宝石勇者の異世界冒険譚

〜宝石に導かれし勇者♦︎二つの顔を持つ者♣︎〜
三毛猫 未異美
三毛猫 未異美

4》♣︎動物たちの救出〜戦闘と疑問~♣︎

公開日時: 2021年1月21日(木) 18:40
文字数:2,010

ダイスを捕らえ攻撃しようとしたその時、トウマの後ろの方で銃声が聞こえ……。

 トウマは荷馬車に寄りかかるように身をひそめ、ダイスが来るのを待った。


(相手は警戒してくるはず。それに、あの女が荷馬車の中で、大人しくしているとも限らない。だけど……)


 するとダイスが、キョロキョロと辺りを警戒しながら、荷馬車のものかげから、顔を出した。


 それを確認するとトウマは、すかさずダイスの足もと目掛け、


 《トリプルチェーン!!》


 そう呪文を唱えると、紫の魔法陣が現れ、そこから3本の鎖が飛び出し、ダイスの両足と腰に巻きついた。


「クッ、これは!?」


(よしっ!捕らえた。後は……)


 トウマは即座に、鞘に収まったままの剣を持ち、ダイスの懐に入った。


(イケる!)


 トウマは瞬時に、鞘に収まったままの剣を、左下から右上に、振り上げようとしたその時。

 

 後方から『パァーン!!』と銃から弾丸が放たれた音がした。


 トウマはその音を聞き、咄嗟に地面を蹴り、ダイスを押し倒し、迫り来る弾丸を避けた。


 だが一歩おそく、トウマの右肩をかすめた。


 ダイスは倒れた拍子に、頭を地面に叩きつけ、気絶してしまった。


 トウマは右肩を押さえ立ち上がり、弾丸が放たれた方へと視線を向けた。


 するとクオレが、数メートル離れた場所で、トウマに銃口を向け立っていた。


「あら。これは、なかなか可愛い坊やじゃない。殺すのは惜しいはねぇ」


「クッ!坊やって……オレは……」


 トウマはクオレを睨みつけ、自分は女性だと言いかけたが、言うのをやめた。



 下手に自分の性別がバレ、その事がきっかけで、色々と面倒な事になるのも嫌だった。


 それと、召喚主であるアルベルトに、女性である事は、他の者たちには悟られるなと、言われていたからだ。



「あら?気に触ったのかしら。でも男にしては、綺麗な顔をしているわね。それに身体もそうだけど……」


 そう言いながら、クオレはトウマを品定めするような目で見た。


「オレが女のようだと、言いたそうだな」


「クスッ。そうねぇ。それにしても、よくその体格で、ダイスとビスを倒す事ができたわね」


「何が言いたい?」


「そうねぇ。あたしは、坊やの目的が知りたいのよね」


「目的?」


「そう、この荷馬車……いえ、あたし達を襲った理由。それに、坊やの身なりを見る限り、裕福そうなのでねぇ」


「……」


 そう言われ、どう答えるか迷った。


(流石に、しゃべるうさリスを、もふギュッ!したいからとはいえない。いやそもそも、それだけの理由じゃなかった!)


「どうしたのかしら?お金、目当てじゃない事は明白よねぇ」


「ああ。オレはたまたま、この荷馬車を見つけ近づき、お前たちの話を聞いた」


「という事は……なるほどね。あたし達を倒した後、この荷馬車の中の、動物たちを助ける事が、坊やの目的ってわけねぇ」


「そういう事だ」


「ふぅ〜ん。ねぇ、坊や。あたし達と組まない?悪いようにはしないわよ」


 そう言われ、トウマは首を傾げた。


「何でお前たちと、手を組まないとならない!?」


「フフ……その剣の鞘に描かれている紋章は、ルディ家のものよね?」


 そう言われトウマは、手に持っている鞘を見た。


「……」


(そう言えばこの剣って、屋敷を出る前に、アイツアルベルトがオレにくれた物。

 ってか、気づかなかったけど。これ、ルディ家の紋章だったんだな)


「……って事は、坊やはルディ家の者って事かしら?それとも、その剣は盗んだ物……とか?」


「……」


「そうねぇ。確か領主であるアルベルト・ルディ伯爵は、結婚などされておらず、御子様はいなかったはずだけど……」


 そう言うと、トウマをジーッと見た。


「そ、それは……」


「盗んだ物にしては、あまりにも堂々と、使っているようだし」


(てか、仲間にって、この女なにを考えてるんだ?)


「まぁ、その事について追求しても、仕方ないわね。だけど、その歳で、それだけの腕を持ってるって事は、ただ者ではないわよね?」


「……さっきから、何が言いたいんだ?」


「あらあら、ただ、色々と坊やの事について、知りたかっただけよ」


「知ってどうする?」


「あたしの勘が坊やを、敵にまわさない方がいいと、言っているのよね。だから、仲間にならない?」


「オレはお前たちの、仲間になるつもりはない!それに、この剣は盗んだ物じゃない!」


「なるほどね。それが盗んだ物じゃないなら、やっぱり、ルディ家の縁の者って事になるわね」


「それは……」


 トウマが、どう答えたらいいか悩んでいると、クオレが更に聞いてきた。


「まさか!?坊やが、困った顔をしているという事は……。アルベルト様の隠し子!」


 そう言われ、トウマの顔が青ざめ、頭を抱えながら、


「……アルベルトの隠し子って……いや、違う。てか、それだけは、ぜったい勘違いでも嫌だぁ〜!!」


 と、絶叫してしまった。


「ん〜、それにしても変ね。アルベルト様の事を呼び捨てにするって……。どういう関係なのかしら?」


 そう言いながら、クオレは警戒しつつ、トウマに少しずつ近づいていた。


(しまった!つい嫌な事を言われて……だけど、この場合、どう答えたらいいんだ?)

読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)


『オレ何やってるんだ?よりにもよって……だけど、このクオレって、何者なんだ?やたらと色々と詳しいけど』…by,トウマ


『クスクス。坊や、あたしはねぇ。……フフ、言おうと思ったけど、やっぱりやめておくわね。後でその事について教えてあ・げ・る!』…by,クオレ


『……Σ(ll゚Д゚ll) (気になるけど……何か後が怖そうだし、これ以上、聞くのはやめておこう)』…by,トウマ


と、いう事で……∩^ω^∩


では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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