにするつもりだった。
しかも、いわゆるヘアピンカーブ。
更に……。
「大丈夫だって」
あくまで、噂だろう。
でも……夜になると……出るって噂が有る。
単に事故が多い場所だから、そんな噂が立っただけだろうが。
「で、祖父ちゃん、大丈夫?」
『それがね……』
え?
その時、俺は……ある事に気付いた。
声は……妹の生の声だ。
電話越しの……あの独特の声じゃなくて……生の声。
しかも……。
スマホからじゃない。
カーステレオから、妹の声が響いている。
「な……?」
『残念だが……俺は……お前の妹じゃない』
「だ……誰だ……お前?」
『誰でも、いいだろ。ところでな……ホラー映画なんかで良く有る、幽霊が出ると電話が通じなくなるってシーンが良く有るだろ?』
「それが……どうした? そうか……お前、ステレオから声を出すしか出来ないんだろ?」
『どうだろうな……。ひょっとしたら、電子機器全てを操れるかも知れないぞ』
「はぁ? だから、どうしたって言うんだ?」
『ところで、この車、新車だろ? 県会議員やってる親から買ってもらった』
「それが、どうしたって言うんだ?」
『知らんのか? 最近の車ってのは、ハンドルやアクセルやブレーキの操作も……一度、電気信号に変換してるのを』
「だから、何を言って……」
えっ?
おい、まて、何だ?
アクセルを踏んでないのに車が急加速して……うわあああ……。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!