クリオネアはダイスとビスが、すぐに目覚めないように更に眠らせた。
あれからクリオネアは、歩きながら荷馬車に辿り着くまでの間、トウマに動物たちを逃す為の段取りを説明した。
ここは荷馬車の後ろ側。クリオネアはダイスとビスが目を覚ます前に、花柄で明るい赤紫の布袋から白い魔宝石を取り出し、
そして、白い魔宝石をダイスとビスの目の前にかざし呪文を唱え睡眠魔法をかけると、2人を更に深い眠りへと誘った。
「さてと、2人はこれでしばらく起きないわね」
そう言うとクリオネアは、ダイスとビスに見られないように、荷馬車の脇で待機させていたトウマを呼んだ。
「トウマ。もう出てきても大丈夫よ」
そう言われトウマは、荷馬車の脇から姿を現し、クリオネアの側まで来た。
「その宝石って?」
そう言うとトウマは、クリオネアの手もとにある魔宝石を覗き見た。
「もしかして、魔宝石を知らないの?」
「ああ、初めてだ。屋敷でもその事については習ってない。……だけど、何で教えてくれなかったんだ?」
そう言いながらトウマは不思議に思い首を傾げた。
「トウマ……屋敷って、いま言ったわよね?それって、アルベルト様の屋敷の事よね?」
クリオネアはトウマを覗き込みながらそう言った。
「あっ!それは……」
(しまった!?どうしよう……)
「ふぅ……まぁいいわ。聞かなかった事にしてあげる。その様子だとアルベルト様に、かなりきつく口止めされているみたいだしねぇ」
そう言われトウマは、ホッと安心した。
「じゃ、動物たちをまず逃すわね。確かトウマはうさリスが欲しかったのよね?」
「うん。さっきも言ったけど、お金はちゃんと払う」
そう言いバッグの中にある、すみれ色の袋から金貨を取り出そうとした。
「トウマ。気持ちだけ受け取っておくわ。さっきも言ったけど。私は訳あって、アルベルト様には逆らえないのよね」
「だけど……やっぱり」
「分かったわ。でもお金はもらえないから……そうねぇ……」
そう言うと唇に人差し指を添えながら、
「情報と交換っていうのはどうかしら?」
「情報?」
「そう。アルベルト様の名前を使い悪さをしてる連中のね」
「いまいちよく分からない。それって、どういう事なんだ?」
「ん〜そうね。詳しく話すと……」
そう言いクリオネアはその事を詳しく説明した。
「……って事は、オレが旅の途中で見聞きしたアルベルトの悪い噂を、ちくいちクリオネアに連絡する。……だけど、連絡方法はどうするんだ?」
トウマがそう言うとクリオネアは、バッグの中にある小さな水晶が中央に埋め込まれたペンダントを手にすると、
「この水晶で出来ている魔宝石の中には、通信の為の魔法陣が埋め込まれているわ。それで、これを使って連絡をとりあいたいと思うのだけど」
そう言うとクリオネアはトウマにその魔宝石のペンダントを渡した。
トウマはそれを受けとると食い入るように見た。
「これってどう使うんだ?」
「ああ。魔宝石の使い方、知らなかったわね。そうねぇ……ちょっと待ってて」
クリオネアは魔宝石の使い方の説明を始めた。
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
『魔宝石か楽しみだなぁ。だけど何でアイツ(アルベルト)はお教えてくれなかったんだ?』…by,トウマ
『それはなトウマ。お前には必要ないと判断したからだ!』…by,アルベルト
『ア、アルベルト!?何でここに……てか何で必要ないんだ?』…by,トウマ
『何故お前に必要ないのか……よく考えれば分かる事だ』…by,アルベルト
『よく考えれば分かる……って?ん〜……』…by,トウマ
『ハァ、分からないなら、まあいい教える。お前は道具など使わずとも、手をかざすだけで魔法陣が描け魔法が使える。そこまで言えば分かるな』…by,アルベルト
『……それは分かる。だけど、それを教えなかった事と、どう関係があるんだ?』…by,トウマ
『……(⑉•̆ ·̭ •⑉)ふぅ、そこまで教えても理解できないのか。まあいい、その魔宝石を使えば、自ずと分かるだろうからな』…by,アルベルト
と、いう事で……∩^ω^∩
まだ動物たちの救出編は続く……次回では終わるかな?
では、次話もよろしくお願いします(*^▽^*)
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